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Amazon.co.jp ・本 (624ページ) / ISBN・EAN: 9784065161159
作品紹介・あらすじ
現在の薄井の楽しみは、十年来の愛人しかなかった。それなのに逢い引きに急ぐところを会長に呼び止められ、社長のきなくさいセクハラ問題を耳打ちされる。家に帰れば、妻が占い師を知らぬ間に連れ込んでいる。女のマンションで機嫌をとって朝帰りすれば、妹から電話で母が亡くなったと知らされた。「なぜみんな俺を辛い立場に立たせる?」欲深い59歳の男はついにある一線を越えてしまう。もっとも過激な「定年小説」!
感想・レビュー・書評
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主人公の薄井は、銀行から年商2000億円の成長アパレル企業に出向・転籍し、財務担当取締役を務めている59歳。社長のセクハラ問題に乗じて、更に常務、あわよくば社長に就くことを密かに狙っている。10年来の愛人がいるが、会長秘書にも下心を持っており、接近を図る。母親が認知症であるが、介護は実の妹に任せっきり、しかし、母親の住んでいる住居の都内一等地の土地、遺産を手に入れ、長男一家と二世帯住宅を持ちたいと願っている。
そんな薄井の人物像を表す言葉は、例えば、「虫がいい」「せこい」「判断能力がない」「人の心が読めない」「自分が良ければ」という感じの言葉であり、一言で表すとすれば「小物」「ゲス」というのがぴったりかと思う。
そんな薄井が色々な(彼にとっては)試練に見舞われていくというのが、本書の筋書きである。薄井ほど共感できない主人公も珍しいが、それでも、そのゲスっぷりは見事でむしろ爽快で、テンポの良いストーリー展開もあり、面白く読んだ。桐野夏生の作品の中でも、かなり好きな部類に入る。
本作品についての、筆者の桐野夏生のインタビュー記事をウェブで読んだ。インタビューによれば、本作品のテーマは下記の通りである。
【引用】
この作品のテーマは、男の欲望です。すべてを持っていたい男のわがままを書こうと思いました。虫のいいことばかりを考えている主人公の心のうちの秘密、人には絶対に言えないようなことを書いていく作業です。それは誰もが持っているものですが、この年齢の男性には特に多いと思う。
これまで薄井のような初老に差し掛かった男の心理を描いたことはほとんどありませんでしたが、連載された「週刊現代」の読者の共感が得られないのではつまらないので、挑戦的な気持ちでやってみました。
【引用終わり】
実際、私が感じたような「ゲス」な男を描きたかったということなので、まぁ、私は筆者の意図通りに物語を読んだのである。確かに、薄井ほどの虫のよさはないにせよ、自分に都合の良いことを考える心理は「誰もが持っているもの」なのであり、もしかしたら、自分自身の「男のわがまま」を実現しようとする薄井を少し応援しながら読んでいたのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
金と権力、そして女という欲と煩悩にまみれた定年間際のおじさんの話
本当に主人公の薄井に全く共感出来ないまま物語が終わった!薄井は自分の周りにいる女の人たちをことごとく不幸にしているな…
あといちいち女の人に対して性的な目でみているところが本当にしんどい…おじさん、60間際のおじさんってこうなのかな…
志摩子も史代も美優樹もそれぞれの立場で薄井に様々訴えてきていたのに真摯に向き合い誠実な態度を取らなかったことで破綻に繋がっていったような気がする
長峰の予言があってもなくても早晩薄井はダメになってただろうな
それにしても長峰の予言、すごく気になる!
物語は疾走感を伴い、ドミノ倒しのように一気に崩れ落ちる様が痛快! -
桐野夏生『猿の見る夢』講談社文庫。
銀行からアパレル企業に出向した59歳になる薄井を主人公にしたサラリーマン自業自得小説。
作品に散りばめられた様々な出来事はそれなりに面白いのだが、だから何なんだという感じである。薄井という人物の強欲さとドケチぶりには驚かされると同時に、男という生き物は何とバカなんだろうと考えたりする。
月3万円で契約する10年来の愛人にへいこらする薄井は、会社では社長のセクハラ問題処理を任され、家に帰れば妻は怪しげな占い師を連れ込み、挙げ句には母親の急死により妹との相続問題でゴタゴタに巻き込まれるが……
ページ数の割りにはサラッと読める。
本体価格1,000円
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600ページあります。
しかし、一気に読めます!
主人公は年商二千億円の女性衣料メーカーの取締役の59歳の薄井!
最近、10年来の愛人がキレやすい。
その愛人とはタイプの違う魅力的な女性が職場にいる。
妻が占い師を家に招き入れて家に住み着きそうになる。
妹夫婦と母とは仲が悪いが母は1億円ぐらいの財産を持っている。
薄井にはプランというか小さな野望がある。
常務になって定年を少し伸ばしたい!
