- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065156117
作品紹介・あらすじ
カフェで、ファストフードで、教室で、ケアホームで、一見普通の人物が語りはじめる不可思議な物語。一卵性双生児、夢の暗示、記憶の改竄、自殺志願者など、ちりばめられた不穏なモチーフが導く衝撃の結末。読んでいるうちに物語に取り込まれ、世界は曖昧で確かなことなど何もないと気づかされる戦慄の9篇。
感想・レビュー・書評
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ゆっくり読む人にオススメ。
「読むエッシャー」というキャッチコピーが付けられていて、なるほど、各話の末尾には、自分の読みがガラリと変わるような「体験」が待っている。
表題作「45°」は、アドバルーンを上げる係の人が、誤って落下してしまい、記憶を失うお話。
そういえば、小さい時、アドバルーン上がってたわあ。でも、なぜか、間近で見た記憶がない。
小説中では風が吹いて45°になると、危険だから降ろすとあったのだけど、想像するとやっぱり不思議な感じがする。
私は割とズンズン読んでいく方なので、話の切り替えには気付くものの、「えっ!?つまりどういうこと!?」と、ひとり恐慌をきたしたオバチャンになってしまった。
一番ありがたかったのは、かなり丁寧に「どういうこと」かを説明してくれている解説なのだけど、いやむしろ、それが必要ってことは、案外私の恐慌も的外れではない、と思いたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
反転、シンメトリーのイメージと
さまざまな語りの試みがなされていて楽しい。
例えるならバッハを聞いてるよう。
ただ、ある種の実験臭がしないでも無い。 -
少年アリスの頃から幻想系だけ読んでいたので、こういう話も書くようになったんだなあとしみじみ。
ほのかな毒が前面に出てきた感じ。わりと好き。 -
現代が舞台の不可思議な話9編。
タイトルも記号など変わったものばかりで今までの作風とかなり変わっている。
記憶や性が倒錯しているのは健在で、大体ケムに巻かれて終わるのでふわふわした読後感。
人の見方が少々意地が悪い(特に女性に対して)
「●クロボシ」は従来のパターンならナギサとフルサトは双子ではなく同一人物だと思う。
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読み始めてから、これはいったい誰の本を読んでいるのか、と思えるほど自分の知っている長野まゆみではなかった。デヴュー以来しばらく追いかけていた作家ではあるけれど、ここ最近読んでいなくて作風が変わってしまったのかと思ったが巻末の解説を読んでみるとどうやらそうではないらしい。
この人は引き出しをたくさん持っている人なのだ。
9作からなる短編集でネタバレになるから詳しくは言えないがどの作品も、えーっ、とかそうきたか、とかまさかこんなオチとはとかとか。
一作目二作目はそういうオチかってサラリと流していたが、途中からどんなラストが待っているのか気になって読むのを止めることができなくなってきて一気に読んでしまった。
初期の作品も好きだが、こういうのも悪くない。 -
何というか、とても不思議で感想に困る。
面白いけれど、言葉でどう表したら良いのかわからない。
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熱くなることもなく、淡々と語られる不思議な話。
見えているものの不確かさを思い知らされる。 -
意外な作品、短編9作。
著者プロフィール
長野まゆみの作品





