悪の五輪

著者 :
  • 講談社
3.23
  • (0)
  • (5)
  • (6)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 48
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065156414

作品紹介・あらすじ

1963年、博打をしのぎにしている白壁一家の人見稀郎は、翌年の東京オリンピック公式記録映画監督を降板した黒澤明の後任に中堅監督の錦田をねじ込んで、興行界に打って出るべく動き出す。オリンピック組織委員会には政治家、財界関係者が名を連ねており、あらゆる業種が莫大な利権に群がっていた。日本が劇的に変貌を遂げた昭和の東京五輪をモチーフに、現代エンターテインメント小説の旗手が放つ、長編社会派クライムノベル。


1963年3月21日、翌年の東京オリンピック開催を前に、公式記録映画の監督を務めることになっていた黒澤明が降板した。
博打をしのぎにしている白壁一家の人見稀郎は、親分からの指示を受け、中堅監督の錦田を後任にねじ込んで、興行界に打って出るべく動き出す。
オリンピック組織委員会には政治家、財界関係者が名を連ねており、その下には土建業者や右翼、ヤクザ、さらには警察までもが蠢いており、あらゆる業種が莫大な利権に群がっている。
稀郎は記録映画の監督選定に権限を持つ委員たちの周辺を洗い、金や女を使って言うことを聞かせようとする。
東京が、日本が劇的に変貌を遂げた昭和の東京オリンピックをモチーフに、現代エンターテインメント小説の旗手が放つ、長編社会派クライムノベル。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 翌年に東京オリンピックを迎える1963年。映画好きなヤクザ人見稀郎は親分よりあることを頼まれる。オリンピック映画を監督することになっていた黒澤明は降板し、その後釜として錦田という中堅の監督にさせようと。人見は映画興行界を一人爆進する。多方面より横やりが入る、利権が絡み合い、監督は誰の手に。
    戦後の復興、昭和を舞台に、実在の人物も絡めていますね、それが真実味を帯びさせているし、オリンピックの影ドロドロ、目が離せませんでした。人見の映画愛、一人突き進む姿、ハードボイルドでなかなかヤクザっぽくないね。楽しめました。時代なのかなあ。私はその時は知らないけれど、そういう時代なんだと物語の世界だけれど想像しつつ味わえました。オリンピックには、悪が潜んでるんだって、今回はどうなんだろうね、

  • 「東京輪舞」と重なる時代を舞台としているが、輪舞が主人公が公安警察だったのに対して、今回は暴力団関係なせいか、はたまた当方が映画にまったく疎いせいかいまいち乗り切れなかったかな。
    でも史実を踏まえて、実名もバンバン出して裏側を描くこの形は好みなので、これからも期待します。

  • 1963年、博打をしのぎにしている白壁一家の人見稀郎は、翌年の東京オリンピック公式記録映画監督を降板した黒澤明の後任に中堅監督の錦田をねじ込んで、興行界に打って出るべく動き出す。オリンピック組織委員会には政治家、財界関係者が名を連ねており、あらゆる業種が莫大な利権に群がっていた。日本が劇的に変貌を遂げた昭和の東京五輪をモチーフに、現代エンターテインメント小説の旗手が放つ、長編社会派クライムノベル。

    設定は面白い。テンポもよいが、もっとボリュームがあってもよかったのではないか。

  • 月村了衛 著「悪の五輪」、2019.5発行。昭和39年でしたか、東京オリンピックの撮影に関して、ヤクザが、実業家が、政治家が、どのように絡んでいたかを描いた作品です。月村了衛さんのノンフィクション的小説、私には合わないみたいです!

  • 東京五輪の舞台裏のお話
    『東京輪舞』が★4だから、こっちは3かな…
    何か盛り上がりに欠けるのよね

  • 途中までは星5つだったけど…
    わかっちゃいても結末の転落は辛いわな、この話じゃ捲土重来もありないし。

    しかし、「公案研究会」ってのは、どうなのよ。
    立正佼成会と字数を合わせて、かつ、「公」の字を入れ込んだんだろうけど、現世利益とは程遠い禅宗にするのが、皮肉なのか逃げなのかよく判らないところですな。

  • 五輪の舞台裏を描く話かと思ったら、五輪の記録映画をめぐるドロドロ話だった。
    映画監督や政治家らが実名でどんどん出てきてドキドキする。

    退位にしろ五輪にしろ万博にしろ、
    祝賀一色で、冷静な議論がしづらい雰囲気だと感じる。
    そんな風潮のなか、空気を読まずに、祭りの裏側の、キレイじゃない部分を、
    フィクションの手法でタイムリーに描いてくれたのが痛快だ。

  • 月村了衛『悪の五輪』読了。昭和の東京五輪の記録映画の監督に無謀にも三流監督をねじ込まんとする一介のヤクザが権謀術数を駆使して利権に群がるヤクザ、映画界、政治家、財界の怪物たちと渡り歩いていく。主題からして必然的に敗北に行き着く物語なのだけれどそこを魅力的に描く月村先生の技量に感服。

  • 著者の月村了衛については、申し訳ないことに今現在 大変不幸な邂逅が続いています。

    彼の次々と絶賛されている一連の著作、日本SF大賞を得た『機龍警察 自爆条項』(2012年)も、吉川英治文学新人賞を受けた『機龍警察 暗黒市場』(2013年)も、そして2015年に大藪春彦賞を受賞した『コルトM1851残月』さらには日本推理作家協会賞の栄冠に輝いた『土漠の花』も、いづれも少しも心動かされることなく、なかには最後まで読むことさえ辛く感じるほど、私には肌が合わない作品ばかりなのでした。

    おそらくもうこの作者とは縁がないのかもしれない、と思い始めていたその矢先、この新作に目が留まりました。

    すでに一ノ宮美成 グループ・K21が『2020年 東京五輪の黒いカネ』(2014年)で、モリっち達の強欲な利権漁りを見事に赤裸々に描いていますが、過去を描いているとはいえ昔も今も変わらないオリンピックの本質をグサッと鋭く暴露してくれることを期待して、もちろん独自の大きなフィクションの部分も含めて、いま通販でこの本を注文したところです。

    本の感想はのちほど・・・・

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年「機龍警察」で小説家デビュー。2012年「機龍警察 自爆条項」で第33回日本SF大賞を受賞。2013年「機龍警察 暗黒市場」で第34回吉川英治文学新人賞を受賞。2015年「コルトM1851残月」で第17回大藪春彦賞を受賞。2015年「土漠の花」で第68回日本推理作家協会賞を受賞。

「2018年 『水戸黄門 天下の副編集長』 で使われていた紹介文から引用しています。」

悪の五輪のその他の作品

悪の五輪 Kindle版 悪の五輪 月村了衛

月村了衛の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

ツイートする