やがて海へと届く (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1246
感想 : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065145289

作品紹介・あらすじ

すみれが消息を絶ったあの日から三年。真奈の働くホテルのダイニングバーに現れた、親友のかつての恋人、遠野敦。彼はすみれと住んでいた部屋を引き払い、彼女の荷物を処分しようと思う、と言い出す。親友を亡き人として扱う遠野を許せず反発する真奈は、どれだけ時が経っても自分だけは暗い死の淵を彷徨う彼女と繋がっていたいと、悼み悲しみ続けるが――。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『引っ越すことにしたんだ』と友人から言われて、そこに何を思うでしょうか?

    散らかった部屋を片付けよう、綺麗にしようと日頃思っていてもなかなかにそれを実行する機会は持てないものです。今は忙しいから、と理由をつけて、ついつい先延ばしにしてしまいがちです。もちろん綺麗好き、整理整頓好きという方には、そんなことない、と否定もされると思いますが、一般論として、当たり前に続いていく日常生活の中においては、後回しにしがちなことの一つであるとは言えると思います。

    そもそも『引っ越す』こと自体が、自身のそれまでの人生を一旦リセットする、『引っ越し』とは、そんな一つの機会でもあるのだと思います。だからこそ、人が『引っ越し』をすると聞くと何かあったのかな?そんな風に詮索する思いが頭をよぎります。

    ここに、友人から 『引っ越すことにしたんだ』と、連絡を受けた一人の女性が主人公となる物語があります。そんな女性は、友人からもう一言、『引っ越し』についてこんな風に告げられます。

    『俺のところにあるすみれのものは、ぜんぶ処分する。引き取りたいものが無いか、いちおう湖谷にも立ち会って欲しい』。

    『引っ越し』に伴って『すみれのものは、ぜんぶ処分する』と語るその友人。そんな言葉を聞いて『すうっと周囲から音が無くなる』のを感じたというその女性。

    この作品は東日本大震災によって行方不明になってしまった友人のことを思い続ける一人の女性の物語。そんな女性が、『引っ越し』に伴って行方不明になった女性のものを処分すると聞いて戸惑いを感じる物語。そしてそれは、そんな女性がその先の人生を生きていくきっかけを掴んでいく様を見る物語です。
    
    『私は都内のホテルの最上階にあるダイニングバーに勤めている』というのは主人公の湖谷真奈(こたに まな)。休憩時間になった真奈は『今年二十八になった私よりも、四つか五つ年上』という『キッチンリーダーの国木田』から、『店の入り口に、前に湖谷としゃべっていた男がいた』と教えられます。『思い当たるのは一人しかいなかった』というその場にいたのは遠野敦(とおの あつし)でした。仕事の後『向かいのファミレス』で会うことを約束した真奈は、過去を振り返ります。『まだ大学二年』だった時、『海辺の温泉街』へと友人の卯木(うつぎ)すみれと出かけた真奈は二人で山道を散策します。『私もうハタチなのに、ちゃんとした恋って、したことないのかもしれない』と言う真奈に『ちゃんとした恋って、どうしてもしなくちゃだめかな』と答える すみれ。そんな話をしながら隣の街まで歩いた二人。そして後日、『私には卒業まで彼氏ができ』なかった一方で、すみれは『「付き合うことにした」と言って遠野くんを真奈に紹介したのでした。仕事が終わり遠野の元へと赴いた真奈は『引っ越すことにしたんだ』と打ち明けられます。『俺のところにあるすみれのものは、ぜんぶ処分する。引き取りたいものが無いか、いちおう湖谷にも立ち会って欲しい』と言う遠野。その瞬間、『すうっと周囲から音が無くなった』と感じた真奈は、『わ、かった』と『つっかえながらも、しぼり出すように了解』の旨を伝えました。場面は変わり、遠野の暮らす2LDKの部屋で荷物の整理をする遠野と真奈。『こんなの、もらえない』『俺が持ってたってしょうがないし』というやり取りの中で『でも、形見分けってそういうものだろ』と語る遠野の『鋭い言葉に深々と刺され』たと感じる真奈は、『三つ目の箱』から『白いリボンの麦わら帽子』が出てきたのを見て、二人で散策した日のことを思い出します。『三年前、大きな地震がこの国を揺らし、沿岸の町へ押し寄せた津波がたくさんの命をさらった』という『肌寒い春の日』。『最近忙しかったから、ちょっと息抜きに出かけてくるね』とそんな地震の前日に部屋を後にした すみれは『そのまま行方がわからなくな』りました。『あの子は今、どこにいるのだろう』と思う真奈は、結局『麦わら帽子以外の品を選ぶことができ』ません。あの日から三年という時が過ぎても すみれのことに心囚われ続ける真奈。そんな真奈のそれからと、死者となった すみれのそれからが交互に描かれていきます。

