興亡の世界史 人類はどこへ行くのか (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065144107

作品紹介・あらすじ

講談社創業100周年記念企画「興亡の世界史」の学術文庫版。「文明」「帝国」の興亡を軸に歴史を読み直し、現在の世界を深く理解する、新視点による「現代人のための世界史」として大好評のシリーズ、いよいよ全21巻が完結する。
人類の誕生と拡散、人口の急増、数々の帝国と文明の興亡、多宗教・多民族の共生と対立。本巻では、シリーズ各巻で取り上げてきた個別の地域・時代を超えて、各界の論者がそれぞれの研究領域から人類の歴史を見直し、現代人が直面する問題に「歴史」はどんなヒントを与えるかを考える。各章の論点と論者は以下の通り。
はじめに:新たな世界史像の必要性……シリーズ編集委員で学習院大名誉教授(西洋史)の福井憲彦氏。
第1章:世界史研究の現状とこれから……シリーズ編集委員で京大名誉教授(モンゴル時代史)の杉山正明氏。
第2章:人口からみた人類史……元国立環境研究所理事長の大塚柳太郎氏。
第3章:「海」からみた人類の移動と定住……地理学者で京大名誉教授の応地利明氏。
第4章:「宗教」は人類に何をもたらしたか……東大寺長老でイスラーム研究者の森本公誠氏。
第5章:人類誕生の地・アフリカの現状……京大教授(アフリカ地域研究)の松田素二氏。
第6章:世界史と日本……京大名誉教授(日本近世史)の朝尾直弘氏。
第7章:鼎談・繁栄の歴史から何を導き出すか……シリーズ編集委員の青柳正規氏(東大名誉教授・前文化庁長官)・陣内秀信氏(法大教授・都市史)に、ロナルド・トビ氏(イリノイ大学名誉教授・日本近世史)をまじえて語りあう。
[原本:『興亡の世界史20 人類はどこへ行くのか』講談社 2009年4月刊]

感想・レビュー・書評

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  •  「興亡の世界史」という企画は、全21巻でそれぞれの巻のテーマも面白そうなので、最終巻の21巻「人類はどこへ行くのか」読んでみましたが、正直言ってがっかりでした。
     それぞれの章立てのテーマは面白いのですが、どれも大学の卒業論文のようで、大家としての主張がない。最後のだい7章の「繁栄と衰退の歴史に学ぶ」という対談も2009年当時のものをそのまま載せているため、陳腐な内容となっているままで改訂版としている。
    副題が「今を知り明日を見通す」というのに、こんな内容で編集者は何も考えずにただ体裁だけを新しくしたのだろう。最近のシリーズものは、とにかく編集者の力が入っていない。これは雑誌でも同じで、残念ですね

  • 世界史についての本。
    興亡の世界史というシリーズの中の最終巻。2007年に出されていたが、文庫化されるにあたって新しく手直しされたもの。
    従来の世界史というのは西洋史を中心としたものであったが、本書ではそれに対してもっと多文化的で中立的な世界史を提唱している。
    人口問題については、人口バランスとその国の繁栄について書かれており勉強になった。日本は戦後の復興期、高度成長期に人口ボーナス期を迎え、一気に経済繁栄した。これからは急速な高齢化と少子化で人口減少時代を迎える。経済的な縮小はやむを得ないだろうと思う。しかし、世界的には人口増加による環境問題に直面しており、日本の人口減少は今後に必要な世界的人口減少に先駆けたものと考えれば、やむを得ないのかもしれない。
    海の歴史についてはインドを中心に西と東がインド洋で交流していたダイナミックな歴史が興味深かった。その後にヨーロッパの産業革命がおこり蒸気機関による船舶が開発され、西洋による世界の植民地化の歴史については、力による支配に辛い気持ちになる部分があった。
    アフリカの悲惨な歴史については、最も衝撃的であった。アフリカには部族がいてそれが抗争して未開である、という今日のアフリカ像が西洋的な視点から作られたものであると書かれていた。アフリカの部族という存在は古くからの伝統かと思っていたが、西洋の植民地化で地域ごとに部族を縛り付けて孤立させ固定化した結果であると知った。
    さらに、奴隷貿易がアフリカの発展に壊滅的な打撃を与えた。奴隷制度が西洋の発展と自由で民主的な生活スタイルを作ったが、その悪影響をもろにかぶった地域なのだと再認識した。
    全体にアンチ西洋の雰囲気を感じたが、日本独自の世界史への関わりを提唱していて面白かった。地域ごとにダイナミックな歴史と異文化交流があったことを知ることができ、他のシリーズも読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

学習院大学文学部教授
フランス近現代史
〈主な著書〉
『フランス史』世界各国史12(山川出版社、2001年、編著)『ヨーロッパ近代の社会史――工業化と国民形成』(岩波書店、2005年)『歴史学入門』(岩波テキストブックスα、2006年)『近代ヨーロッパの覇権』「興亡の世界史」第13巻(講談社、2008年)など多数。

「2016年 『ドイツ・フランス共通歴史教科書【近現代史】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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