母が死んだら自分の息子夫婦と二世帯住宅を相続予定の土地に建てたい。
愛人を新しくしたい。
ケチで優柔不断でモラハラの主人公には共感できないが、いろんなトラブルで翻弄される主人公に自分だったら・・・と思う節はある・・・
『渡る世間は鬼ばかり』のようなストーリーだけど主人公のダメさ加減と巡ってくるトラブルのスピード感が堪らない!
帯が気になって買ってしまう。
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⭐️4.0
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薄井正明、59歳。目下の悩みは社内での生き残り。そんな彼の前に、妻が呼び寄せたという謎の占い師・長峰が現れる。この女が指し示すのは、栄達の道か、それとも破滅の一歩か…。
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定年小説 らしい
主人公である59歳の薄井さんにいろいろな
問題がふりかかる
とくに女性問題
600ページの作品であるが先が気になる展開と
読みやすさもあって読み終えることができました
中で占い師の存在は大きかったです
薄井さんの行動は占い師を嫌悪しながらも
影響されていました -
スピーディーで面白く読んでしまう。
2013年~2016年にかけての作品だから、
ミロスリーズから始まった数々の作品群を経ての本。
ここまでくると失礼ながら手練れが安心して読めるように思う、
それが心地いい。 -
銀行から衣料品の会社へ出向した薄井。
会長に気に入られてのことだが、当初は三流と言われる出向先だった。
しかし、業績は伸びてきている。
薄井には長く付き合う愛人もいる。
だけど、離婚は望んでおらず、家では奥さんに恐れを抱く。
母親は認知症を患って入院しているが、面倒は妹夫婦に任せっきり。
いわゆる最低な男。
発言も思考も、全てにおいてイライラを引き立てる。
2022.10.12
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薄井という男が本当に嫌い。
寂しくて惨めな老後を送ってください。 -
2025.3/12〜27
あっちへこっちへ移り変わる心の様子、自分はまだまだいけると思いたい中年男性のプライド。桐野先生は嫌な女性を描くのがとても上手だが、男性の心理描写も凄い。主人公に同情できない、でも少し憎めない物語でとても満足。 -
59歳の会社役員とその周囲の人々が、それぞれの色と欲に翻弄される虚々実々…という、主人公のオッサンにも周りの人物にもまるで共感できず、成長もない話なのに。なんでこんなに「読ませる」んやろー。もう、さすが桐野先生というしかない。
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面白かった
男としては、他人事とは思えないお話 -
二兎を追う者は一兎をも得ずという言葉は、まさに彼のことを言っているのでしょうね。ケアマネージャーをしている母から、人の最後というのは骨肉の争いというのはよく聞くが、一億も満たないお金でこんなに人を傷つけあうことができるのか。自分はそうではないと信じたいし、母にも遺産はいらないから遺言だけは書くようにといっているが、この本や母からのお話を聞くと自分も変わるのかと怖くなる。
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27冊目。主人公と自分が年齢も近く結構、被ってて身につまされ、共感するとこがある本でした。この主人公ほど自己中ではないぞ…おそらく。600ページですが、2日間で一気読みでした。非常に面白かったです。
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まさに猿。59歳にもなって20代と変わらないくらい猿。すいすい読み進めて、あぁ欲望に貪欲な奴らだなと思いつつ、その多数が中年なことで我に返るの繰り返し。
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分厚いですが実質2日ぐらいで読み終わりました。
それぐらいおもしろかったです。
出てくる人物がみんなうさんくさい中、主人公・薄井が一番困ったヤツというか、懲りないおじさんだなと思いました。
59歳の男が、嫁や妹などに心底嫌気差されてめちゃくちゃ言われてるのもなんかツラ…って感じだけれども、言いたくなる女性陣の気持ちはわかり過ぎるほどわかる。
不気味な存在の長峰が最後にどうなったか、ちょっとそれこそ化かされた終わり方でしたね。
薄井はこれからも調子よくあっちがおかしくなったらこっちへ、こっちがやばくなったらあっちへ、を繰り返して生きて行くんでしょうね。
それが目に見えるような、いい加減なお調子者のおじさん主人公でした。
がんばれ、とか思いもしない、そんなおじさんでしたw -
銀行からの出向役員としてアパレル企業に勤務する薄井正明59歳。夢みる初老の男の人生設計が、謎の占い師の登場で次々と破綻していく。迫真のジタバタが決して他人事じゃない、全男性必読の定年小説。
男の処世術は、如何にその場をしのぐかと言ったら大袈裟か。家族や身内、社内に愛人、これでもかとやってくる災難と疫病神に、薄井のその場しのぎ戦術は上手くいきそうでいかない。全てを失ったかに思えるラストだが、薄井の女と金に対する執念はまだ消えてない。
著者プロフィール
桐野夏生の作品
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