イノベーターズ2 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065147382

作品紹介・あらすじ

インターネットのプロトコルは、仲間同士の協力から生まれた。できあがったシステムも、同じようなコラボレーションを助長する遺伝子が埋め込まれているかのようだ。
第2巻では、いよいよ身近なデジタルイノベーションのすべてが明かされる。パーソナルコンピュータ、ソフトウェア、ブログ、Google、ウィキ。そしてテクノロジーの「これから」とは?

【チームワークこそイノベーションの根幹である】

人物のチームワークについて描くことが重要なのは、チームワークのスキルこそイノベーションの根幹であることが見落とされがちだからだ。私のような伝記作家の手によって孤高の発明家として描かれ、神話化された人物が主人公の本なら無数にある。私も、そうした本を何冊か世に送り出してきた。

アマゾンで「発明した」や「発明家」を検索してみればたくさんヒットする。一方、コラボレーションによる創造を描いた本は少ない。だが、今日の技術革新が形作られた経緯を理解するうえで真に重要で、しかも興味をそそられるのは、チームワークが生み出すものなのだ。

「イノベーション」という言葉は、多用されすぎたせいか、最近ではすっかり手あかがついてしまい、その意味もあいまいになりつつある。そこで私は、イノベーションが現実の世界で実際にはどのように起きるのかを明らかにしてみたいと考えた。
創意あふれる現代のイノベーターは、いかにして破壊的なアイデアを現実のものとしたのか。その発想の飛躍を生み出した要素はなんだったのか。どんなスキルが最終的に有効であり、どのようにリーダーシップを発揮し、コラボレーションを進めたのか。成功と失敗を分けたのはなんだったのか。

私が本書に取りかかったのは、10年以上も前のことになる。自分自身が目撃してきたデジタル時代の変化に魅力を感じていたことも動機だったが、ベンジャミン・フランクリンの伝記を書いたのもきっかけだった。(中略)

最初に考えたのは、インターネットを発明したチームに光を当てることだった。だが、インタビューに応じてくれたビル・ゲイツが、こう勧めてくれたのだ。インターネットとパーソナルコンピュータは同時期に出現した、それを書いたほうが深い話になるんじゃないか、と。
……序章より


*「ゼロックスというお金持ち」を狙うジョブズとゲイツ
*経営が苦手な天才起業家、ウィリアム・フォン・マイスター
*起業を支援する大学、スタンフォード
*「ウィキ」と「ヌーペディア」の目指したもの
*スペルミスが名付け親のGoogle

野心と創造性、欲望と使命。
AI と生きていく人生100年時代、ビジネスパーソン必読の歴史書。

感想・レビュー・書評

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  • イノベーションの歴史はバトンを受け継ぐように繰り返されるものだ。
    本書はそのイノベーションを扱いつつも、エンジニアリングの本質であるビジョンとチームワークの重要性を有形無形にといたものとなっている。

    下巻ではいよいよパーソナルコンピュータが登場し、イノベーションの軸がハードウェアからソフトウェアへと比重を移してゆく。
    フォーマルな装いに身を包んだ上巻のイノベーターたちとは対象的に、下巻で紹介されていくイノベーターたちの佇まいはより庶民的で、いわゆるギークなものになってゆく。
    コンピュータが民主化され、イノベーションの主体が一般大衆に移ってきたことの現れかもしれない。

    プロプライエタリとオープンソース、いまだに尽きることのない論争だ。
    本書を通してその激しい攻防の歴史が綴られるが、このせめぎあいがあったからこそ今日の発展があるのだろう。
    理想主義に走りすぎるとビジネスとしては成立しなくなり、利益追求で囲い込むと広がりが生まれない。

    ソフトウェア産業に関わる向きには、本書は芳醇な示唆を与えてくれる。
    プロダクトに集中したビジョン、そしてそのビジョンの元に集まった素晴らしいチームこそがイノベーションを導くということだ。
    ビジョナリーが途方もないアイデアを掲げ、凄腕のエンジニアがその夢想を正夢に変えていく。本書で繰り返し登場するパターンだ。
    スクラム開発ではプロダクトオーナーとチーム、そしてスクラムマスターを役割として定義しているが、このイノベーションの勝ちパターンとどこか似ているというのは考えすぎだろうか。

    下巻には我々が同時代を生きたスターであるジョブズやゲイツ、ペイジにブリンが登場する。そういったスターの成功譚として楽しむでもよいし、イノベーションの本質を知りたい、自分でイノベーションを起こしたいという人には必読ともいってよいだろう。

  • コンピューターの技術史だが、チームワークに焦点を当てている点がユニーク。下巻はLinuxやウェブ、ウィキの誕生の経緯が面白かった。最終章が読ませる。

    UNIXは、1971年にベル研究所で開発されたOSで、大学において標準になっていた。リーナス・トーバルズは、大学で使っていたUNIXが家庭用コンピュータで動作しなかったので、UNIXの小型クローンMINIXを改変して、1991年にLinuxを公開した。

