鵼の碑 (講談社ノベルス)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (832ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065150450

感想・レビュー・書評

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  • 今、ひとりの書店主として、伝えたいこと  7月、8月と、これまで以上に廃業に追い込まれる書店が増えていった。|二村知子 隆祥館書店(2023年9月22日)
    https://note.com/ryushokanbook/n/ne1956cb7164a


    京極夏彦「鵼の碑」が描く おばけと人間の相克 - 日本経済新聞(2023年9月16日 会員限定記事)
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD032KV0T00C23A9000000/

    京極夏彦、17年ぶり百鬼夜行シリーズ『鵼の碑』は破格の作品だーーじわじわと不安を持続させる832頁|Real Sound|リアルサウンド ブック(2023.09.20)
    https://realsound.jp/book/2023/09/post-1435956.html

    『鵼の碑』(京極 夏彦):講談社ノベルス|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000320828
    (単行本)
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000380699
    ※本作品は2023年9月に講談社ノベルスとしても刊行されています。単行本として出版するにあたり、本文レイアウトに合わせて加筆修正が為されていますが、ストーリーなどは変わっておりません。

  • 3日かけて読了。昔は一晩かけて読んだのだけどなあ。ごちそうさま。

  • いつもの面子がそれぞれ厄介な物事を抱えて、それがどこかしら関連していて、一堂が事件のキーになる場所に集まり、陰陽師に憑き物落としされるという、いつもの流れでしたがこれが読みたかったのよと読みながらニヤニヤしていました。

    相変わらずゴツいなりして結構繊細な気遣いをする木場、言動が表面上出鱈目な榎木津を見てほっこりしたり、珍しく関口がよく喋ったり(後で中禅寺に嗜められるまでがセット)、陰謀論を信じる心性やら多様性の在り方といった現代の問題にも切り込みを入れるのも恒例。
    事件らしい事件は全て過去の出来事で、現在はそれを追う(人を追う)みたいな地味な展開なのに事件同士が結びつく様や全体像が見えてくると「なるほど、だから鵼なのか」と納得できるのもこのシリーズならではだと思います。

    シリーズ初心者には辛いかもですがファンなら間違いないです作品です。

  • 日光を舞台にいつものメンバーがいつものキャラクターでそれぞれに右往左往、大暴れ。とは言っても事件など何も興きてはいなかった。

    元々、京極堂シリーズのそこそこのファンでしかなかったけれどこの度の世間の賑わいにまぁ参加してみようといった理由での読書。前回の「邪魅」に到達したのが最近で、こちらは熱冷めやらぬうちの一気読み。登場人物が多いのでメモをとりながらの参戦。達成感!

    ストーリーや感想はというと読了した今は二の次。周りの方京極堂好きの仲間と話すときにはメモを手にしながら話すしかない。
    してやられた感もあるし、まんまと乗せられたという快感すら感じる。
    三竦みどころか、四 五竦み?
    大笑いして登場する榎木津さんに誑かされた!

    現代社会が孕んでいる問題をアチコチに散りばめてあり、尚且つ17年間を経ても全く失速してないことに感激。

  • 百鬼夜行シリーズ、17年ぶりの新作。目次から読者を期待で煽るような構成は相変わらず見事。

    冠となる妖怪がぬえであることも象徴するように、今作は捉えどころがない、けれど絡み合った事件を「そこには何もない」というところまで解きほぐしていく、というもの。だから、派手な殺人もトリックもなく、ミステリとしては割合に地味で渋め。けれど作品全体として構成の妙は凝らされていて、お互いに関係のなかった事件同士が重なる瞬間が来るたびにぞくぞくさせられる。
    そんな巻だったので、必然的に京極堂の講釈が少なかったことは残念。けれど今後もこの調子で、シリーズが刊行されることを心待ちにしたい。
    余談ながら、石黒亜矢子による表紙のぬえの絵もまた可愛い。

  • ★3.5
    祝!京極堂シリーズ、17年ぶりの新作!本シリーズの中で特に好きな作品が「魍魎の匣」と「絡新婦の理」。それを超えるものは無かったけれど、ページを繰る手を止めさせない文章の巧みさと面白さは健在。そして、相変わらずのキャラクターが相変わらずな登場の仕方で、あまりの懐かしさにニヤニヤしっぱなし。が、メインとなるのは約20年前に起こった事件で、京極堂の巻き添えを食らった感も長広舌も控え目な感じ。それでも、ラスト数ページの展開は感慨深いものがあり、あのシリーズも再読したくなった。次作「幽谷響の家」も楽しみ。

