完全無罪 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065139615

作品紹介・あらすじ

新人女性弁護士・松岡千砂が自分を誘拐したかもしれない殺人犯の再審無罪を求める。21年前に誘拐され忘れ得ぬ恐怖を味わった少女が、追う真実のその先は? 無罪と無実は違うのか? 『雪冤』の著者が、あらためて冤罪の悲劇と罪の本質を問うミステリー巨編!(文庫書下ろし)

感想・レビュー・書評

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  • 初読み作家さん。

    話は、弁護士の主人公の女性が、20年以上前に自分が誘拐された事件に関わるかもしれない人の再審無罪を求めていく。

    弁護士、警察、検察、近所の人、一般市民、親族と、あらゆる立場から語られていく構成。
    とても読みやすいから、1日で一気読み。

    無罪は無実ではない。慟哭の冤罪ミステリーという帯に惹かれて購入してみたものの、面白かったです!
    報道では知り得ない冤罪の理不尽に涙を禁じ得ないと裏帯にあります。

    日常でこのような仕事にも関わらないからこそ、興味深いし、いつも法廷や警察系のミステリーは読み込んでしまう。面白いなあと。

    作者の他の作品もみてみようーっと。
    初めて名前を知りました、本屋さんの本棚で目立って宣伝されてなければ知らなかったかもなと。

    とても読みやすかったー!満足!(^^)

  • 本作のテーマは完全無罪!

    約半月前に13階段(高野和明)を手にしていた為、当然のことながらどことなく似たような雰囲気を感じ、それ故に比較してしまう。

    読了した今の評価としては☆3.6辺り。
    (13階段を☆4.0とし比較)

    本作の主人公は女性弁護士・千紗。

    彼女が担当する事になったのは21年前の少女誘拐殺人事件の冤罪再審裁判。

    彼女はその再審裁判で逆転無罪を勝ち取るが、千紗自身もその事件で監禁された少女の1人。

    そして千紗により無罪放免となったのが、平山。

    無罪となり社会復帰した平山に待ち受けるのは世間からの疑いの眼差し。

    真犯人を突き止めない限り、タイトルである完全無罪とはならない。

    そこから始まる真犯人探し。

    ラストは思いもよらぬ真犯人に辿り着くのだが、そこまでの流れに緻密というよりも少し出来過ぎた感を感じてしまった。

    ただ完全無罪という考え方は新たな視点での気づきを得ることが出来ました。

    内容(「BOOK」データベースより)
    21年前の少女誘拐殺人事件の冤罪再審裁判に抜擢された期待の女性弁護士・松岡千紗。しかし、千紗はその事件で監禁された少女の一人だった。間一髪で自分を殺めたかも知れない容疑者に千紗は敢然と対峙する。罪を作り出す罪、「冤罪」法廷が迎える衝撃の結末。大ベストセラー『雪冤』を超える傑作。
    著者について
    大門 剛明
    だいもん・たけあき
    1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。第29回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞した『雪冤』で2009年にデビュー、ドラマ化される。主な著書に『反撃のスイッチ』『告解者』『婚活探偵』『優しき共犯者』『鍵師ギドウ』などがある。『テミスの求刑』『獄の棘』など映像化作品も多い。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    大門/剛明
    1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒業。第29回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞した『雪冤』で2009年にデビュー、ドラマ化される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 冤罪をテーマにした1冊。
    色々考えさせられる内容だったけれど、話の展開が早くて読みやすく面白かった。

    幼いころ誘拐された恐怖に今も苦しむ主人公:千砂が、当時殺人犯として逮捕された平山ときちんと向き合い、迷いながらも真相解明のために奔走して苦難を乗り越えていく姿は読んでいて応援したくなったし頼もしかった。

    冤罪が確定し釈放されても真犯人が出てこなければ世間の目は厳しく生きづらいのが現実。平山が失ったものは計り知れないくらい大きく、終盤の平山の行動や思いには胸が苦しくなった。

