富士山噴火と南海トラフ 海が揺さぶる陸のマグマ (ブルーバックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065160435

作品紹介・あらすじ

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、富士山の様相を決定的に変えてしまった。津波や原発に隠れてこのとき、富士山内部のマグマだまりに「ひび割れ」が生じたことに、火山学者たちは青ざめた。以後、富士山は「噴火するかもしれない山」から「100パーセント噴火する山」に変容してしまった。そのとき何が起こるのか。南海トラフ巨大地震との連動はあるのか。火山の第一人者が危機の全貌を見通す!

感想・レビュー・書評

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  • 富士山噴火の被害予測と防災 — 鎌田 浩毅 | アゴラ 言論プラットフォーム
    https://agora-web.jp/archives/2054294.html

    『富士山噴火と南海トラフ 海が揺さぶる陸のマグマ』(鎌田 浩毅):ブルーバックス|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000322664

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「溶岩流」果たしてどこまで到達するのか…「富士山が噴火した」ときの「衝撃的な被害規模」(鎌田 浩毅) | ブルーバックス | 講談社(1/5...
      「溶岩流」果たしてどこまで到達するのか…「富士山が噴火した」ときの「衝撃的な被害規模」(鎌田 浩毅) | ブルーバックス | 講談社(1/5)
      https://gendai.media/articles/-/105435
      2023/02/13
  • ハザードマップを作るのを観光地は嫌がるが、20万以上の麓住人だけでなく多くの観光客の避難のために様々な事態を想定して避難経路の想定は不可欠/火山灰は粉末ガラス類似で、空中にあると航空機の飛行が不能。道路上にあるとクルマの走行が困難となる。噴火の空電で電波障害も起こりネット接続など通信も困難になるかもしれない/放射能という見えない脅威「だけ」の原発事故避難でも数々の不手際があった。噴煙、火山弾、溶岩流、火砕流、に加え道路途絶など地震被害が加わり想定上限以内でも首都機能が麻痺する事態が考えられるが対策はあるか

  • ◯地学や火山に関する知識のない初学者でも非常にわかりやすい。東日本大震災の後に、何故、政府内の議論で南海トラフが盛り上がったのかがよく理解できた。
    ◯富士山の噴火に関する危機の裏に、しっかりと富士の恵みを紹介していることや、日本人が愛してやまない富士山のまさに文化的な面まで網羅されている。
    ◯形が変わる前に富士山に登ってみたくなるし、形が変わっても愛し続けたくなる。

  • 日本列島の中には3枚ものプレート(北米、ユーラシア、フィリピン海)が重なり合う地球上でも極めて珍しい場所がある。
    そんなプレートが引き裂かれる場所に富士山はある。
    こんな場所だから噴火を繰り返し造られたのが富士山だ。
    「日本を代表する」と言われる富士山は、実は特異な性格を持つ「巨大」な活火山だということを忘れてはならない。

    富士山噴火の影響を受ける東京に住んでいると、最も長期的に被害をもたらす火山灰に怖さを感じる。
    火山灰は細かいガラスの粉で、積もれば雪のようには融けてくれない。
    水を含めば粘土のように固まる。よって洗い流そうとすると下水管が詰まる。
    エアコンや車のフィルターが詰まり故障する。
    気管や肺が傷つけられる。農作物がやられる。太陽光が遮られる。、、、などなど。

    300年前の宝永噴火の時代とは異なり、複雑に発達した現代のインフラが機能マヒに陥る恐れがある。
    しかしながら危機管理に過剰なコストはかけられないので、起こってから「想定外」と言い訳するしかない役所や企業が大多数なのだろうな。

    今日も、明日も、明後日も、大地震と大噴火が起きませんように!

