怪盗インビジブル

著者 :
  • 講談社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065136591

作品紹介・あらすじ

とある地方の公立中学校、通称「北中」では、生徒たちの持ち物の紛失が相次ぎ、現場には決まってネコが描かれた黄色い付箋が残されていた。「あいつに盗まれたんじゃないの?」まことしやかに噂される犯人の名前。それは、古くから伝わる学校の七不思議のひとつ――人が一番大事にしているものを盗んでいくという怪盗インビジブルだった。一方その裏側で、標的にされた生徒たちには、それぞれ思いがけない変化が訪れて――。

感想・レビュー・書評

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  • 「北中」を騒がしている連続盗難事件。
    現場には決まってネコが描かれた黄色い付箋が残されている。それは、古くから伝わる学校の七不思議のひとつ――人が一番大事にしているものを盗んでいくという怪盗インビジブルのサインだった。

    引退試合目前に卓球部を辞める時言い出した、ケンの手元から無くなったケース
    小学校の頃の親友のセイラのiPhone
    英語教諭の今日子の鞄から消えた辞職願の波紋
    優等生を演じつつ、内心で全てを罵倒して暮らすモモの無くしたものとは
    修学旅行に関する不正を暴くため、怪盗になる彼らは

    悶々とする行き場のない中学生の想いが、怪盗の姿を借りて現れる。
    周囲との関係、家庭の不和、教師の悩み、思春期のもやもやから、重いものまでさまざまだけど、どれも前向きな結末。
    ラストが何で0?と思ったら、そう言うことか!
    飄々とした校長とヤンチャなモン吉さんがまたイイ味だしてる。

  • 北中の七不思議の一つ、怪盗院ビジブル。北中の生徒の一番大事なものを盗む。その謎と、取り巻く生徒や先生のお話。
    生徒の悩みが、割と身近なものから、なかなかヘビーなものまであり。窃盗証の話については、ちょっと重かったけど、部活の事とか、スマホの事とか、また教師側(大人側)の悩みなど、興味深く、面白く読めた。
    最後に「怪盗インビジブル」とは何か?の謎ときが語られており、それもまたスッキリして良し。その正体が、教師のお話とリンクしてたり、時間の経過もわかりやすくて面白かった。
    少し、予定調和すぎる部分もあるけど、初代?怪盗インビジブルが亡くなっていたり、偽の怪盗は学校を去ることになったり、ちょっと辛口にしあげているところも、また好き。
    行定さん、基本的には、ハッピーエンドがあまり好きじゃないのかもな。個人的には、そこが、また好みだったりする。

  • 誰かの1番大事なものをそっと盗んでいく怪盗インビジブル。目印は小さな黄色い付箋に描かれたやや不細工なネコ。今日も学校のどこかでインビジブルが出現する……

    卓球部の二人の微笑ましい一話や、友達との関係に悩む少女の二話、結婚か仕事か悩む先生の三話、まではインビジブルの正体にわくわくしたし、小粒ながらも青少年たちの青い空気がとてもよかった。しかし彼女がインビジブル、というのはちょっと納得しかねるな…彼女自身のしんどさ、母との関係のこじれ方の書き方はすごいよかったんだけど、この重さと前話までのちょっとあったかいインビジブルとか結びつかなくてなあ。彼女がそんなに他人の大事なものを見極める目があるように思えなくて、違和感があった。思わせぶりな校長と用務のおじさんの話もあんまりだったな…でもインビジブルが絡まないところでは軽やかな青少年たちの良い話だよ!

  • ラストの火事の場面で校長室の金庫破りを試みる場面はちょっと盛り上がったけどそれ以外はなんとも中途半端な印象が拭えませんでした。
    中学校内で起こる謎の盗難事件、それは怪盗インビジブルのしわざで、実は怪盗インビジブルの出現は40年前、当時の生徒によるものだった、現代で別の生徒によるしわざで、一番大事なものは盗まない→一番大事なものを盗むにいつの間にか変化していた、という…。
    一つひとつの短編がそれなりにつながっているようないないような、読んでいてどっちなの? と気になってしまう点、読み進めるにはちょっと邪魔でしたね(そう思わせないようにつながりがあるなら”ある”、ないなら”ない”とはっきりさせてほしかった)。短編一つひとつで描かれている登場人物の内面とモモとの関係、40年前の出来事のどれもがばらばらで、まとまりがない点も残念。だったらまったく独立した短編にしたほうがよかったのではと思ってしまいます。

  • 盗みをした親子の話が印象的だった。
    あとは、結婚の為に仕事を辞めた先生の話。
    人が何を望んでいるのか察するのは難しいものだな思った。

  • 最後の話がよくわからなかった。

  • とある公立中学校の七不思議のひとつ怪盗インビジブル
    …人が一番大事にしているものを盗んでいく

    こういう怪盗がでてくる学校なら、行ってみたい♪

  • 中学校のな七不思議、大事な物を盗む怪盗インビジブルに関わる連作短編。本人が大事だと思っていても周りは手放したほうがいいと思っていたり、逆だったり。いい話しばかりじゃなかったけど全部良かった。

  • 気持ちが優しくなる、ちょっと切なさも合わさって、そんな一冊。
    どこの学校にも盗難ってあったけど、こんな七不思議的な怪盗ならわたしの青春時代にも欲しかったかな。や、困るかそれは。

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著者プロフィール

1979年生まれ。宮城県出身。東北学院大学教養学部卒業。2012年『名も無き世界のエンドロール』(『マチルダ』改題)で第25回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。他の著書に『本日のメニューは。』『怪盗インビジブル』『ストロング・スタイル』『ヒーローの選択』など。

「2020年 『KILLTASK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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