- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065152621
作品紹介・あらすじ
ルーシーはある日、雷に打たれて、数学の天才になってしまいました。でも、変わったのは良いことばかりではなく、潔癖症になり、学校に行けなくなりました。大学進学だって可能な12歳のある日、おばあちゃんがルーシーに課題を出します。それは、中学校に1年間通い、友だちを1人作ること、課外活動1つに参加し、数学の教科書以外の本を1冊読むことでした。このミッションが、ルーシーの人生を大きく変えるのでした。
カーカスレビューや学校図書館ジャーナルでも高評価! NPR ベストブックスオブザイヤー、カーカスレビュー ベストブックスオブザイヤー選出作品。
ルーシーはある日、雷に打たれて、数学の天才になってしまいました。でも、変わったのは良いことばかりではなく、潔癖症になり、学校に行けなくなりました。数学専門のSNSでも認められる存在となり、大学進学だって可能といわれた12歳のある日、おばあちゃんがルーシーに課題を出します。それは、中学校に1年間通い、友だちを1人作ること、課外活動1つに参加し、数学の教科書以外の本を1冊読むことでした。このミッションは、ルーシーにとって大変でしたが、彼女の運命は大きく変わり始めるのです……。清々しく、勇気がもらえ、ほろりとくる物語です。
感想・レビュー・書評
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おばあちゃんとふたりで暮らす12歳のルーシーは、4年前雷に当たって左脳に傷が付き、後天性サヴァン症候群の数学の天才になってしまった。彼女は引きこもりの潔癖症で、座るときには3回立ったり座ったりを繰り返さなくてはならない。2年生のときに学校を止めて自宅学習でGEDもSATもクリアした彼女を、おばあちゃんが連れて行ったのは、大学ではなく中学校だった。人づきあいを学ぶために彼女におばあちゃんが出した課題は、「1年、友達ひとり、活動ひとつ、本1冊」。立ったり座ったりと除菌シートで何でも拭くことで奇異に見られがちな彼女だったが、ウインディとリーヴァイがフレンドリーに接してくれた。学校恒例の社会貢献プロジェクトも3人で取り組む事になったが、なんとその内容は、動物保護施設で里親を探す手伝いになってしまった。
人とは違う性向を持つ引きこもりがちな少女が、人との付き合いのすばらしさに気づいていく物語。
*******ここからはネタバレ*******
ルーシーが、自らの武器である数学の力を使って里親探しの最適解を探っていきながら、潔癖症や人付き合いの苦手も克服していく様子が楽しく読める。
一方、物語が強引に進む場面も散見される。
ルーシーの脳に傷をつけた落雷事故では、本当にそのようなことが起こりうるのか?
彼女は社会貢献に動物保護をしたいとは言っていないのに、なんとなくそうなってしまった。
彼女の潔癖症は、愛する犬パイのためなら我慢できるようだが、いささか急に感じる。
彼女たちの社会貢献チームのメンターは、ストウカー先生(日本語的にはすごい名前(笑))だが、先生は指導者なのに、数学サイトの前に、彼女たちの作った里親探しのサイトは見ていなかったのか?
先生は本当に、初めて出会う余命幾ばくもない犬を飼えるの?????
ルーシーは、自分の事故を奇跡と思われることに違和感を感じていますが、算数が苦手な凡人からしたら、これはとても羨ましいこと。小さい頃読んだ漫画に頭を強く打って天才になった話があって、自分もそんな経験をすれば頭良くなれるのか?と思ったことを思い出しました。
よい子の皆さんは、決して真似をしないでくださいね(笑)。
ルーシーからしたら、計算できないことがあるって事自体が驚きなのでしょうが、計算できない私達にとってはあたり前のことなので、彼女ほどの驚きを持って読むことができないのが残念です。
もう一つ残念なのはポップな表紙。
かわいいんですけど、中学生以上を対象にした本としてはどうなんでしょう?
でも、内容は平易だから中学年以上は読めると思います。それだったら、かえってこの表紙のほうがいいのかも知れませんね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
12歳のルーシーは、4年前雷に打たれたがAEDのおかげで生き返った。そしてその時から数学の天才になった。数学や芸術に天才的な能力がある後天性サヴァン症候群だという。
両親のいないルーシーは祖母と暮らしているが、祖母は大学に飛び級で入る前に1年間だけ地元の中学へ通い、友達を一人でもいいから作りなさいという。衛生的に潔癖症でもあるルーシーは、いやいやながら中学に通うことになる。
数学の才能を隠して静かに1年をやり過ごそうとするルーシー。潔癖症のルーシーは、初日から目だってしまう。そんなルーシーと友達になろうとするウィンデイ。学校の社会貢献プロジェクトの課題でチームを組むことになり、隣の席のマディーと3人で犬猫の保護センターへ行くことになる。
友達なんていらないと思っていたルーシーも、ウィンデイは友達になれるかもと思いはじめるのだか。
自分の特殊性を生かしたいけど、特別視されるのも嫌だ。葛藤の中で、少しずつ友達を得ていく過程がよく描かれている。特別であることのつらさ、若さの残酷さ。ルーシーのような特別な才能でなくとも、共感できるストーリーだと思う。
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天才って、すごいなぁ、いいなぁ、と思いがち。だけど、この本を読んだら、天才も大変なんだなって。最後の結末が、はっきりしなくて逆に良い。「私はこうなると思う」とか「いやいや私は・・・」みたいに読んだ者同士で対談するのがとても楽しい本。
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普通にできないルーシーの苦悩が書かれています。
それでも居場所を見つけ、友人との衝突もありつつ、数学と家族しか大切ではなかったルーシーはどんどん大切なものを見つけられる。
学校ではよくある他者とのぶつかり合いが経験のないルーシーには胃もたれしてしまうようですが、これこそ青春小説の醍醐味であり、読んでいて感情移入してしまいます。 -
12歳のルーシーは数学の天才。学校にはなじめないし、大学に入学しようと思っていたのに、おばあちゃんは普通の学校に通えという。友達なんでいらないのに、学校なんて嫌いなのに。ところが、グループで選んだ研究テーマのおかげで、なんだか思ったのと違う学校生活になって…。
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雷に打たれて、数学の天才になったルーシー。ひきこもっていたルーシーを心配したおばあちゃんは、嫌がるルーシーを地元の中学校に入れちゃった。
強迫観念からくるルーシーの変な行動を嫌がらないウィンディという親友が出来たけど、クラスのほとんどの子からは変人扱いされた。
数学のことはなるべく内緒にしたかったけど、同じプロジェクトのチームになったリーヴァイには、うちあけられた。信じられる友だちだと思えたから。
でも、おしゃべりな親友のウィンディには、なかなかうちあけられなかった。 -
落雷で脳の一部が損傷して、天才的な計算能力を手にいれたルーシー。でも、極端な潔癖症になってしまったりいいことばかりでもない。