嫌な奴 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 78
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065162798

作品紹介・あらすじ

杉本和也は、大嫌いな「親友」三浦に会うため12年ぶりに故郷を訪れる。再会した三浦は昔と変わらず嫌な奴だったが、和也はどうしても突き放すことができない。三浦に押されるまま、一緒に暮らすことになってしまい……。不器用な友情と、胸が張り裂けるような愛情と性愛を見事に描く傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 1998年4月ビブロス初出の20年以上前のノベルス版を、今風に大幅加筆修正。しかも、「箱の中」「美しいこと」「秘密」に続いて講談社文庫からの出版です。

    現在の木原作品の特徴をギュギュっと濃縮した、原典のようなストーリーです。
    これっぽっちも好きじゃない相手(♂)に異常に執着され拒絶し続けるも逃げ場のない状況に追い込まれ嫌々受け入れるけど、ドロッドロの愛憎の渦中で気がつけばほだされてしまっている…という展開。
    息つく暇もなく読み切ってしまいました。

    それで思ったのが、杉本視点で三浦という男がいかに粗暴で自己中で恐ろしい存在かということが書き連ねてあるけれど、実は一番自己中で冷酷で「嫌な奴」なのは三浦じゃなくて、杉本だよね?ということでした。
    そもそも気の合う親友のふりなんかして、なのに急に行方をくらますとか、相手が傷つくのは当たり前なのですよ…
    何か事情があったならいざ知らず、小野寺にはちゃんと色々話してたとか知ったらショック以外の何ものでもないですよね~
    ま、そんなことは杉本の主観でストーリーが進行しているのでいっさい語られていないのですが、小野寺の言葉によって徐々に読者にはどっちもどっちなことに気づかされるのです。

    杉本は、三浦を怖がりつつも相当振り回しているような。
    そんな風にに逃げ回ったり冷たく接したりしたら、ますます執着されちゃうのですよ…
    三浦が「同情もしてくれない、友達にもなれない。そこにいないみたいに無視される」と本音を暴露したところは切なかったです。身体しかくれないから身体だけでも、というのはちょっと…と思いましたが、最後で三浦の心情をうかがい知るともう同情しかなかったです。

    このお話がさらに進化したのが「FRAGILE」かな。
    テーマは似ているけど、まだ「嫌な奴」の方が衝撃はソフト(笑)
    あれほど痛くはないので、読みやすかったです。
    木原作品の醍醐味を存分に味わうことができました。

  • 恋愛でも友情でもない、なにかわからない、嫌で仕方ない、一緒にいると苦痛しかない、でも離れられないという、この関係が好き。とくにこの作家さんの描くこのどうしようもない関係が好き。今まではそこに結局ハッピーエンドがあって、それもそれでめちゃくちゃ好きだったけど、今回はそれが全てだったな。それもそれでいい…

    この二人は、お互いにとってお互いが嫌な奴なんだろうな。なんかもうどうしようもないな。でも、こうなっちゃうんだろうなと思わせる二人が好き。

    ただ、どこかで三浦に少しでもなにかを、と願ってしまったわたしにとって、初回限定の書き下ろしSSがあって、読めて、読んで、ほっとした。

  • BL界屈指の才能による傑作が大幅加筆修正で登場。これぞ世界的水準のLGBT文学!

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著者プロフィール

(このはら・なりせ)
高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『美しいこと』『秘密』『罪の名前』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』など多数。

「2020年 『嫌な奴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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