恐怖のむかし遊び キレイになりたい (講談社青い鳥文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065146798

作品紹介・あらすじ

宮坂咲笑は顔にコンプレックスをもっている中学2年生。「こんなつまんない顔、いらないのに。」と言っては、カメラアプリの機能を使って自分の顔を“整形して”いる。
ある日、塾の洗面台で鏡に映る自分の目の部分に親指と人差し指を当てて、ピンチアウトの動作をする--と。一瞬、目が大きくなって。
「福笑い」のように、顔をどんどんと変えていく「笑い女」をはじめ、容姿にまつわる恐怖を描く全4話のホラーストーリー!

<小学上級・中学から すべての漢字にふりがなつき>

感想・レビュー・書評

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  • 夏は怖い話が読みたくなる。
    ドキドキ出来て面白かったけど、こじつけ感があるのも否めない。もう少し単純で分かりやすい「怖い話」がよかった。「キレイになりたい」と「むかし遊び」というテーマを無理やりくっつけたせいかもしれない。

    四つの物語が最後に繋がっていく……のだけど、この繋がり方が無理やりな感じがした。

    ・笑い女
    主人公「咲笑」が綺麗になって、「野原くん」と付き合う話。
    最初の話で登場人物が出そろって、伏線もあちこちに張られている。
    鏡の中の顔を弄ると、現実の顔も変わっていくという力で主人公は顔を変えていく。『恐怖』の物語なので、最後は鏡の中の自分と入れ替わる。

    ・いナいなイタいたい。
    二人称『あなた』で物語が進むので不思議な感じがする。
    「カイト」と恋人の話……かと思えば、ストーカーの話だった。二人称がこんな風に使えるんだと思ってしまった。
    「影送り」の遊びもいい感じにマッチしている。
    一番ゾクゾクしたし、驚いた。

    ・笑い男
    最初の物語にも出てきた「野原くん」の視点で書かれた物語。
    世界中の人々の顔が崩れて見える中、咲笑だけは綺麗な人の顔に見えるので付き合った。視点が反転すると、驚きの理由が出てくるなと思った。最後までほのぼのデートなのかと思えば……怪しい感じで終わった。

    ・痛いナ居たイない。
    「咲笑」より綺麗な妹の「美咲」の物語。
    全ての物語のまとめ……のようになっているけど、話があれもこれも引き込み過ぎていて疲れた。
    美咲は学校で『とうりゃんせ』を使っていじめを繰り返す。いじめっ子は行方不明に。次は咲笑が綺麗になっていく事に不満で恋人「野原くん」に忠告をするが、しばらくすると野原くんも行方不明に。
    両親の離婚で引っ越しをすることになり、新しい学校でもうまくやって『とおりゃんせ』でのいじめを繰り返す。しかし、姉と再会した時に姉の顔が崩れ叫んだ瞬間をクラスメイトに見られ美咲がいじめの対象になる。
    中学に入っていじめは止み、「カイト」に優しくされたことがきっかけで彼のストーカーになる。しかし、美咲もまた行方不明になってしまう。



    最後の物語が、いろいろ詰め込み過ぎてておかしく感じる。「咲笑」と「野原くん」の話までは分かる。ストーカー視点の物語も面白かった。それ、繋げる必要なかったのではと、思ってしまう。結局「みんな行方不明になった話」という、怖くもなんともない話に落ち着いてしまう。

    咲笑が最初に「鏡の中の世界」に置き去りにされたように、行方不明の彼らも鏡の中に引きずり込まれたのだろうけど、『書かない怖さ』の方が私は好き。でも、子供向けならはっきり書いた方がいいのだろうか。

    タイトルから分かっていたけど、ルッキズム(外見重視主義)がきつい。美しければ虐めても許される(最後にはしっぺ返しを食らう)というのは……なんだかなと思ってしまう。顔がよくても悪くても、みんなどこか意地悪なキャラしかいないという混沌世界は疲れた。

