古今和歌集全評釈 (上) (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (1096ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065147405

作品紹介・あらすじ

「古い和歌(=万葉集に入らない古い歌)」と「今の和歌」を集めた『古今和歌集』。「万葉集」以後、漢詩が主流となっていたわが国において和歌の再興を宣すべく、醍醐天皇の勅命により編纂された、最初の勅撰和歌集である。大部分の成立は延喜5年(905)4月18日、紀友則、紀貫之、凡河内躬恒、壬生忠岑の撰による。撰者や六歌仙の作をはじめ、約1200首を収録。季節の歌、恋愛、別れ、怒りなど多種多様な収録歌は深い抒情と巧みな技法に溢れ、初の本格的な歌論とされる「仮名序」を含めて成立以来さまざまな解釈を喚起し、議論を呼び、後代の学芸に大きな影響を与え続けている。

冷泉家時雨亭文庫所蔵、嘉禄二年書写の藤原定家自筆本を底本とする、1998年講談社刊『古今和歌集全評釈』を文庫判で完全再現。詳細な通釈・語釈に、緻密な校異、さらに訳者の鑑賞・評論を加え、「古今」を楽しむうえで最高の手引き書となっている。
仮名序、真名序、巻第一から第六まで(春、夏、秋、冬)を収録。また訳注者による古今和歌集総説を掲載。

世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし――在原業平
久方の光のどけき春の日に静心なく花の散るらむ――紀友則
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる――藤原敏行

(全3巻)

感想・レビュー・書評

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  • 最初の解説文が興味深かった。
    “待つ心”と”惜しむ心”
    「外界の事物を事物のままに詠む写生の歌ではなく、事物に託して、移ろいゆくものを我が身のこととして嘆き悲しむところに抒情の中心がある。花は待たれて咲き、惜しまれて散る。ほととぎすは鳴くのを待たれ、やがて惜しまれて山へ帰る。秋は涼しい風を待望することから始まり、紅葉が散り敷くのを惜しむことによって終わる。冬はすべて嘆きの対象、降る雪のように我が思いも我が身も消えんばかりであると嘆くのである。人も同じ。”我が身よにふるながめ”を愁え、人の心が花のように移ろいゆくことを嘆き、惜しむのである。」

    それは、美しいけれど、まったく非生産的。
    お釈迦様は無常だから嘆きなさいとは言っていない、無常なのは当たり前のこと、受け入れなければ進まない。
    “みんな聞いて!自分はなんてかわいそうなんだ”の精神。
    弱い。
    非常に従来の日本人らしい。
    花が散るのが惜しければ、ドライフラワーにするとか、温室を作るとか、品種改良とか、色々と方法はあるはず。努力もせずに惜しんで終わりとは怠慢だ。めそめそする資格はない。

    でも、それでは和歌は生まれないのだろうなあ。
    理屈ではない、それが抒情なのですねえ。
    結果や効率を重視しすぎて、そういった弱い人の心から生まれる情緒や美しい芸術を忘れていた。

    現代社会人も、和歌に自分の想いをのせる習慣がもっと広くあれば、気質にもかなっているし、心が晴れる人が多いのかもしれない。
    POP音楽の歌詞などよりも短く婉曲的なところも良い。

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著者プロフィール

【片桐 洋一】1931年生まれ。京都大学大学院博士課程単位取得。大阪女子大学名誉教
授。主要著書『伊勢物語の研究[研究篇][資料篇]』(明治書院)『伊勢物語
の新研究』(明治書院)『源氏物語以前』(笠間書院)

「2020年 『伊勢物語古注釈大成 6』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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