希望の糸

著者 :
  • 講談社
4.29
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本棚登録 : 727
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065148945

作品紹介・あらすじ

2019年7月5日刊行!「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー。
「しつこいけれど 絆の話です 好きなので」(東野圭吾)

ー彼は再生を願い、彼女は未来を信じたー

閑静な住宅街で小さな喫茶店を営む女性が殺された
捜査線上に浮上した常連客だったひとりの男性。
災害で二人の子供を失った彼は、深い悩みを抱えていた。
容疑者たちの複雑な運命に、若き刑事が挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 血の繋がりをパラレルワールドで繋いでいく。最初から最後まで飽きさせない。著者らしいとても読みごたえのある作品。

  • 2019年38冊目。想定外の登場人物にテンションが上がる。これは加賀シリーズのスピンオフってことでいいのかな。絆が生み出す喜びと悲劇に感情の振れ幅がすごいことになるけど、それでも松宮の成長と、ほつれかけた希望の糸が再び結ばれていく姿に感動が止まらない。

  • 小学生の娘と息子を震災で同時に失った汐見夫婦。殺人事件の被害者花塚弥生。その元夫の綿貫。綿貫と事実婚状態にある中屋多由子。

    弥生の死をきっかけに、バラバラに進んでいたそれぞれの人生が急速に交わり始める。

    それを捜査するのは加賀恭一郎の従兄弟、捜査一課の松宮脩平。

    松宮が事件の真相に迫る一方で、驚愕の新事実がそのもとへと舞い込む。死んだとされていた、松宮の父は生きていた?

    *****

    加賀恭一郎のスピンオフ的な作品。世代交代ってやつですかね。

    池井戸さんのロスジェネの逆襲を思い出しました。半沢さんと加賀さんの共通項は、プレーヤーとしてもマネージャーとしても優秀なところですな。

    しかし、こんなバラバラなストーリーがとうやってまとまるのかと心配しながら読みましたが、そんな心配は不要でしたね。

    流石東野さん、と言いたくなる一冊でした。

  • カフェで起きた殺人事件を巡って容疑者たちの人間模様が解き明かされていく本作。

    人間関係や登場人物それぞれの思惑が複雑に絡み合っているにも関わらず、著者の筆力によって心地よいリズムでさらりと読めた。

    絆とは?
    愛とは?
    家族とは?

    という様々な問いが浮かんでは消えていく1冊

  • 「祈りの幕~」から6年、幕を下ろしたと思っていた加賀シリーズの再開か?と期待にワクワク。
    加賀恭一郎は警視庁捜査1課に異動し、従弟の松宮脩平と同じ捜査本部で事件解決の当たるという設定だけど、今までと違って加賀の登場シーンは限られていて、今回の主役はあくまで松宮。そういう意味では、スピンオフ的な作品。

    物語の中心として描かれるのは、カフェ店主殺害事件の捜査。そこにプロローグで語られた、新潟地震で幼い二人の子を亡くし家族の再生をかけて娘を設けた夫婦の話がどう絡んでくるのか冒頭から興味は尽きない。
    さらに、金沢の老舗料亭の主人の遺言状に書かれた松宮脩平の名前。ここから、脩平の出生の秘密が明らかになっていくという重層的な内容に読み応え十分。

    いつも加賀の後ろをついて歩いていた印象の脩平が、なんとも頼もしくなっていて、刑事としても、人間としても成長した姿を見せてくれる。
    そのせいか、終盤で加賀が「おまえ、いい刑事になったな」と脩平に言うシーンでは思わず涙。

    物語は数組の親と子の愛情を描いて胸に迫るものがあり、すべてを読み終わった後は「希望の糸」という標題や表紙から裏表紙にまで続く長い糸の絵にしみじみと物思う。

    私の中では東野作品一番の「祈りの~」超えではなかったものの、最近の東野さんの作品の中では一番良い作品でした。

  • 松宮脩平-これはいったい誰だ?
    からの数ページは、超興奮しちゃった(笑)
    まあ、その「彼」の物語ではなかったけれども
    松宮の、仕事と個人が並行して進みながら
    あれ?なんか??結局???って進んでいくさまが
    お見事でした。
    そこここに見え隠れする「彼」の存在ww
    を抜きにしても、割と結局みんな幸せになれそう?
    って感じに、大満足の1冊でした。
    新しい事に挑戦するのもいいですが、
    やっぱ安心!納得♪ な東野さんなのでありました…

  • 「希望の糸」
    まさかの展開。


    「希望の糸」と言う題名から何となくストーリーは見えてくる。ある殺人事件に纏わる命の話。ここに、もう一つ希望の糸が関わってくる。二つのストーリーは別物でありながらも、メッセージは同じだ。どんなに細くとも希望の糸が繋がっていれば、生きていける。