    彩瀬まるさんの二つ目の長編小説として2016年に刊行されたこの作品。14の章について奇数章と偶数章で視点の主を交互に交代させながら描かれていきます。そんな物語を読んだ読者は恐らく物語前半であまりに茫洋とした雰囲気感に物語の全容が見えない苛立ちを感じることになると思います。それが、

    『三年前、大きな地震がこの国を揺らし、沿岸の町へ押し寄せた津波がたくさんの命をさらった』。

    そんな一文によって、この物語が2011年3月11日に発生した東日本大震災のことを描いた作品であることに気づかせられます。東日本大震災から11年の時が流れましたが、その衝撃の大きさは未だこの国の多くの人の心の中に深く刻まれていると思います。それは、多くの作家さんの心も刺激するのだと思います。震災後のボランティアによる『きのう』のための仕事を描いた辻村深月さん「青空と逃げる」、二人の”ハル”が3月11日に東京で出会う奇跡を描いた宮下奈津さん「ふたつのしるし」、そして『それぞれの家庭に、それぞれの原発事故がある。それぞれの家庭に、それぞれの放射能被害がある』という原発事故に光を当てる金原ひとみさん「持たざる者」など数多くの小説が出版されています。そんな小説の中にあって彩瀬まるさんという作家さんには、東日本大震災を取り上げる理由があります。”私は、東日本大震災のときに死にかけたけど生きて帰って来られた、という体験をしているんです”と語る彩瀬まるさん。”あのときに、曲がる道が一本違っていたら間違いなく津波にのまれていました”と続ける彩瀬さんは、「桜の下で待っている」という短編集の中で福島のことを取り上げられています。この作品では、そんな彩瀬さんがさらに本格的に東日本大震災に向き合われます。”理不尽な死に遭っても恨みや悔いをあまり残さないように生きる、というのはどういうことだろう”という先に”心を折らずに死ぬにはどうしたらいいんだろう…という気持ちに対して、回答を出せるようなものを小説で書こう”とこの作品に取り組んだとおっしゃる彩瀬さん。そんな物語では、上記で触れた小説群にはないほどに一歩踏み込んだ東日本大震災のあの日、津波が押し寄せるそんな瞬間についての描写がなされていきます。

    この作品では、上記した通り奇数章と偶数章で視点の主が交代します。奇数章の視点は『都内のホテルの最上階にあるダイニングバーに勤めている』という湖谷真美視点です。そして偶数章で切り替わるのがまさかの卯木すみれ視点。つまり、『最近忙しかったから、ちょっと息抜きに出かけてくるね』という言葉を残していなくなってしまい死者となったまさかの すみれ視点の物語が展開するのです。”どうしたら説得力のあるように死者を書けるのか、悩んでずいぶん時間がかかりました”とおっしゃる彩瀬が描く すみれ視点の物語。それこそが読者に茫洋とした雰囲気感を与える原因でもあります。そんな展開の中で、上記した、津波が押し寄せる瞬間の描写が登場します。その一部をご紹介させていただきます。

    『大きな大きな、地面が割れるかと思うような揺れだった』という街の中、閑散とした駅前を歩く すみれ。そんな中『なにかがおかしい。おかしいのだけど、なにがおかしいのかよくわからない』と感じる すみれは『違和感のある方へ目を向け』ます。『なんの変哲もない松林が連な』る、その『林の奥で、なにか大きなものが動いている』のに気づいた すみれは『なんだろうあれは』と思います。そして、そんな瞬間から『数秒も経たないうちに』、『すぐそばの林からもまっ黒い泥水があふれ出し』ます。『逃げる、逃げなければ、でも道がない』と焦る すみれですがうまく走れません。『全身が恐怖でびりびりと痛んだ』という中に『曇り空を切り裂いて、甲高いサイレンが響き渡』ります。『帰りたい。いやだ、こわい。足が冷たい水にからめとられる』という中に『上体がぐらつき、いつのまにか膝まで水位を上げた波へ前のめりに倒れ込んだ』という すみれ。そして…と描かれていくあの日たくさんの人々の命を奪った出来事を文字にしていく彩瀬さん。“あのときに、曲がる道が一本違っていたら間違いなく津波にのまれていました”というリアルなあの日の現場を体験した彩瀬さんだからこその強い説得力を感じさせるその描写は、あの日あの場所で何があったのかという真実を、そして恐怖の現実を伝えてくれるものだと思いました。そして、死者となった すみれが描かれていくその後の物語含め、体験者の立場から極めて説得力のある彩瀬さんならではの物語がここにあるように思いました。