    今井や田村のような利己的で悪意ある人たちが優位になるのではなく、決して許されることではないけれど過ちを犯したあと有森のように行動を変えられるかが大切だと思う。真犯人が判明したのは良かったけれど、今更どうにもできない状況にはモヤモヤした。

    どんな苦しい状況に陥っても、大切に思い信じてくれる人がいる、帰る場所がある、それが何よりも心強い。

  • 面白かった!
    冤罪をテーマにしたミステリーエンタテイメントストーリ
    二転三転するストーリに最後の最後までドキドキして読み進めました。

    ストーリとしては、
    女性弁護士の松岡千紗は、21年前の少女誘拐殺人事件の冤罪再審裁判に抜擢されます。
    しかし、彼女自身もその事件で監禁された少女の一人。
    平山は自分を監禁した犯人なのか?それともやはり冤罪なのか?
    当時の取り調べを行った二人の刑事、今井と有森
    そして、今井の口から語れる当時の真相
    平山は冤罪だったのか?
    冤罪だとしたら、真犯人は誰?
    平山の怪しい行動..

    そして、ラスト、明らかになる真相!
    という展開です。

    ページをめくる手が止まりません
    作者の術中にはまり、この人が犯人?やっぱり、実はこの人?って振り回されました(笑)

    2時間ドラマで見てみたい

    これはお勧め

    • masatoさん
      ゆうママさん
      原田マハさんの「本日はお日柄もよく」はお勧めです。
      ぜひ、レビューをお願いします。
      ゆうママさん
      原田マハさんの「本日はお日柄もよく」はお勧めです。
      ぜひ、レビューをお願いします。
      2022/02/27
    • アールグレイさん
      こんにちは(^_^)/
      masatoさん

      レビュー、迷っています。このお話が政治に絡んでいくなんて、思ってもいませんでした。民衆党と進展党...
      こんにちは(^_^)/
      masatoさん

      レビュー、迷っています。このお話が政治に絡んでいくなんて、思ってもいませんでした。民衆党と進展党の戦い、どうなるのでしょう?
      >(。_゜<」
      2022/02/27
    • masatoさん
      そう、政治が絡んでくるのが正直イマイチなんです!
      でも、それを差し引いても元気になれる物語です
      そう、政治が絡んでくるのが正直イマイチなんです!
      でも、それを差し引いても元気になれる物語です
      2022/02/27
  • 罪を作り出す罪「冤罪」というテーマはもちろん、二転三転のミステリとしてもとても楽しめた。

    冤罪が晴れたとしてもその人に対してどこか拭えない疑い、恐怖はつきまとう。そのような、人が当たり前に抱く思いを絡ませながら冤罪の恐ろしさ、理不尽さ、完全無罪への難しさを描いた作品だった。

    この冤罪事件の真犯人という怪物と千紗の心を支配する怪物、双方への対峙、二転三転させながらの描き方も上手いなぁという印象。あぁ、そういうことだったのか…。

    罪を作り出すことの容易さ、罪を無くすことの困難さに憤りと涙がこみ上げる。


    真犯人が出てこない限り完全無罪にはなり得ない。

    しかし、完全無罪を勝ち取っても時間は巻き戻せない。喪った時間は戻らない。

    心は戻らない。

    • あいさん
      こんにちは(^-^)/

      この名前どこかで見たなぁって思っていたら、最近インスタのフォロワーさんに教えてもらった作家さんだ!
      この物...
      こんにちは(^-^)/

      この名前どこかで見たなぁって思っていたら、最近インスタのフォロワーさんに教えてもらった作家さんだ!
      この物忘れの激しさよ(笑)
      その人は「雪冤」を読んでいたよ。
      くるたん読んでる?
      くるたんのレヴューも面白そうなので読んでみようかな。
      でも、この人の作品図書館にあんまりないんだよね。
      2019/08/02
    • くるたんさん
      けいたん♪(●'∇')ハロー♪

