物理学と神 (講談社学術文庫)

  • 講談社
3.73
  • (4)
  • (10)
  • (6)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 168
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065147733

作品紹介・あらすじ

かつて神の存在証明を果たそうとした自然科学は、その発展とともに神の不在を導き出した……というのは、本当だろうか? 現代物理学の描く世界からは、宇宙に最初の一撃を与え、サイコロ遊びに興じる至高の存在はいまだ消え去っていないのではないか? 古代ギリシアから近代科学の黎明、そして量子力学まで、「神という難問」に対峙し翻弄される科学の歴史を、名手が軽妙かつ深く語り切る。唯一無二のサイエンス・ヒストリー!

【本書の内容】
第一章 神の名による神の追放
第二章 神への挑戦―悪魔の反抗
第三章 神と悪魔の間―パラドックス
第四章 神のサイコロ遊び
第五章 神は賭博師
第六章 神は退場を!―人間原理の宇宙論
第七章 神は細部に宿りたもう
第八章 神は老獪にして悪意を持たず

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 物理学が神との闘いであったことを、無神論者であると自称する著者がここまで熱心に主張することに非常に興味を感じた。アインシュタインが定常宇宙を主張した誤りが宇宙の永遠性を主張することから来たと言いながら、ホイルが揶揄するために使った用語である「ビッグバン」の理論が逆に聖書の記載通りであることを証明してしまったということは、無神論者でも興味深かったのだと思う。最初にトマス・アクィナスが聖書を字句通りに解釈することから解き放つことにより、アリストテレスの天動説から教会を自由にしたにもかかわらず、ガリレイ時代の教会はそれを忘れていた!という皮肉も面白い。そして教会の中から神に一番近いコペルニクスが地動説を唱えた。それは神が造った宇宙は複雑であるはずがないとの信念から導きだされたそうだ。無限の恒星が輝いているはずの夜がなぜ暗いのかという謎の解明までが登場し、非常に楽しい読み物でもあった。

  • 物理学において「神」がどのような役割を果たしてきたか、そして逆に人々は物理学を透かすようにしていかに「神」を観てきたかを描いた物理学史の本。「神」は一つのキーワードであり、あくまでも物理学の歴史を述べた本である。人間原理はやはり何度接してもトートロジーにしか思えないな。

  • 神様と物理学
    世の中の成り立ちを知ろうとするとき、
    科学者が神についてどう考えたのか
    とても面白かった

  • ひとつの学問が興り現代まで磨き上げられていく歴史の中で、神の概念がどう生まれどう捉えられどう利用されてきたか、という本。
    あとがきの狙い通り、物理学は門外漢の自分にもとっつきやすい話の流れになっていて興味深く読めた。
    特に6章の「人間原理の宇宙論」のあたりは、NHK子ども科学電話相談・長田美絵先生の名回答「ひとは星のかけらでできている(要約)」にロマンを感じたタイプにはとても面白かった。

  • 人は神。物も神。ご母堂っていうし。究極死んだらひとは宇宙になるんだから、ある意味いまとかわらん。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1944年姫路市生まれ。名古屋大学・総合研究大学院大学名誉教授。1967年京都大学理学部卒業、1972年京都大学大学院理学研究科博士課程修了、1975年京都大学理学博士。京都大学理学部助手を皮切りに、北海道大学理学部・東京大学東京天文台・大阪大学理学部・名古屋大学理学研究科を経て、総合研究大学院大学教授・理事の後、2014年3月に定年退職。九条の会世話人、世界平和アピール七人委員会委員。著書に、『科学の考え方・学び方』(岩波ジュニア新書、1996年)、『寺田寅彦と現代』(みすず書房、2005年、新装版2020年)、『科学者と戦争』(岩波新書、2016年)、『物理学と神』(講談社学術文庫、2019年)、『江戸の宇宙論』『江戸の好奇心』(いずれも集英社新書、2022年、2023年)、『姫路回想譚』(青土社、2022年)他多数。

「2024年 『新潟から問いかける原発問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池内了の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×