    一方で物語の現実世界の主人公が湖谷真美です。そんな真美は『たとえば災害の衝撃をこの肌で感じていたら、「あんな大きなものに奪われたなら仕方がない」と納得できたのだろうか』というように、あの日から三年を経た今も、変わらず すみれへの思いに囚われています。そんな中、引っ越しによって すみれの遺品が処分されてしまうことに複雑な思いを抱く真美は、『残り少ないすみれの欠片がこの世からなくなる』と感じ、『命や体を奪われ、この上さらに彼女がいたという存在の椅子まで奪われる』という思いに苛まれていきます。『もしかして、新しく好きな人ができたの?』と引っ越しの理由を訝しがる真奈に、『湖谷にはぜんぜん関係のないこと』と反発する遠野。誰が悪いということのない自然災害による結果に起こる諍いがなんとも辛い思いを抱かせる物語は、真奈のその後の日々を描いていきます。

    そんな中で彩瀬さんはある登場人物の言葉にこんな思いを託します。

    『震災を忘れない、悲劇を忘れない、風化させない。忘れないって、なにを忘れなければいいんだろう。たくさんの人が死んだこと?地震や津波がこわいねってこと?…いつまで忘れなければいいの?悲惨だってことを忘れなければ、私や誰かにとっていいことがあるの?』

    11年の時が流れ、言葉としては”風化させてはいけない”と言われてはいるものの、実際にはどんどん過去の歴史の中に埋もれつつある東日本大震災。そんな中にこの彩瀬さんの言葉は強いメッセージをもって私たちに迫ってくるものだと思います。何のために、どうして、何故、”風化させてはいけない”のか、その意味なく言葉だけが独り歩きする現実。東日本大震災による被害の現場にいて、津波被害のまさしく当事者になる寸前だった彩瀬さんだからこその説得力ある物語は、残された人の心の有り様、そして死者の心の有り様という一歩踏み込んだ表現をもって私たちにあの震災の意味を再度思い起こす機会を与えてくれたように思いました。

    『私が頭の中で作り出した、夢のすみれだ。こうだったらいいなあと思う幻だ』という幻想の中に生きる すみれへの思いに引きずられ続ける主人公の真奈。そんな真奈は一方で『だけど私は忘れていく。どんどん、どんどん、遠ざかる』という現実を憂う日々を生きていました。東日本大震災から11年の年月が経った今、次第に忘れ去られるあの災害に真正面から光を当てたこの作品。残された者としての苦しみの中に生きる人がいることを、そんな人たちの心の根底に今も強い思いがあることを、この作品を読んで知ることができたように思います。

    東日本大震災を当事者として体験した彩瀬さんだからこその強い説得力が物語を強く牽引するこの作品。彩瀬さんの震災に対する深い思いを強く感じた、そんな印象深い作品でした。

  • とても考えさせられる作品でした。残された人たち
    の想いが沸々と胸に染みて、現実でも、こういった
    境遇の方々がおられる事を改めて実感しました。
    悲しい過去を風化させることは良くないが、あまり
    にも過去に囚われると上手く生きていけないが、過去について少し考えるだけでも、その先自分の新たな財産になると思うし、戒めにもなると思います。
    ノスタルジックな気持ちになりました。

  • 岸井ゆきの×浜辺美波『やがて海へと届く』公開日決定&特報映像が到着!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
    https://moviewalker.jp/news/article/1065768/

    全てを肯定するような死生観|好書好日
    https://book.asahi.com/article/11607314

    『やがて海へと届く』(彩瀬 まる):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000319564

  • ノンフィクション「暗い夜、星を数えて」に続き、今度は小説。筆者自身の被災体験がもとになった物語。親友のすみれを震災で失った真奈と、不意に命を奪われたすみれ(の意識)、それぞれの視点で交互に話は進む。真奈パートでは、友人の死と折り合いをつけようとする彼女の葛藤が痛いほど伝わってくる。すみれパートは混沌とした抽象的世界。彷徨う〝死者の意識〟が物悲しい。映像化は難しそうに思えるが、間もなく映画公開。浜辺美波ちゃんのすみれ役は気になる。