      そうそう、雪冤の作家さん♪
      雪冤は昔読んだけど内容はスッカリ。でも面白かったのは憶えてる作品だよ。オススメ...
      けいたん♪(●'∇')ハロー♪

      そうそう、雪冤の作家さん♪
      雪冤は昔読んだけど内容はスッカリ。でも面白かったのは憶えてる作品だよ。オススメ(≧∇≦)

      でもって、この作品も面白かったよ。
      話題なのもわかる気がする٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
      考えさせられるけど、ミステリとして面白くどんどん読み進められるよ♪
      コンパクトなページ数なのも良かった♪

      そっか、図書館にあるとどんどん挑戦しやすいよね〜。
      2019/08/02
  • 大門剛明『完全無罪』講談社文庫。

    文庫書き下ろし。面白いし、興味深いテーマなのだが、些か捻り過ぎた感じかな。タイトルから推測できる通り、冤罪事件の真相を描いたミステリーである。

    新人女性弁護士の松岡千紗は21年前の少女連続誘拐殺人犯の再審無罪を勝ち取る。実は千紗も21年前に誘拐された少女の一人であり、無罪となった平山が実は真犯人であったのではと疑念を抱く……

    描かれる事件は北関東連続幼女殺人事件をモデルとしているようなのだが、さらなる捻りが加えられ、最後まで真実が見えて来ない。実は平山が犯人なのか、平山は警察の捏造により犯人に仕立て上げられたのか、真犯人は……

  • 最後の最後まで真相が分からず、ハラハラ。

    あぁ危ない!って思うシーンも何回かあったけど短絡的ではない展開。
    んーこの人が真犯人か?怪しい。と思う人も、あら違うのか…が何回も。
    そしてラスト!おぉー!

    ほんと大門剛明さん小説のこういう所が好きだ。

  • いきなり2作目から読み始めてしまったのでスタートに戻ってみました。

    読み終わってみて、誰かの正義は他の人にとっては悪になる…ということを目の前に突きつけられたと感じました。
    自分の正義のためのあまり共感できないという登場人物の行動にもその方なりの正義がある、でもそれって誰のためなのだろう?
    と同時にどうしようも無い悪もあるんだと読んでいてちょっとムカムカしました。
    でも綺麗にご都合主義に終わって良い話ではないと思ったので結末には納得しています。

  • 大門 剛明氏の『冤罪』を巡る社会派ミステリー。
    21年前の少女誘拐殺人事件の冤罪再審裁判に抜擢された期待の女性弁護士・松岡 千紗(まつおか ちさ)。
    果たして、自分にこの難しい再審裁判が闘えるのか?

    しかも、千紗は、21年前の同様事件で監禁され、間一髪助かった少女であった。

    もしかしたら、自分を殺めたかもしれない容疑者・平山 聡史(ひらやま さとし)と、敢然と対峙する千紗。
    果たして、自分に平山の無罪が立証できるのか?

    二転三転するストーリーに、謎の真犯人からの電話もあり、読む手が止まりません。

    恐らく、真犯人はこの人物では?との予想は、見事に外れました。なるほど、そう来たか...

    表題にもある『完全無罪』が如何に困難か。
    そして、仮に無罪になっても、そこがゴールではなく、失ったものを取り戻す新たな戦いのスタートなのだと...

    最後、千紗が悪夢から解放され、新たに歩み出すシーンに、希望を感じました。

  • 一日で読み切ってしまった...
    最後の最後まで気が抜けない!
    この作家さん初めて読んだけど、ほかのもチェックしてみようっと

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著者プロフィール

1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞、及びテレビ東京賞をW受賞。ほかの著作に、『罪火』『確信犯』『共同正犯』『獄の棘』など。

「2023年 『正義の天秤 毒樹の果実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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