  • 小学生が感想を書かせていただきました。
    とてもわかりやすい本ですこの本の紹介文を学校で書いてみました。これはしっかりと火砕流や火山灰について詳しく書かれているのでとてもわかりやすい本になっているのでぜひ購入して読んでみて下さい。
    ブルーバックス様の本が私は好きです。私は鎌田さんの書いている本がとても分かりやすいと思います。最近は電子機器ばかりやっていて本を読まない小学生がたくさんいます。なので私はたくさん本を読んで知識をつけていきたいと思います。

  • ーー2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、富士山の様相を決定的に変えてしまった。津波や原発に隠れてこのとき、富士山内部のマグマだまりに「ひび割れ」が生じたことに、火山学者たちは青ざめた。以後、富士山は「噴火するかもしれない山」から「100パーセント噴火する山」に変容してしまった。そのとき何が起こるのか。南海トラフ巨大地震との連動はあるのか。火山の第一人者が危機の全貌を見通す!ーー

    本書は、2007年の「富士山噴火」を最新のデータを付加して加筆したものです。そもそも日本列島には活火山111個もあり、多くの学者からも南海トラフ地震は2030年代に「必ず」起こると「予言」されています。またあえて、富士山なのは、日本の象徴であり首都圏に近く想定被害が甚大だという2点にあります。火山活動はマグマだまりの刺激から起因することから、大地震との連動は必然で、南海トラフ地震が起こればかなりの確率で富士山噴火も起こりえるわけです。その被害は噴火自体の近隣地域への直接的なもの以外にも首都圏を含め広範囲な火山灰による交通マヒや通信遮断によるライフラインまでもの影響が想定されています。そこまでわかっていながら、首都機能を東京へ一極集中している政治の怠慢は目に余ります。有事に富士山周辺で東西の物流が断絶される危険性もあるのに無策な状況は、「見たくないものは見えない」愚かな態度ですが、国を統治する政治家が「ダチョウ(危険が迫ると砂に頭を突っ込んでみないようにする)」では困ります。
    では、有史以来記録に残っている富士山噴火についてみてみましょう。
    最近では、江戸時代の1707年までさかのぼります。(信ぴょう性の高い記録では800年前後に3回、900年代に2回、1000年代に2回、1400年代と1500年代に1回づつの計9回)つまり、現時点で313年の休止ブランクがあるわけですが、一度起これば噴火サイクルが早くなることも言えそうです。
    また3.11から地下地震が活発となった20山(阿蘇山や箱根山、白山、乗鞍岳、焼岳、浅間山、伊豆大島、新島、丸山など)の動向も気になります。
    菅新政権は喫緊の武漢ウィルス対策も必要ですが、目先の問題ばかり対処するのではなく、直前に迫る危機にも余裕をもって準備し、国民を安心させてほしいものです。

  • 富士山噴火が近いことはわかった。噴火したら致命的な打撃を受けることもわかった。なんで東京集中が変わらないかがわからない。

  • ●3.11の4日後に、富士山は震度6強の地震が発生している。江戸時代から300年分のマグマをため込んで不気味な沈黙を続けているのだ。
    ●火山灰の正体はガラス!普通の灰とは違う。
    ●南海トラフ地震は3.11以上の被害に。
    ●3.11で生じた歪みが元に戻るのは何十年もかかる。今後全ての活火山を厳重に監視する必要がある。

  • 2030年には南海トラフ地震が発生し、富士山も影響を受ける。噴火につながるかも知れない。現在、地震の兆候は1ヶ月程度前に分かるようになったが、やはり1人1人の意識の持ち様で被害が抑えられる。

  • 火山の噴火による様々な被害。例えば、火山灰、溶岩流、噴石、火砕流、泥流。こうした被害はどこの火山でも起こり得るが、富士山が噴火した場合、その山体規模や東側に首都東京があることなど、日本に与える影響は計り知れない。富士山はここ300年ほど噴火していないが、いまも活火山であり、近いうちに噴火する可能性も十分あるという。著者は、東日本大震災や、近く起こるであろう南海トラフを震源とする東南海地震によって富士山の噴火が誘発されるという。実際、過去にもそのような関係性が見られる。
    そのリスクに警鐘を鳴らすとともに、他方で、火山の恵みは噴火の被害よりもずっと長期にわたって恩恵を与えるという点にも留意を促し、いざという時のための準備を怠らないことが重要だと主張する。なるほど。

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著者プロフィール

鎌田 浩毅(かまた・ひろき)
1955年東京生まれ。筑波大学附属駒場中・高等学校卒業。東京大学理学部地学科卒業。通産省、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、現在京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・同名誉教授。専門は火山学、地球科学、科学教育。「京大人気No.1教授」の「科学の伝道師」。著書は『新版 一生モノの勉強法』『座右の古典』(ちくま文庫)、『やりなおし高校地学』(ちくま新書)、『地学のツボ』(ちくまプリマー新書)など。

「2021年 『100年無敵の勉強法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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