  • 顔にコンプレックスがある咲笑は悩んでいた。可愛ければ今の地位から脱却できるし、自信が持てるに違いないのだ。スマホのアプリのように加工ができたらなぁ、と冗談交じりに鏡に写る顔を指でいじってみると……。

    ***

    恐怖のむかし遊びシリーズ早くも第3巻。これで恐怖のむかし遊びはいったん終了。続刊が出るかは調べてみたが、まだらしい。児童書は結構スパンを開けて続刊が出たりするが、果たしてどうだろう。こちらの作者は先月読んだSNS100物語と同作者なのでそちらがシリーズ化されるのであれば、新しいシリーズの方が優先されるかも?この作者の児童書ホラーは怖いのでどちらの続刊が出ても純粋にうれしいので、楽しみに待つことにしようと思う。

    顔にコンプレックスを持つ咲笑は、鏡を見て悶々としていた。思春期特有の悩みではなく、整形を望むほどに自分の顔を嫌い自信が持てない日々。かわいくなれれば、現在の地味な女子生徒という地位から脱却でき、華々しい日々が送れると思っていた。そうはいっても、もって生まれたものは変えられるわけがなく、どこかあきらめにも似た気持ちももっていた。そんな時、ふと鏡に映った自分の顔を見て、冗談半分でスマホの画像加工アプリにするように、目を大きくするような動作をすると、実際に目が大きくなってしまった。よもや自分の妄想ではないかと思いながら、どうせもうそうならばもう少しいじってみたいという欲望にかられ、顔の気になる部分をつつく咲笑。すると、その変化はやはり現実にも反映され、咲笑の顔は劇的にではないが、自分が望む顔に近づいた。
    そこから、咲笑の生活はみるみる輝かしくなっていくのだが……。

    このシリーズは、日本に昔からある遊びを登場人物が興じて怪奇現象や恐怖体験に見舞われるというものだったが、こちらはちょっと毛色が違うかな?遊びに興じるというよりは、作中にそれがちょっとずつさわり程度に出てくるという感じだった。
    サブタイトルが付いたので、今までのシリーズとはちょっと違う方向性にもっていったのかもしれない。

    以前まで、一話一話で話が独立していたのだが、今回は連作小説の様だ。それぞれがちょっとずつ関連していて、読み進めるごとに少しずつ真相が分かっていく。主たる二つの話があり、それが互いに少しずつ関連性をもって進んでいく。

    ミステリー小説で言う所の事件編、真相編という風に分かれている感じなので、先に怪奇現象が起きて、そのあとにどういう事だったのかというのを別視点で見ていく。そのため、時系列が前後してちょっと混乱することもあった。読み込み不足である。
    また、一つの話の中でも視点が二つに分かれ、(実質三つになった時もあったかな)
    視点が目まぐるしく代わる話は個人的にちょっと苦手かも……。
    あ、あとちょっとこの話はちょっとグロテスクであるので苦手な人は要注意。
    特に顔がどうこうなるっていうのが苦手な人はさらに注意。

    全体を読み終えてみていろいろ考察したが、もしこれが入れ替わり系のホラーだったとしたらすでに大多数が入れ替わってしまっているのではないかと予想している。なぜそう考えたかというのは、もう一つの話を細部まで紹介しなくてはいけないため割愛するが、
    顔に対するコンプレックスを抱えている人が餌食になっている形となるだろう。そうだったとしたら本当に恐ろしい。
    むかし遊びというよりは、現代の画像加工アプリ(顔を盛るタイプの物)にスポットを当てた一作であったように感じた。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。作品に「ふしぎ古書店」シリーズ、「すみっこ★読書クラブ 事件ダイアリー」シリーズ、「恐怖のむかし遊び」シリーズ、「笑わない王子と恋愛カガク部」シリーズ、「SNS100物語」シリーズ(講談社青い鳥文庫)、『スベらない同盟』『恋話ミラクル1ダース』「予測不能ショートストーリーズ」シリーズ(講談社)などがある。


「2023年 『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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