「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
3.60
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本棚登録 : 188
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065135228

作品紹介・あらすじ

人は悲しいから泣くのか? それとも泣くから悲しいのか? これは脳科学においては、昔から論争が続いている根源的なテーマです。実は人間の行動は「頭で考えたこと」に従うよりもはるかに、「情動」によって支配されています。情動がなければ、私たちは永遠に意思決定できない場合もあります。いったい情動とは何なのか? それはどこから起こるのか? 最先端のテーマについて、世界のトップランナーが興味津々に解説します!

感想・レビュー・書評

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  • 人は悲しいから泣くのか? それとも泣くから悲しいのか? これは脳科学では昔から論争が続いている根源的なテーマです。実は動物やヒトの行動は「理性」よりもはるかに強く「情動」によって支配されています。情動がなければ、私たちは意思決定さえままなりません。そしてヒトはさらに、情動より複雑で厄介な「こころ」を身につけました。それはいかにして生まれるのか? 私たちを支配するものの「正体」に第一人者が迫ります!

  • 「こころ」をつくる要素としての感情(悲しみ、喜び、怒り、妬み)。感情は生存確率を高めるためや、意思決定をするためにある。情動は記憶に関わる大脳辺縁系で作られる。海馬は新たな陳述記憶生成に関わる。扁桃体は情動記憶を受け持つ。こころに影響を与える脳内物質の存在もある。人はこころが愉快であれば終日歩んでも嫌になることはないが、こころに憂いがあればわずか一里でも嫌になる(シェイクスピア)

  • 図書館で借りて読んだが、線を引きたくなったので改めて購入した。

  • ブクログ・プレゼント企画でいただいた本。
    こころ・情動が生まれ感じられる脳の部位や報酬となる物質の作用など、身体科学に基づくこころの機序が説明される。
    大脳皮質の発達具合もあるだろうが、人らしい心の動きや共感などの点で他の動物とのどように違うのかが今一つ理解できなかった。
    出来事に対して何を感じ、どんな行動をとるかは、結局、人それぞれではあるが、おおよその性向はあり、それが体内の状況、体験、思考などに基づいて形成されることは理解した。地球や月の影響などは検証されていないが、腸内生物への影響なども含めてありうるのかなと想像した。、
    19-17

  •  脳科学の立場から心の存在を一般向けに書いたものである。最も興味深いのは心と身体の境目が私が考えていたのとは異なることだ。
     漠然と心は脳が中核となっているのに対して、身体は心臓がその中心であると考えていた。もちろん脳も心臓から送られてきた血液で動いているのだから、この考えは明らかにおかしい。ただ、精神的なことは首から上で大半をまかなっていると考えていた。
     ところが、何かのきっかけで起きる情動は脳だけでなく、全身に駆けめぐるネットワークの情報を脳が最終的に構造化して認識されるようなのだ。また情動と認知は同時になされ、認識されることがなくても行動は起きる。私たちはほとんどの行動を認識することなく自動的に行っているというのである。心と身体という場合、それは完全に分断できるものではないのだ。
     その際に情報を伝えるのはいわゆるホルモンと呼ばれる体内物質で、この配合率やその他の様々な要因が複雑に関係していわゆる心を形成するというのである。
     私の力では設計図は見せられたが実態が分からないという気持ちになっている。ただ、かなり高度な専門的な内容を含むが興味深い内容の連続で最後まで楽しめたのは確かだ。

  • こころという明確な定義のないシステムを、大脳皮質の認知機能、大脳辺縁系による情動と記憶の制御機構、報酬系の機能などどいった観点から考察。

  • 生物の進化の先に、環境を認識する能力を超え、他者へ共感する意識を持ち得たことは、ヒトという驚異の種を出現させた。あらゆる感覚情報は脳内現象として還元され、意識を立ち上げている。この謎にどんなアプローチで分析しているか興味を持って読んだ。ヒトが他の生物種から質的進化を遂げた大脳皮質という構造、これと並行する形でより古い大脳辺縁系が有機的に連携することで複雑な神経活動を担っている。記憶のメカニズムとともに、原理的説明が解析されてきているが、根源的な進化の方向性に関する何故については永遠に近寄れない謎だろう。

  • 2018.12.03 予約

  • 「こころ」って何だろう?どこにあるのだろう? そんな疑問を脳科学から解き明かす本。

    ・もっとも進化的に新しくて認知や思考をつかさどる大脳皮質と、脳の深部にあり動物にも共通する情動をつかさどる大脳辺縁系。
    ・大脳皮質は前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分かれ、領域ごとに機能が細かく分かれている。
    ・大脳皮質はものごとの要素を分解して情報処理を行う。視覚情報は左右別々に傾きや色、明るさなどの要素が入力され、脳内で再構成されてイメージを作る。「味、におい、色などは意識の中だけに存在する」→音楽も脳の中だけに存在する…?
    ・共感力も大脳皮質に存在し、こころに影響する。
    ・情動は脳大脳辺縁系でつくられる。結果としての情動表出が脳にフィードバックされて情動を修飾する。
    ・作業記憶(ワーキングメモリー)は前頭前野、エピソード記憶や意味記憶などの陳述記憶(言葉で表せる記憶)は海馬と大脳皮質、手続き記憶(技能の取得)は大脳皮質、大脳基底核、小脳、情動記憶(条件や文脈で引き出される)は海馬と偏桃体が関わっている。
    ・ストレスホルモンは陳述記憶を弱め、情動記憶を高める。
    ・ドーパミンの放出による快感で行動を強化する「報酬系システム」によりその行動をやめられなくなる。人間を向上にも破滅にも導く。
    ・脳内にはこころの機能に影響を及ぼす多数の神経伝達物質があり、認知や記憶など速く正確なもの、ゆっくりと気分を醸成するものなど特性もいろいろ。
    ・行動のほとんどは認知よりも情動のもとに行われている。大脳皮質での共感性や社会性、認知などの機能をフィードバックすることで人間のこころは複雑化し、社会の変化とともに日々進化している。

  • 「睡眠の科学」「食欲の科学」などの著者の最新刊は、「こころ」という、一見文学的な事象をテーマに、脳の機能を解説したもの。
    人の感情や振る舞いの多くは、古くから発達し、本能というか直情的に行動している部分と身体からのフィードバックにより支配されている。それを比較的新しく高度に発達した部分で認識し、働きかけを強めるが故に、自らをコントロールしているような気になるのだという。脳内での化学物質の働きで、かくも高度なことが行われていること自体が驚異的。
    これまでの著作以上に難しい部分も多いが、新書一冊としてはこれ以上は望むべくもない内容だと思う。

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著者プロフィール

1964年東京生まれ。筑波大学大学院医学研究科修了。筑波大学基礎医学系講師・助教授、テキサス大学ハワード・ヒューズ医学研究所研究員、筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授などを経て、金沢大学医薬保健研究域医学系教授。医師、医学博士。日本睡眠学会理事も務める。
1998年、覚醒を制御する神経ペプチド「オレキシン」を発見。睡眠・覚醒機構や摂食行動の制御機構、情動の制御機構の解明をめざして研究を行っている。
第11回つくば奨励賞、第14回安藤百福賞大賞、第65回中日文化賞、平成25年度文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)受賞。
著書に『睡眠の科学』『食欲の科学』(以上、講談社ブルーバックス)、『〈眠り〉をめぐるミステリー』(NHK出版新書)がある。

「2015年 『睡眠障害のなぞを解く 「眠りのしくみ」から「眠るスキル」まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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