    前者に関しては誰が悪いとか断定しにくい。結果的に取り違えたことで生まれた命を、我儘と分かりながらも守ろうとした妻。妻に理解を示しながら、夫婦が蘇生する為には必要と感じながらも、葛藤を抱える夫。真実を知ることになり、同様し、怒るもう一人の夫。そして、巡り会いを大切にして、衝撃を受けながらも、希望の糸が繋がっていたことを喜ぶもう一人の母。どの立場にも、倫理的に言えば、首を捻るところがあるかもしれない。しかし、皆が共通しているのは、生まれた命を喜び、守ろうとしたことだ。


    後者については、加賀恭一郎のエピソードを彷彿させるものがある。ある人物の行為は褒められるものではなかったかも知れないが、果たして何が正解なのか。彼は彼なりに責任を果たそうとし、彼女は彼女なりに理解をした。その二つを感じ取り、最後彼に会いにいく松宮。良かった。


    命の大切さ、巡り会いをテーマにした作品。加賀シリーズに別切り口が出来た印象で、これは新たな境地が出来上がるのではないか?と期待が膨らむ仕上がりになっている。


    一つあるならば、被害者は、あのような台詞を言わないのではないかと言うことだ。希望の糸を誰よりも大切に認識していた人が、あのような態度を取るようには思えない。あの台詞が無ければ犯行は起きなかっただけに、ミステリーとしては必要なのだが、別の要因で良かったと思う。言ってしまえば、ハッピーエンドに出来なかったのかと。

  • 東野圭吾さんの最新作ということで購入。
    てっきり読み切りの作品かと思いきや、「新参者」シリーズの加賀恭一郎が登場します。しかしスピンオフ作品だと
    読んでいくと、松宮脩平と聞いて、あれ?どこかで聞いたことがあるなぁと思いながら、読み進むと警視庁に異動された加賀恭一郎も登場し、このシリーズかと思いました。てっきり、完結していたと思っていたので、驚きました。
    「祈りの幕が下りる時」では、加賀の過去編としたら、この作品では松宮の過去篇かと思います。
    最初は、バラバラだと思っていた複数のストーリーが、糸が絡むかのように大きく分けて二つのストーリーとして進行しています。一つは松宮が担当する殺人事件について、もう一つはある旅館の女将の父親についてです。
    今回は、犯人捜しというよりは、ある二人の出生の秘密がメインです。犯人はあっさりわかるので、そこを期待して読まない方が良いです。
    しかし、一人の女性が殺されたことやガンに冒されたある男をきっかけに蜘蛛の巣状に様々な人間模様が垣間見れるので、そこが醍醐味かと思います。なによりもすごいのは、伏線の回収です。一見関係ないと思っていた出来事も最終的には複雑に絡みあっています。多分この本に出てくる全ての出来事が最後に回収されているかと思います。
    読んだ後は、ほんわかとした感じにさせてくれましたし、また加賀恭一郎シリーズを読めたことに満足感がありました。

  •  『祈りの幕が下りる時』から約6年。加賀恭一郎の名を、再び聞く日が来るとは思っていなかった。ただし、現在の恭一郎は警視庁捜査一課に異動しており、今回の事件では捜査本部のデスクという立場のため、自ら動く場面は少ない。

     本作は、恭一郎の従兄弟であり、同じ捜査一課所属の松宮脩平が主役を担う。衝撃的な序章から一気に駆け抜ける。過去の加賀シリーズは、家族をテーマにした作品が多かった。本作も然り。シリーズの王道的作品と言えるだろう。

     カフェを経営する女性が殺害された。刑事に予断は禁物だが、誰に聞いても悪い評判は出てこない。女性のかつての夫と、ある常連客の男性が、何らかの事情を知っていそうなのだが…。地道に調べていくと、複雑な背景が浮かび上がってくる。

     一つではない家族の形と、幸せの形。それぞれに翻弄された家族。序章との繋がりが判明すると、愕然とさせられる。こんな運命があってよいものか。それでも悩みながら懸命に生きる。捜査上必要とはいえ、警察に暴く権利はあるのか。

     実は、恭一郎がちゃっかり動き、早い段階で犯人は確保される。その後、動機や背景の追及にページ数が費やされる構成は、シリーズ屈指の傑作『悪意』を彷彿とさせる。本来、接点はないはずだった犯人。この犯人の半生だけでも1冊の作品が書けそうなのに、実に贅沢なネタの使い方ではないか。

     事件と並行し、松宮の個人的事情も描かれるのだが、何それ聞いていないし。加賀家の事情も複雑だったが、松宮家の方がもっとびっくりだよ! しかし、松宮に連絡してきた金沢の家の方が、色々と複雑なのだった。誰が悪いということはない。一つ言えるのは、母は強い。そして父は強い。自分はこれほど強くはなれない。

     去年はガリレオシリーズも動き出したが、本作は加賀シリーズ再始動と思ってよいのだろうか。いや、松宮シリーズかな。前作までは、押しの強い恭一郎に隠れがちだった松宮だが、やはり同じ血が流れている。捜査陣に彼がいなければ、もっと有耶無耶に処理されていただろう。

  • 久しぶりの東野圭吾作品はやはり満足できました。プロローグと本編との関係がなかなかわかりませんでしたが、相変わらずうまく纏めてくれています。
    あと、シリーズではありませんが、加賀さんも登場したし非常に満足。

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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