興亡の世界史 インカとスペイン 帝国の交錯 (講談社学術文庫 2514 興亡の世界史)
- 講談社 (2018年11月11日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065137314
作品紹介・あらすじ
講談社創業100周年企画「興亡の世界史」の学術文庫版、第4期の4冊目。インカ帝国がアンデス全域を支配するに至った16世紀初頭、イベリア半島ではイスラーム帝国を駆逐したカトリック帝国スペインが、海を渡り新大陸の制覇へと向かっていた。本書では、この二つの帝国の生成から成熟への歴史を辿り、スペインのインカ帝国征服、そして共生と混交、服従と抵抗の果てにスペインとの訣別へと向かうアンデスの300年を詳述する。帝国の衝突が生んだ植民地空間は、征服者であるスペイン人、帝都クスコに生き延びていたインカ族、白人、インディオ、黒人の3者から生まれた混血の人々、そしてイベリア半島を追放されたユダヤ人などさまざまな人々が共存していた。スペイン人の寛容と排除の思想はアンデス社会をどう変えたか、スペイン支配下でインカはどのようにその命脈を保ったか、スペイン人と結婚したインカ皇女をはじめインディオや混血の女性たちはどう生きたか、さらにユダヤ人の迫害と異端審問、インディオの反乱など、いろいろな角度から光を当て、多様な植民地社会の様相を明らかにする。
〔原本:『興亡の世界史第12巻 インカとスペイン 帝国の交錯』講談社 2008年刊〕
感想・レビュー・書評
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スペイン帝国の歴史については少し学んだ気がするが、スペインが支配したインカ帝国についてあまり詳しく学んでいないので、この本を読みました。
興亡の世界史全21巻は講談社学術文庫で出版されているのだが、講談社学術文庫の中国の歴史全12巻がとても面白かったので、数年前にキノッピイで全巻揃えてしまった。デジタル本の辛いところは、なかなか最後まで読破するのがアナログ本に比べて困難な事である。この本も数年前にデジタルで途中まで読んだまま放置していた。たぶんアナログ本にしておけばもっと早く読み切ることができたのにと少し後悔しています。
でも、この本は素晴らしかった。なぜピサロがあれほど酷い虐殺ができたのか?インカ帝国はその後どんな道筋を辿って消滅したのか。インカ族はその後どうなったのかなど知らなかったことがたくさん知ることができた。それと15世紀から19世紀までのスペインの歴史を学ぶことは現代を理解する上でとても有意義だと思います。
でもやっぱりこういう学術文庫なんていう類の本は「紙」の本はいいと思います。まだこのシリーズの読みかけデジタル本が6冊ありますが、これも読破しようと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/741973 -
普通は因果滅亡で悲惨な歴史、で終わるのがその後もインカ貴族がスペイン支配下で特権階級として残り、時に要求を突きつけ、ときに戦い、ときに原住民を、弾圧しといろいろあったのがわかるのはなかなか面白い。
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国王は例え死亡しミイラになっても、遺族と共に土地と財産を保持し続けた。新国王は前王の資産を継承できず、1から財産を築く必要があった。それが帝国を征服へと駆り立てた
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インカの末裔がスペイン支配後、生き残りをかけてどのような立場にさせたか。
残念ながらインディオの立場に立ったとは贔屓目にも言えないようだ。 -
第1章 インカ王国の生成
第2章 古代帝国の成熟と崩壊
第3章 中世スペインに共生する文化
第4章 排除の思想 異端審問と帝国
第5章 交錯する植民地社会
第6章 世界帝国に生きた人々
第7章 帝国の内なる敵 ユダヤ人とインディオ
第8章 女たちのアンデス史
第9章 インカへの欲望
第10章 インカとスペインの訣別
著者:網野徹哉(1960-、南米史)