人間のように泣いたのか? Did She Cry Humanly? (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 605
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065135945

作品紹介・あらすじ

生殖に関する新しい医療技術。キョートで行われる国際会議の席上、ウォーカロン・メーカの連合組織WHITEは、人口増加に資する研究成果を発表しようとしていた。実用化されれば、多くの利権がWHITEにもたらされる。実行委員であるハギリは、発表を阻止するため、武力介入が行われるという情報を得るのだが。すべての生命への慈愛に満ちた予言。知性が導く受容の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 生殖に関する新しい医療技術。キョートで行われる国際会議の席上、ウォーカロン・メーカの連合組織WHITEは、人口増加に資する研究成果を発表しようとしていた。実用化されれば、多くの利権がWHITEにもたらされる。実行委員であるハギリは、発表を阻止するため、武力介入が行われるという情報を得るのだが。すべての生命への慈愛に満ちた予言。知性が導く受容の物語。
    「講談社BOOK倶楽部」より

    ”人間らしさ”について考えることになった回.突拍子もないことをするのが人間、感情的に動くのが人間、恋をするのも人間.これ以外にも人間らしさを表すものがあるだろう.
    魂は輪廻転生してまた蘇るとするならば、この体は借り物ということになる.借り物の体はロボットではダメなのか?有機物である必要がある?この小説で描かれたような世界がくるならば、”人間”の定義て何だろうなと思う.

    p.227
    彼女は、急に僕に近づき、抱きついてきた。もの凄く強く、両手で拘束された。

    両手で拘束された、て.表現!甘くもなんともなさすぎる.こういうところがハギリ博士らしいと感じる.

  • このWシリーズの最終巻は、これでもかってくらい完全にハギリ博士とウグイとのラブロマンスに徹底してくれました(笑)。読者の好みを分かってるよね~。ウグイが可愛すぎて「もうダメ!」って感じです。

    このWシリーズはウォーカロンとか人工知能とか不老不死の人工身体とか、生殖ができなくなった人間達とか、いろいろなテーマを混ぜ合わせてくれて、我々に人間の倫理観や永遠の命を得たら人間どうなるんだとか、子孫繁栄とはなんぞやとかそういったことを考えさせてくれました。
    でも、終わってみると『恋』を知らない不器用な中年の学者先生が(実際は100歳超えてるんだろうけど)と仕事に命を懸けていた若きエリート女性情報員(ウグイは20代後半くらいなのかな?)が愛に目覚めるというラブストーリーだったという、本当に楽しませてもらったシリーズでした。

    今の時代、猫も杓子も『愛』だの『恋』だの、『キス』だ『セックス』だと恋愛を我が物顔で知ったように話したり、書いたりするけど、この『人間のように泣いたのか?』ではそんな言葉は一言も使われることなく、本物の『愛』のストーリーを紡ぎ出してくれました。

    ハギリ先生が心情で「ウグイといるといくらでも話せる」、「ウグイに害を加えさせない為なら、僕はどんな悪事だってやってみせる」なんてことを独白する場面があるけど、「そりゃ、もう、あなた、ハギリ先生。それは先生がウグイを愛してるってことですよ」って読者のこっちがつっこみたくなるってもんです。

    「好き」っていう言葉は小説の最後の2ページにやっと初めて出てくるんだけど、もう、ハギリ博士から訳分からん症状説明を受けるカウンセリングの医師の気持ちがいやってほど分かるよね。
    「それは恋煩い!二人でよろしくやってくださいよ!もう!」ってね(笑)。
    二人の最大の見せ場が、ウグイがハギリ先生を抱きしめるところとか、二人が心を通わせて手をつなぐところって、「大正時代の小説か!」って、つっこみたくなります(笑)。

    まさに10冊に渡った『尊い』ラブストーリーを楽しませていただきました。ありがとうございました。

    実を言うと森博嗣先生の小説は「スカイ・クロラ」シリーズだけしか読んだことなかったので、『すべてがFになる』から読み直しますねっw

  • 愛の話じゃなですか。
    愛というか・・・恋??

