日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065154298

作品紹介・あらすじ

いま、日本社会は停滞の渦中にある。その原因のひとつが「労働環境の硬直化・悪化」だ。長時間労働のわりに生産性が低く、人材の流動性も低く、正社員と非正規労働者のあいだの賃金格差は拡大している。

 こうした背景を受け「働き方改革」が唱えられ始めるも、日本社会が歴史的に作り上げてきた「慣習(しくみ)」が私たちを呪縛する。

 新卒一括採用、定期人事異動、定年制などの特徴を持つ「社会のしくみ」=「日本型雇用」は、なぜ誕生し、いかなる経緯で他の先進国とは異なる独自のシステムとして社会に根付いたのか?

 本書では、日本の雇用、教育、社会保障、政治、アイデンティティ、ライフスタイルまで規定している「社会のしくみ」を、データと歴史を駆使して解明する。


【本書の構成】

第1章 日本社会の「3つの生き方」
第2章 日本の働き方、世界の働き方
第3章 歴史のはたらき
第4章 「日本型雇用」の起源
第5章 慣行の形成
第6章 民主化と「社員の平等」
第7章 高度成長と「職能資格」
第8章 「一億総中流」から「新たな二重構造」へ
終章 「社会のしくみ」と「正義」のありか

感想・レビュー・書評

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  • ・大企業型26%、地元型36%、残余型38%
    ・残余型には、政治的な声をあげるルートが無い。
    ・中小企業団体と結びついた自民党政権が、小規模小売店を保護してきた。
    ・一国のうちに、先進国(近代的大企業)と後進国(前近代的な労使
     関係に立つ小企業および家族経営による零細企業と農業)の
     二重構造が存在。
    ・日本では「大企業か中小企業か」つまり「どの会社か」が意識され
     欧米では「ホワイトカラーかブルーカラーか」つまり「どの職務か」
     の区分の方が強く意識されている。
    ・企業が重視するのは、どんな職務に配置しても適応できる潜在能力。
    ・大部屋は日本の官庁の特徴。
    ・「初めに職員ありき」の社会では、まず人を雇い、その人に職務をあてがう。
    ・日本の雇用形態を「メンバーシップ型」欧米を「ジョブ型」と言うが
     「企業のメンバーシップ」と「職種のメンバーシップ」と形容した
     ほうが良いのでは。
    ・日本と他国の最大の相違は、企業を超えた基準やルールの有無
    ・日本が独特なのは、軍隊や官庁にのみ向いていると考えられている
     組織の型を産業にも適用したという点。
    ・官庁から始まった新規学卒採用は、1900年前後から民間企業に広まった。
    ・日本型雇用の構造的弱点。大卒社員を昇進させ続けるためには、 
     無駄なポストを増やし続けるか、組織を大きくするしかない。
    ・長期雇用と年功賃金を続けようとすれば、適用対象をコア部分に
     限定するしかない。そのための方法が、人事考課による厳選、出向、
     非正規雇用、女性という外部を作りだすことだった。
    ・「企業のメンバーシップ」「職種のメンバーシップ」「制度化された
     自由労働市場」という社会的機能の内、日本は「企業のメンバーシップ」が支配的な社会。
    ・日本のしくみを変えるために、最も重要なことは「透明性の向上」
    ・日本では「カイシャ」と「ムラ」が基本単位。

  • なるほど、そうか。ドイツをはじめヨーロッパでは職業別で就職を考えるのか。だから、同じ職種で別の会社に移ることなどがわりと簡単にできるのか。日本は会社自体を選ぶことが多い。その中でどんな仕事に就くのかはあまり関係ない。最近はずいぶん変わっているかもしれないが、それでも大学生は仕事の内容より、会社名で就職先を選んでいるような気がする。私自身は、職種で選んだかな。だから、別の会社でも良かったのかもしれない。ただ、わりと初期の段階で、トップにいる人の考えに共感できるものがあって30年近く同じ会社に勤めてきた。同時に、他の環境に入る不安もあったかもしれない。前の会社に転職後、ちょっとつらい時期があったから。人事考課制度とか目標管理システムのようなものがどうやら軍隊から始まっているようだ。そう聞くと、なんかしっくりいかないのはそれが原因かと思ったりもする。それはそうと最低賃金がまた上がる。良いことではあると思うが、なんだか、昇給のための基準などが無駄なような気もしてくる。パートナーは非正規で働いているが、同一労働同一賃金にはなっていないようだ。それどころか、正規雇用で働きが悪い人のしりぬぐいもしているようで、なんともやり切れないようす。まあ、いろんなことはある。社会のしくみはとにかくややこしい。入試制度にしろ、税金のしくみにしろ、シンプルな方が良いように思うが、一律に決めてしまうような制度設計はそうそう簡単にはできないのだろうなあ。結局2ヶ月で読めた。(もっとかかると思っていた。)間に似たようなテーマの本を並行で読むから、どこに何が書いてあったかさっぱりである。

