すごい分子 世界は六角形でできている (ブルーバックス 2080)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065142141

作品紹介・あらすじ

化学の象徴とも言われる六角形の芳香環。身近な物質にも広く存在するが、カーボンナノチューブやカーボンナノベルト、フラーレンなどのように、最先端の科学でも注目され続けている。芳香環が持つユニークな性質を利用して、さまざまな応用がされており、その可能性は無限大。六角形の物質の魅力にとりこになった化学者たちのエピソードを踏まえながら、芳香環のおどろくべき性質を紹介していくことで、自然に有機化学の知識が身につく1冊

感想・レビュー・書評

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  • 化学を専攻せずには難しく、専攻したなら物足りず、帯に短し襷に長しか。だが、しっかり読めば分かりやすく面白い。用語を一つ一つ理解しながら読み進める事が大事。

    先ず、題名から。世界は六角形でできている。六角形とは、芳香族化合物と呼ばれる芳香環のこと。化合物とは、さまざまな化学元素の原子が化学結合によって結合した分子が、多数集まって構成された化学物質である。その中に有機化合物、つまり、炭素を含む化合物がある。

    動物や植物の生命活動を維持するために必要なタンパク質、脂肪、炭水化物などを構成している物質や生活に不可欠な衣料、医薬品などに用いられている物質の多くは有機化合物。

    この有機化合物も、更に「脂肪族化合物」および「芳香族化合物」に分類される。で、芳香族化合物がベンゼン環と呼ばれる正六角形の炭素骨格をその構造中に含んでいる化合物だという事。なので、六角形で世界ができていると。

    芳香族化合物はかっちりと形が決まっていて変形しにくい。バニラの香りの成分であるバニリン、シナモンの香りの成分であるシンナムアルデヒド。病院の消毒剤であるクレゾール、防虫剤としてのナフタレンなど。芳香族化合物と呼ばれる芳香環を持った化合物には、良い香りを持ったものが多い。他にも、カーボンナノチューブは全体が安定性の高い芳香環で出来ている。そのため、熱や薬品に強く、ほとんど劣化しない。比重はアルミニウムの半分の軽さだが、機械的強度は鋼鉄の約100倍。電気的性質は、導電体にも半導体にもなる。

    カーボンナノチューブはまだコスト面や、純度、製造面で課題がある。普及すれば、世界観が変わるような技術だと思うのだが。

  • カーボンナノチューブの発見の場面が面白かった。陽極で精製された新型大スター分子に皆んなの目が集まる中、陰極にこびり付いた煤を電子顕微鏡で覗いてみた人がたった一人だけいた、というのは、世の中の『変な人』を勇気付ける話だ。
    専門的なところは読み飛ばしたけど、エピソード的な部分だけでも化学の奥深さは十分垣間見ることが出来たかな。。

  • タイトルにすごい分子とあるから、無機有機問わず広く紹介しているのかと思ったら、芳香族化合物にフィーチャーしてて、少し騙された感が無きにしも非ず。副題をちゃんと読めっていう話ですね笑

    閑話休題。僕の有機化学の知識は高校化学レベル止まりので、その世界の広がりは予想以上だった。本書に書いてあるように、有機化合物で無機化合物の性質(例えば導電性とか)を再現できるのなら、人が生産する無機化合物で今後残るのは何だろう、と考えた。有機化合物には柔軟性などの特長があるわけだから、身の回りの製品は殆ど置き換わってしまうかもしれない。残るのは建物の骨組みとか構造物ぐらいしかない気がする。

  • 普段からケムステで化学に親しんでいる者には物足りない内容。ただ、内容は正確で、また分かりやすい。
    読了40分

  • 只々著者の広範な知識に圧倒される。

    「世界史を変えた薬」「炭素文明論」とはやや指向が異なり専門色が強くなったが、やはり面白い。

    所属する学科の教授が登場してびっくりした。

  • 「作家買い」している1人だが、レーベルを鑑みるべきだった。相変わらず面白くわかりやすいが、それは「ブルーバックス読者にとって」との枕詞がつく。
    さまざまな興味深い分子「そのもの」についての書物であって、一般人にキャッチ―な、それを使って「何ができるか」についてはあまり触れられていない。
    化学を志す中高生にとっては、非常に有用な1冊となるだろう。私にはやや敷居が高かった。

    2019/8/17〜8/18読了

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著者プロフィール

千葉大学大学院社会科学研究院准教授。1976年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)

〈主要業績〉
『「平等」理念と政治――大正・昭和戦前期の税制改正と地域主義』(吉田書店、2014年)
「大正期の東北振興運動――東北振興会と『東北日本』主幹浅野源吾」(『国家学会雑誌』第118巻第3・4号、2005年)

「2019年 『公正から問う近代日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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