各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと (星海社新書)

  • 講談社
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本棚登録 : 73
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065151617

作品紹介・あらすじ

育児、医学、食、教育……子供たちを守るために「正しい知識と考え方」を身につけよう。13人の専門家たちによる名著、待望の新書化

感想・レビュー・書評

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  •  科学の大切さ、積み重ねを理解できる本。そして、全国民必読本と言いたくなるほど、コンパクトに、ベーシックにできている。
     あの地震のとき、日本の闇の組織がこの地震を起こしたと本気で言っている友達がいた。もちろん否定しまくって、なだめて、なんとか落ち着いてくれた。

     守る、と、不安、は表裏一体だ。不安だから、それを穢れとして、一切近付けず、一切を否定する。そして、何かしら不明確なものが登場し、それが一挙解決してくれると思う。この、「不安を解消してくれる秘密の一挙解決」との戦いが、科学であると思う。

     自然分娩じゃなければ、母親ではないのか、痛みをともわなければ、愛はないのではないかという不安。母乳でないと子どもはおかしくなるんじゃないかという不安。体罰をしないと、ちゃんと育たないんじゃないかという不安。現代文明の力を振り絞って開発されたものを使用すると、現代文明におかされて、人体に悪影響が与えられ、今こそ縄文時代のような世界に還らなければいけないのではないかという不安。薬によって、人間は抵抗力を失っているのではないか、今こそ人間の自然治癒力を復活させるべきだという不安と一挙解決。
     安全性を科学的に積み上げてきたものを全否定することだが、正直、「自然の世界のほうが毒物まみれである」ことは痛快な指摘だ。自然と戦い、人々は恐ろしいほど自然によって殺されてきた。弱い者は容赦なく死んでいく。それを救うために、科学は多大な貢献をし続けている。
     巨大地震が起きても、それを科学で乗り越えていかないといけない。そうでないと、残るのは、穢れのようにその土地を封印してしまい、なかったことにしてしまうことだ。まず悲惨ありき、もしくは賞賛ありきでものを見るのは、土地にも歴史にも文学作品にも、やらかしてしまうことだ。
     何をなかったことにしようとしているか。不安とは何なのか。不安とは、または陰謀といってもいい、それは、「一挙解決の欲望」の裏返しである。それは、地味な積み重ねを一掃する、恐るべきものだ。それを本著から学ぶことができる。良い本だと思う。

    「電子音楽は耳に悪い。太鼓や弦楽器など、生の音が人間の耳を良くしていく。」
     とか、私自身も、いくらでもそういうロジックを作り出して、人々を不安にする流言を作り出すことはできる。言葉とは不思議なもので、どんなものも、どんな風にでも理屈つけることができるのだ。それは科学・反科学、もしくは右翼・左翼、保守・リベラル関係ない。それぞれが理屈をつけて、鏡のような世界に生きている。そのなかで、科学の積み重ねは、自分をうつしだす鏡そのものの成分を分析し、鏡は鏡であるという。
     私は、例えば、二宮金次郎は、格物致知のページをめくりながら、そう考えていただろうし、銅像を建てた人間も、そういう場を教育としてほしいと願っていただろうと思う。
     科学とは、もしくは教養とは、「不安を解消してくれる秘密の一挙解決」と戦うことである、と定義できそうだ。

  • ●リテラシーが必要なのは、医学だけでなく、育児・食・教育など何事でも同じです。基本的な知識や論理的思考がないと、胡散臭いビジネスやカルト的な団体のカモになってしまうことがあります。
    ●ホメオパシーは危険?
    ●経皮毒、皮膚や粘膜から毒を吸収するという嘘
    ●汗をかけば熱が下がると思って、たくさん服を着せて温めたりする人がいますか、これは不要。治ったから汗が出て熱が下がるのであって、汗をかけば治るわけではありません。
    ●どうして玄米菜食で免疫力が上がると言う話に信憑性を感じる人が多いのでしょうか。子供は成長するとだんだん風邪をひかない丈夫な体になっていくものです。自然の成長を、玄米菜食の効果だと誤解してしまうでしょう。
    ●「江戸しぐさ」は、江戸時代から伝わってものでも、実際の文化研究から復元されたものでもありません。芝三光が現代における人間観察の成果を江戸時代に仮託して作り上げたマナーでした。
    ●雪の形は温度と空気中の水蒸気の量によって変わると言うこと。だから、空から降ってきた雪の結晶の形を見ると、その雪ができたときの雲の中の様子が分かります。「水からの手紙」の結晶も同じです。

  • 医療関係者の話はとてもありがたいです。
    何が正しいのか、わからない時がありますからね。

  • タイトルは育児の本だが、直で育児のアドバイスやヒントを与えるのものではなく、子育ての中に入り込みがちな擬似科学、似非科学を批判する啓蒙書。
    槍玉に挙げられているのは、自然分娩礼讃、反ワクチン、食品添加物忌避、ホメオパシー、江戸しぐさ、親学、水からの伝言、EM菌などなど……まともなリテラシーがあれば普通ひっかからないよね、という初級的(?)な似非科学で、新しい話題はほとんどなかった。
    とはいえ、少なくない数の人がそれら似非科学を信じているのもまた事実で、学歴・職歴・社会的地位に関わらずそういう人はいる。例えば「ありがとう」などの美しい言葉をかけると美しい結晶ができ「ばかやろう」と汚い言葉をかけると醜い結晶ができるという「水からの伝言」やその亜種(水の代わりに花とか果物とかだったりする)なんて、ガチで信じてる人が何人もいたりする。
    ひとり勝手に信じてるぶんには目くじら立てる必要もないのだが、似非科学が一部の政治家や自治体によって採用・推進されているいる現実がある。そうなっては、似非科学やそれに引っかかる人を馬鹿にして終わる話ではない。知らぬ間に似非科学が子供の教育や家族の医療・福祉に入り込んでしまうとしたら、それは無視することはできない。
    そうした似非科学の潜入を防ぐためにも、こうして地道な啓蒙というのは大事なんだろう。

  • 子を持つ親であれば、一つや二つ 根拠ははっきりしないが子育てに関する信じてしまいそうな話を聞いたことがあると思う。
    それらがこの本には色々と載っている。

    読んだ上で、どう判断し、どう対処・行動するかは親次第ではあるが、ぜひ一度は目を通しておくべき本と感じた。

  • 子育てをしていると、様々な情報に当たることが多く、最近の情報社会ではより顕著になっている。本書は子どもにまつわる事で、本当かどうかわからないがまことしやかに語られている事項について専門家が解説したものである。親だけでなく、大人自身がキチンと事実を確認しながら判断しなければならないことを自戒しながら読了。

  • 0歳〜小学校卒業くらいまでの子どもを持つ親が対象。 薬に対して、良い面・ほどほどにした方が良い面の両方触れていて距離感が良い感じがしました。他のトピックも大体そんな立ち位置になっていたのではないかと。

  • 2019.4.14読了。情報として有用な本。

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著者プロフィール

産婦人科専門医、医学博士。「丸の内の森レディースクリニック」院長。臨床のかたわら、妊娠や出産、性についての正しい知識を広げるための啓発活動を行っている。

「2018年 『新装版 産婦人科医ママと小児科医ママのらくちん授乳BOOK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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