  • 苦しくて。苦しくて。苦しくて。胸がつまる時間だった。〈普段考えないことは心細い。なので、突風にあおられるようにすみれに会いたくなった。〉湖谷真奈とすみれと、遠野くんの物語。フカクフカク。私も物語に引き込まれていった。戻ることも進むこともできない思いに塞がれてページをめくった。〈頭ではわかっても、私のてのひらや、耳や、指先がわからないとぐずり続ける。〉あの日の震災から三年。すみれが居なくなって、三年。〈会いたいねえ〉真奈はすみれが感じたであろう痛みを、恐怖を手離さないことで、すみれとの繋がりを保ち続けようとしていた。もう帰り道もわからなくなってしまった魂のすみれ。〈たくさんの約束も、大事にする方法がわからなかったことも、町と一緒に流れ去った。大事にしたかった。〉〈どれだけこわくても、痛くても、私のままで帰りたい。〉会いたくて。会いたくて。会いたくて。会いたくて。胸のうちにすみれが居てくれたことに気づいた真奈。学生時代にすみれに聞いた話を意識をせずに自分の言葉に乗せ同僚の国木田さんに話した瞬間、〈こんなところにいたの、と胸の内側に呼び掛ける。血の一しずく、骨の一かけら、私を生きる方向へと押し出す、意識にすら上がらないほんの数秒の思考のうねり。とても、とても久しぶりに、彼女に会えた。〉そしてすみれも。すみれの魂もやがて真奈と遠野くんの元へ〈帰ってきた、帰ってきたよ。大きな声で泣きながら、私は私をすくい上げようとする一対のてのひらへ飛び込んだ。〉震災を自ら経験された彩瀬まるさんだから書けた物語なのだろう。思いが、救われますように。

  • 身の回りに起きた死に折り合いをつける過程のおはなし。心理描写が好き。
    評価の理由は、著者にしては割と難解で、心の準備?ができていなかったため。読みはじめ、1章おきに面食らった。読み返すと違う気がする。

  • ★4.0
    仙台から福島に向かう電車の中で、東日本大震災に遭遇した著者。9年が経った今もなお、行方不明となっている人はたくさんいる。本書では、親友の不在を受け入れられない真奈、どこか分からない場所を彷徨い歩くすみれ、二人の視点から綴られる。どちらのパートも、悲しくて辛くて少し怖い。が、生者が辛ければ死者も辛く、生者が幸せであれば死者も幸せなのでは、と本書を読んで思えた。無理に死者を忘れる必要はないけれど、悼み続けるばかりでは生者は前に進めない。真奈にも遠野くんにも、ちゃんと幸せになってほしい、と願うばかり。

  • 彩瀬まる『やがて海へと届く』講談社文庫。

    全く内容が入って来ずに、伝わる物が無い震災小説。何を伝えたいのか……

    『桜の下で待っている』が良かっただけに残念。

    震災で友人のすみれを失った真奈の元に、或る日すみれの恋人の遠野温が訪ねて来る。すみれの持ち物を全て処分すると言う遠野に真奈は……

  • 「惨死を越える力をください。どうかどうか、それで人の魂は砕けないのだと信じさせてくれるものをください。」

    すみれが消息してから、三年。真奈は未だにすみれが「死」の向こうへ旅立ってしまったことを受け入れられずにいた。ある日、かつて、すみれと交際していた遠野くんと再会する。遠野くんは、すみれと折り合いを付けるため「もう忘れる」と言い出し、真奈はそれに不信感を抱く。
    東日本大震災で大切な人を失った真奈だからこそ、これは彼女にとってかつてない大きな壁となり、彼女を圧迫した。

    真奈は、すみれと折り合いをつけて、前に進むことができるのか。

    真奈視点で進行するが、間に誰なのかわからない視点が挟まれ、それはとてつもなく東日本大震災の描写を生々しく憶えている人の視点だった。(後にすみれと気づく。)作者本人が、かつて東日本大震災を被災したことに合点がつく、震災時のリアリティある描写は、読者を震わせ、絶望に立たせた。実際に、被災したことがないのに。

    私ももし、真奈の立場となったら、真奈と同じようにずっと悩み、忘れられず、ふとした風景や物にすみれを感じてしまって、死にたくなるだろう。それでも、生きていかなければならない。何のために。すみれ、なのか。それはわからない。

    楢崎さんの自殺を機に、「死」がとても身近であることを感じ、不安になる。そんな時に、誰かにいて欲しい。それが、国木田さんだった。他にも店でどうしようもなくなって大の大人が泣いた際に、声をかけてけれた高校生二人の存在。

    真奈は、たくさんの人の力を借りて、少しずつすみれとの折り合いをつけていく。

    書き方が優しい。少しずつ歩んでいく姿が目に見えてわかるから。私にもできるんじゃないか、真奈のようにまた明日から前に進んでいけるんじゃないか、と思わせてくれるから。

  • P161.
    「みんなそうだったのね。どうしても死ねないって思いながら、たくさんの人が帰れなかった。あの時、起こったのは、そういうことだった」
    .
    この一文を何度も何度も読み返した。
    彩瀬さんが伝えたかったことはここではないかもしれない。けれど私は、この一文にあの日、あの時起こったことが語られていると思った。
    遠い地で、この世に起きていることと思えなかった幼い私の記憶にすらくっきり残っているあの日の出来事。
    出来事というにはあまりにも重く、暗く、苦しい。
    帰れなかった人たちの想い。どうしても死ねないと思った人たちの想い。そして、帰ってきてほしかった人たちの想い。
    それらを想像して涙が溢れた。

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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