  • 会社にいる年配の方々の考え方があまりにも理解できないと思い、日本の歴史や社会がこういった価値観を形成しているのでは?と思い購入した本
    膨大なデータに基づいた分析をしているので、信ぴょう性が高く
    キャリアモデルについても、意外なポイントが多くあった
    読むのに非常に根気が必要なので、自分が疑問に思った事をベースに読むのが良いと思う。自分の視野が狭かったと思わされる本。周りに見えているキャリアは日本全体でも20%程度しか見えていない可能性があると思うと、改めて自分の無知さを残念に思った。良書。

  • とはいえが多すぎ。
    よく調べた 意味ない引用もあったが

  • 191103日本社会のしくみ☆☆☆小熊英二
    バブル後30年続いている「日本の閉塞状況」について「社会のしくみ」の視点から問題の本質に取り組んだ好著。

    ポイントは、戦後の復興・高度成長の成功をもたらした「雇用構造」が社会構造に合わなくなっていることを主問題とする。

    時代の求める変革方向へ、資本と労働が『協同でアクセルを踏む』ことのみが「新しいしくみ」を創り出し、新たな社会の活力を生み出すことが出来る。
    改革に当たっては、透明性と公開性が不可欠。
    「成果主義の失敗」は経営者側だけがメリットを追求した。

  • ほとんどが雇用制度の話
    他国と比較しながら、その良し悪しや、なぜ年功序列の終身雇用になったかの経緯が丁寧に書かれていて、勉強になりました。
    隣の芝は青く見えますが、過去の選択の結果、今があり、何にでも一長一短があります。不満部分を取り上げて、あっちが良いと言うのではなく、全体の方向性を捉えて、それを変える動きをしないとですね。単発の対策を繰り返すと、チグハグになり、方向性を見失う。

    企業メンバーシップ重視で大企業に合わせた制度になっていること、その流れを変えるには(もし必要なら)、制度の透明性や公開性を高めて、皆の賛同を得ることが大事、ということはわかったが、ハードルが高すぎて、変えるには相当時間がかかりそう。変えるって大変!!

    日本はいま経済最優先。この方向性を変えなきゃ、変えれるものも変えれない気がした。

    情報量が膨大ですが、各章ごとにサマリーがあるので、それだけ読めば分かるようになってるので、忘れた頃にまたサマリーだけ読み返します。

  • やたら分厚い本,その割に安い値段.ざっと読んだ感じ学術的にもしっかりと手順を踏んでいる様子.

  • 500ページほどあり、1〜2週間ほどかけて少しずつ読み終えました。
    感想としては、学術論文ほどのデータ量・構成でした。はじめはデータに基づいた事実が述べられているので、関心が薄いと内容が頭に入ってこず、理解するのが難しかったです。終章には考察が書かれているので、そちらを読むと「こういうことだったんだ」と仕組みが理解できました。
    また、20代前半の私にとっては知らなかった情報も多く、勉強になりました。

  • そりゃ、みんな知ってるよね・というのも多いかな。

  • 今の日本の雇用社会のしくみを全体像を描いてくれている労作です。

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著者プロフィール

1962年東京生まれ。東京大学農学部卒。出版社勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策学部教授。学術博士。主な著書に『単一民族神話の起源』(サントリー学芸賞)、『<民主>と<愛国>』(大仏次郎論壇賞、毎日出版文化賞、日本社会学会奨励賞)、『1968』(角川財団学芸賞)、『社会を変えるには』(新書大賞)、『生きて帰ってきた男』(小林秀雄賞)、A Genealogy of ‘Japanese’ Self-Imagesなど。

「2019年 『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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