  • 17年ぶり…!感慨深くてしみじみゆっくり読んだ。
    掴みどころがないのに終盤に向けてまとまっていく不思議さは流石だった。
    久々の面子も色褪せてなくて、やっぱりシリーズ一巻から読み直そうと思うほどに魅力的。

  • 17年か…。

    待望の百鬼夜行シリーズ、
    発売日とまではいかなかったが、少し遅れて書店で購入。
    凶器本と謳われているだけあってなかなかの存在感。
    しばらく置いとくつもりだったのに、数ページ読んでみたらあれよあれよで2段830頁を読了していた。
    やっぱり京極夏彦、すごい。

    17年のブランクを全く感じさせない、
    それまでの百鬼夜行シリーズを見事に踏襲する構成と情報量。

    …マジで情報に溺れる。

    ブランクを感じるとすれば、読んでいるわたしサイドの問題で、
    陰摩羅鬼の瑕と邪魅の雫あたりの記憶がごっそり落ちており、情報に溺れながらも再読せなにゃ、と思ったりした。

    ネタバレは避けたいので物語自体については多く述べないが、ページ数のわりにライトな印象だった。
    今までの百鬼夜行シリーズの長編なら当たり前に起こる諸々が起こらないせいなのか?

    時間という薄い膜一枚向こうの物語に右往左往するうちに、あれだけ分厚かったページ数がどんどん減っていく。
    物語にも、だが、そこここに差し示される蘊蓄、歴史や情報なんかを、ふと今の世界に引き寄せて読者に考えさせる、みたいな余白もまた多くて、

    …いやぁ、やっぱり京極夏彦、すごいわ(本日2度目)

    ただ百鬼夜行シリーズをここから読み始めるのはたぶんキツいと思う。

    わたしもイマイチ覚えが悪かった陰摩羅鬼と邪魅を再読してからもう一度読み直そうかな。


  •  続編のタイトルは予告されていた、京極夏彦さんの百鬼夜行シリーズ。前作『邪魅の雫』以来、実に17年ぶりの続編が届けられた。2008年にシリーズの版元が文藝春秋に移ると発表されていたが、結局本作は講談社ノベルスから刊行となった。

     薀蓄要素がほぼない『邪魅の雫』は、シリーズ中でも毛色が異なる作品で、個人的に大いに戸惑った記憶がある。さて、本作の作風はどうか? 薀蓄は少なめだが、『邪魅の雫』ほどではない。読み終えて、従来の作風に比較的近い印象を受けた。

     それでもやはり、シリーズとして異質な要素はある。根幹にあるキーワードは、現在でも報道で聞かない日はない。戦中の日本で、そんな有名スポットで、そんな計画が? 正直、フィクションにしても荒唐無稽に過ぎるのは、否めない。

     元々バラバラに動いていたお馴染みのメンバー。当然ながら、それぞれが追っている事象の繋がりが、途中はまったく見えない。自分が歳とったせいとはいえ、関係者があまりに多すぎて、読み進めるのに難儀すると同時に、心配になってくる。

     関口にしろ木場にしろ、相変わらずの引き寄せ体質を発揮…というか首を突っ込むが、最も働いたのは主要レギュラーではない彼ではないか。榎木津に至っては無理矢理出演させている感すらあるが、最後を締めるのはやはりあの男。

     壮大なネタの真相に拍子抜けする面はあるものの、最後の最後にすべての事象が一つに繋がるのは、このシリーズならでは。今回は登場人物が多いだけに、手練れの京極さんとはいえよくぞまとめたものである。しかし、本当の驚きは…。

     京極作品のファンなら、何を示唆しているのか気づくだろう。世界は、時間は、連続的に繋がっていた、とだけ書いておく。今回限りの演出なのか気になる。このまま「彼ら」がフェードアウトするのはもったいない気もするが。

     17年ぶりなのに作中の時間は進んでいなくて苦笑した。京極さんにそんな意図はないかもしれないが、現実の出来事に触れるなど、過去作品の中でも社会派色が強い作品と言えるだろう。次作予定も載っているが、何年後に読めるのか。

  • これを成立させてしまうのが、京極夏彦なんだろな。
    吹けば飛ぶくらいのミステリ作家さんが、例えば学園ものであるのかないのかうすぼんやりした話で大騒ぎするプロットを出したとして、ボツにされちゃう気がする。

    あるんだか、無いんだか、なにがなんだか分からないまま、読み手も登場人物もぐるぐる回らせて、最後の京極堂の一手で落とし前がつく。
    お見事。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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