ジャンヌ・ダルク 超異端の聖女 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065162767

作品紹介・あらすじ

痛快で、やがて悲しい――。ジャンヌ・ダルクの生涯を一言であらわすならば、このようになるでしょうか。
 時は15世紀、英仏100年戦争の末期。フランスを二分する未曾有の国難のなか、パリを追われた失意の国王シャルル7世のもとに彗星のごとくあらわれたのが、ジャンヌ・ダルクです。甲冑を身にまとい馬上の人となった彼女は破竹の勢いで敵方を打ち破り、またたくまにシャルル7世をランスでの戴冠に導きます。しかし華々しい栄光もつかの間、ジャンヌはイギリス軍に引き渡され、異端者として生きたまま火あぶりにされてしまうのです。「声」に導かれるまま生まれ育った村を旅立ったのが16歳、火刑台に立たされたときには19歳でした。
 本書は、100年戦争の政治的背景から、中世におけるお告げや聖女の系譜など、彼女が生きた当時の世界を浮かび上がらせることで、ジャンヌ・ダルクの全体像をあざやかに、しかも親しみやすい筆致で描きだします。
 名もない羊飼いの娘だったジャンヌを突き動かした「声」、ついにはシャルル七世をも動かし、フランスを熱狂させたものとは、いったい何だったのでしょうか。カトリックの聖人は数多くいますが、異端者として火刑にまでなりながら、500年後に聖女として認定されたのは彼女だけです。「普通の女の子」が国を救い、国家意識を創ることを可能にしたヨーロッパ中世とは、そして彼女を「守護聖女」として今なお現役で生かしているフランス人の心性とはいったいどのようなものなのでしょうか。異端にして聖女、華やかで苛烈なジャンヌ・ダルクの世界に、あなたも飛び込んでみませんか?(原本:講談社現代新書、一九九七年)

【本書の内容】
プロローグ
序 章 ジャンヌ・ダルクとはだれか
第1章 ジャンヌ・ダルクの先駆者たち――カリスマと聖女
第2章 神の「声」を聞いた少女
第3章 中世の政治と宗教――少女戦士はいかにして誕生したか
第4章 戦場の乙女
第5章 ジャンヌの最期
エピローグ
あとがき
学術文庫版あとがき
おもな参考文献

感想・レビュー・書評

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    痛快で、やがて悲しい――。ジャンヌ・ダルクの生涯を一言であらわすならば、このようになるでしょうか。
    時は15世紀、英仏100年戦争の末期。フランスを二分する未曾有の国難のなか、パリを追われた失意の国王シャルル7世のもとに彗星のごとくあらわれたのが、ジャンヌ・ダルクです。甲冑を身にまとい馬上の人となった彼女は破竹の勢いで敵方を打ち破り、またたくまにシャルル7世をランスでの戴冠に導きます。しかし華々しい栄光もつかの間、ジャンヌはイギリス軍に引き渡され、異端者として生きたまま火あぶりにされてしまうのです。「声」に導かれるまま生まれ育った村を旅立ったのが16歳、火刑台に立たされたときには19歳でした。
    本書は、100年戦争の政治的背景から、中世におけるお告げや聖女の系譜など、彼女が生きた当時の世界を浮かび上がらせることで、ジャンヌ・ダルクの全体像をあざやかに、しかも親しみやすい筆致で描きだします。
    名もない羊飼いの娘だったジャンヌを突き動かした「声」、ついにはシャルル七世をも動かし、フランスを熱狂させたものとは、いったい何だったのでしょうか。カトリックの聖人は数多くいますが、異端者として火刑にまでなりながら、500年後に聖女として認定されたのは彼女だけです。「普通の女の子」が国を救い、国家意識を創ることを可能にしたヨーロッパ中世とは、そして彼女を「守護聖女」として今なお現役で生かしているフランス人の心性とはいったいどのようなものなのでしょうか。異端にして聖女、華やかで苛烈なジャンヌ・ダルクの世界に、あなたも飛び込んでみませんか?(原本:講談社現代新書、一九九七年)
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000323028

  • 異端者として処刑されながら聖女となったジャンヌ・ダルクについて、そうした事情を招いた背景を論じたもの。ジャンヌ・ダルクの生涯を解説するだけの本だと思っていたのが、想像以上のおもしろさだった。
    ジャンヌが一度は異端とされながら評価が逆転し聖女になったのは、その時代、時代のとらえ方のせい。今の世のなかだって、きのうまでもてはやされていた人が一転して非難されるようなことはいくらでもある。人はあまりにもすごい人がいると恐れるようになるものだし、マスの力をもって排除しようとする。ジャンヌもその例だが、それが大衆の意見だけでなくキリスト教のご都合主義によっていた感じがして、宗教のずるさを見せられた気分。
    この本の面白さはジャンヌをジェンダー的に見ているところにもある。女性が異端者になりやすいのは、たとえ異端的な言動があっても社会的なレッテルに当てはめやすい男性に比して、そもそも社会の埒外におかれていて当てはまるレッテルがないからという見方は大いに納得できた。
    また、男装しても女は女でありながら、ジャンヌが率いた兵士(やときには敵方までも)が性的対象と見るどころか聖性を見い出していたのは、男装することで異端でなく「異界」に入った(女でも男でもない)神聖不可侵なものになったからだという論も面白かった。
    自分の見方をこれにつけ加えれば、レッテルや社会的な見方に従順な男たちが相手だったからこそ、そういう存在になったのではないだろうか。でも、そういうことだったとしても、結局ジャンヌは男たちやキリスト教的な父性が描きたいように、ときに貶められときに祀られているだけのような感じがして何ともやるせない。

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著者プロフィール

東京大学大学院比較文学比較文化修士課程修了。同博士課程、パリ大学比較文学博士課程を経て、高等研究所でカトリック史、エゾテリズム史を修める。比較文化史家・バロック音楽奏者。フランス在住。『聖母マリア』『知の教科書 キリスト教』『「弱い父」ヨセフ』(以上講談社選書メチエ)、『カルトか宗教か』(文春新書)、『からくり人形の夢』(岩波書店)『キリスト教の真実』(ちくま新書)、『戦士ジャンヌ・ダルクの炎上と復活』(白水社)、『ナポレオンと神』(青土社)、『ローマ法王』(中公文庫)』『キリスト教は「宗教」ではない』(中公新書ラクレ)『レオナルド・ダ・ヴィンチ 伝説の虚実』『無神論』『ユダ』『キリスト教の謎』(以上中央公論新社

「2018年 『神と金と革命がつくった世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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