    Wシリーズ最終作にして、森博嗣先生の視線が「人間」に回帰している。
    Wシリーズって、「こんな未来、すごいな。森先生の考える未来、すごい」って、
    その未来思考の広がりに、
    「おお」って感じだったのですが、
    最終話、いい意味で、
    「人間」にスポットが当たっています。

    今まで、ウォーカロンや、トランスファの世界で、
    戦いも、ウォーカロン間や、仮想現実上での戦いだったのが、
    今回、「こんなところが舞台になるだなんて!」って驚かされます。

    森博嗣、永遠のヒロインも出てくるし、
    なんといっても、あの二人の、今までのもやもやした関係に・・・。

    ただ月を見上げる。
    そんなことが、こんなにも美しいとは。

    やはりそれを美しいと「感じる」、本質があるのでしょう。
    人間がいるから、「美」があるのでしょう。

    私は、誰も登れない場所にある高山植物も、そこに「美しさ」はある、
    と思う人間ですが、
    森博嗣先生は、「美を感じる主体=人間がいなければ、美も存在しない」と考えているように感じられます。

    そうして今回、先生の描いた光景は美しかった。
    それは「月」ではなく、ある感情が伴ったからでしょう。

    人間は泣きます。
    それが人間だから。
    そして涙は、悲しい時のためだけにあるのじゃない。

    本作はかなりずっとバイオレンスシーンの続く1作ではありますが、
    美しい1作でもありました。

  • とうとう、Wシリーズ最終巻。
    今回はハギリ博士自身が危ない目にあった訳ですが、なるほど、客観的にデータだけ見ると、すごい人に見えるんだなあ…いや、博士の実態ももちろんすごい人なんですけどね。ちゃらんぽらんで、思いつきで行動するような人だったとしても。親愛関係の構築があと一歩なところがあったとしても。
    これからもまだまだ博士とウグイ、博士とデボラ見ていたかったので、最終巻なのは残念。
    でも、もしかしたら、森先生の本を読んでいたら、また出会えるのかも…?
    ちゃんと、履修、しますね。

  • 終わっちまった悲しみに
    Wシリーズの10作目
    完結

    ハギリとウグイのやりとりがとっても良いですね。
    1作目からすると考えられない展開です。

    もっと読みたかった。

  • 中年の理系研究者が初恋に悩むラストとは思わなかった。とても良かった笑
    とはいえ、人工知能と人間の対比を考えると当然のテーマかもしれない。 続編が楽しみである。
    人工知能同士の争いということでは手塚治虫の「火の鳥(未来編)」が思い出された。

  • え?
    シリーズ完結。
    ウグイがどんどんチャーミングになっていって幸せだった。

    そして気づく。
    私は前巻の「天空の矢はどこへ?」をとばしたのではないか・・・w

  • 出たっ マガタシキ。
    なんだか紅子さんに似ている気がする。

    自分的にはアネバネのスピンオフ書いてほしい。

    このお話はこれでおしまい。

  •  いいからはやくくっつこうよ、ハギリ先生とウグイさん!

     Wシリーズ最終話。
     まあ、うん、森博嗣らしいというか。相変わらずはっきりとした物語の進展をさせない作家だなぁ。その話のなかで起こった事件への解決は一応書いてくれるんだけど、シリーズ通しての謎というか、結局どうなるのよ、っていうあたりはふんわりしたまま。どのシリーズもだいたいそんな感じだよね。次に続けるつもりだからなのか、書く気がもともとないのか。マガタシキがほんと結局何がしたいのか、なんのためにちょくちょく現れてるのか、全然、まったく想像もできません。今回はウグイさんが可愛かったからまあいいや。
     抜粋。


    「人間だけが、奇跡を信じる」


     それも不安定性からくる思考だろうね。

  • 『なぜ、いつまでたっても夜は眠れずに』

    読み終わってなぜか悲しくなった。お話は確かに終わったはずなのに。きっと丸く終わったのに。いますぐ、最初から読み直したい。なにが、私を悲しい気持ちにさせているのか知りたい。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2020年 『森メトリィの日々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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