    ティム・バーナーズ・リーは、あちこちのコンピューターに保存された情報をリンクしてグローバルな情報空間を形成するビジョンを思い描いて、1990年にハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、簡単なブラウザー、ネットワークからの要求に応答するサーバーソフトウェアを完成し、文書の命名規則URLを定めて、World Wide Webと命名した。マーク・アンドリーセンは、1993年にグラフィックス機能が使えるブラウザー、モザイクを発表した。

    ウォード・カニンガムは、1995年に誰でも編集と寄稿ができるウィキウィキウェブを公開。ジミー・ウェールズは、2001年にカニンガムの協力を得て、オンライン百科事典でウィキを採用した。

    1994年に、アルタビスタ、ライコスなどのウェブ・クローラーが開発され、ジェリー・ヤンとデビッド・ファイロがつくったヤフーも、それを採用した。ラリー・ペイジは、1996年にすべてのウェブ・ページのリンクを集めたデータベースを作り、リンクを逆にたどるプロジェクトを始め、セルゲイ・ブリンが協力してページランクを作成し、1998年に検索エンジンGoogleを立ち上げた。同じ1996年には、中国人のロビン・リーも被リンク数とアンカーになっているテキスト内容によって検索結果の価値を決めるアルゴリズムを考案し、インフォシークに移った後、中国で共同創業した百度の検索エンジンとして用いている。

    人間の脳には、ニューロンが860億、シナプスは150兆以上ある。2014年に、プラスチック製のシナプス5000万個、ニューロン20万個のシリコンウェハーを搭載したマイクロチップが製作された。IBMのジョン・ケリーは、人と機械が強みを持ち寄ってパートナーシップを構築し、その協力関係から優れた結果が得られると述べている。幅広人材を集めたチームが大きな成果を残している。

  • イノベーションは、ひとりの天才がなにかひらめいてうみだすより、チームから生まれるほうがずっと多い。
    エブ・ウィリアムがジャック・ドーシーに言った事。「ツイッターは君が発明したんじゃない。私が作ったわけでもないし、ビズでもない。インターネットでは、だれも発明なんてしない。すでにあったアイデアを拡張するだけなんだよ」

  • まさかパーソナルコンピュータがヒッピー文化の中から登場したとはまったくもって知らなかった。

    当然のことだがすべての技術は先人たちの試行錯誤の積み重ね上に成り立ってるという当たり前のことを再認識できた。


    読むのは非常に疲れた。

  • 科学道100冊 2020 「世界を変えた科学者」
    【所在】図・3F開架 
    【請求記号】007.2||IS||2
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/438532

  • II巻めも引き続き面白い。悪童ビル・ゲイツの独特な才能の組み合わせ(父親が弁護士で法律に強いギーク)や鬼気迫る仕事っぷりがとくに印象的。AOLの成り立ちは全く知らなかったが、インターネット普及直前のパソコン通信の雰囲気が少し懐かしい。

    著者のテクノロジー観が前面に出てくる最終章は、人間様の特権を少し信じすぎ何ではないかと思う。

  • 007

  • こちらのほうはほぼ同時進行のネタ。そしてほとんどが社会人になってからの話。

  • #flier

  • ●カウンターカルチャーは中央の権威を軽蔑しており、それがパーソナルコンピュータ革命の思想的な基礎となった。
    ●まだプログラミングの地位が低い時代で、プログラマーは女性ばかりだった。
    ●アランケイが1972年に描いたダイナブックのスケッチ
    ●ポールアレンとビルゲイツ。ウォズニアックとジョブズ。
    ● 1992年まで、AOLのような商用サービスがインターネットに接続するのは違法だった⁉︎93年から誰でもアクセスできるようになった。
    ●情報の結びつきを実現できるシンプルな方法がハイパーテキスト。URL HTTP HTML
    ●プリンもペイジも、モンテッソーリ教育
    GoogleはGoog olのスペルミスで、たまたまドメインが取れた事がきっかけ。
    ●いつかは、人ゲノムの配列が明らかになり、自然が炭素ベースのシステムが知性を生み出している方法もうできる日が来るだろう。他人の作った製品をリバースエンジニアリングして課題を解決するのと同じように。といっても容易なことではないだろう。ニューロン302個シナプスを8000個持つ長さ1ミリメートルの線虫でさえ、神経系の活動をマッピングするのに40年もかかっている。それが人間の脳には、ニューロンが860億シナプスは150兆個以上もあるのだ。
    ●デジタル時代と言えばとかく大変革を連想しがちだが、実際は、前の世代から受け継いだアイディアの拡張が中心だ。

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著者プロフィール

ウォルター・アイザックソン【著者】Walter Isaacson
1952年生まれ。ハーバード大学で歴史と文学の学位を取得後、オックスフォード大学に進んで哲学、政治学、経済学の修士号を取得。英国『サンデー・タイムズ』紙、米国『TIME』誌編集長を経て、2001年にCNNのCEOに就任。ジャーナリストであるとともに伝記作家でもある。2003年よりアスペン研究所特別研究員。著書に世界的ベストセラー『スティーブ・ジョブズ』1・2、『レオナルド・ダ・ヴィンチ』上下、『ベンジャミン・フランクリン伝』『アインシュタイン伝』『キッシンジャー伝』などがある。テュレーン大学歴史学教授。


「2019年 『イノベーターズ2 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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