地球をめぐる不都合な物質 拡散する化学物質がもたらすもの (ブルーバックス)

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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065163931

作品紹介・あらすじ

かつて社会問題にも発展したダイオキシンに代表される化学物質による環境汚染だが、国を挙げた排出規制や環境技術の革新によって排出量は減り、問題は解決したように思われていた。しかし、近年、工業化の進展が著しい中国などの新興国や先進国の環境中に蓄積された化学物質が、大気や降雨、海流などを通じて、世界各地に拡散していることがわかってきた。

汚染はダイオキシン類にとどまらず、水銀やヒ素などの重金属、様々なプラスチック製品が微細に分解されたマイクロプラスチック、直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質PM2.5など多種多様に及ぶ。こうした化学物質は、排出源からはるか遠方の北極や南極などにも広がり、海洋生物や極地に住む原住民の体内には無視できない量の化学物質が蓄積されていることが明らかになってきた。

環境中に放出された残留性有機汚染物質は、ひとたび生体内に入り込むと、そこに長期間とどまる。厄介なことに、環境中では低濃度であっても、食物連鎖を通じて生態系の上位に向けて生物濃縮が進み、アザラシ、アシカ、セイウチ、イルカなどの鰭脚類や鯨類では、驚くほどの高濃度になることが知られている。たとえば、西部西太平洋に棲むスジイルカが、海水中の1000万倍もの高濃度でポリ塩化ビフェニルを蓄積しているという報告もある。また、ヒトについても、成人には影響を与えることのない微量な化学物質であっても、化学物質に感受性の高い幼児期に化学物質に触れると、その後の成長や免疫機構に無視できない影響を与えることなどが危惧されている。

第一線の環境化学の専門家たちが、様々な視点から「地球規模の化学物質汚染」についての深刻な状況を報告する。

プロローグ 地球をめぐる不都合な物質とは

第1部 人類が作り出した化学物質が地球を覆う
第1章 世界に広がるPOPs汚染
ー海生哺乳動物の化学物質汚染と途上国のダイオキシン汚染
第2章 マイクロプラスチック「不都合な運び屋」
第3章 水俣病だけではない「世界をめぐる水銀」
第4章 古くて新しい不都合な物質「重金属」
ー四大公害病から越境汚染まで
第5章 知られざるPM2.5
-何が原因? どこからやってくる?

第2部 不都合な化学物質は、私たちにどのような影響をもたらすのか?
第6章 メチル水銀が子どもの発達に与える影響を探る
第7章 化学物質が免疫機構に異常を引き起こす
-免疫かく乱とアレルギー疾患
第8章 毒に強い動物と弱い動物
ー解毒酵素を介した化学物質との攻防

エピローグ 化学物質をめぐる対立

感想・レビュー・書評

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  • ときどき新聞やニュースで見聞きする、マイクロプラスチックやPM2.5。
    とりあえず体には悪そうだとは思っていたが、どう危険なのか、そもそもこれらの物質は何なのか、というのがきちんと理解できていなかったので、まずはそのあたりの知識を得る入門的な本として良いと思った。

  • マイクロプラスチックがそれ単体の問題ではなく、過去の汚染物質と結合し、汚染を広げていくというのは初めて知った。過去に排出してしまった汚染物質はもうどうにもならないと思われ、今後如何に排出を制限する事かなあ。SF的(実現不可能)な解決策しか思い浮かばない。

  • プラゴミ、野焼き、農薬、石炭を燃やすなど巡り巡って地球全体を汚染していることがわかった。完全にゴミを分別したと思っていても環境中に排出されてしまう部分があるということに考えさせられた。ただ、便利な生活を送りたい以上、完全には防げないだろう。難しい問題だと思う。

  • プロローグ 地球をめぐる不都合な物質とは
    第1部 人類が作り出した化学物質が地球を覆う(世界に広がるPOPs汚染―海生哺乳動物の化学物質汚染と途上国のダイオキシン汚染;マイクロプラスチック「不都合な運び屋」;水俣病だけではない「世界をめぐる水銀」;古くて新しい不都合な物質「重金属」四大公害病から越境汚染まで;知られざるPM2.5―何が原因?どこからやってくる?)
    第2部 不都合な化学物質は、私たちにどのような影響をもたらすのか?(メチル水銀が子どもの発達に与える影響を探る;化学物質が免疫機構に異常を引き起こす―免疫かく乱とアレルギー疾患;毒に強い動物と弱い動物―解毒酵素を介した化学物質との攻防)
    エピローグ 化学物質をめぐる対立

    編著:日本環境化学会

  • 内容は難しいが読み終えると最新の環境問題がかなり理解できる一冊。ニュースでは取り上げられていないものの、国際的に注目されている問題が多いことがわかるでしょう。

    これらを理解できると、環境問題でやることは多く、ビジネス面でもチャンスがかなりあることが見えるはず。環境問題、エネルギー問題はかなりやりがいのある分野の一つだと分かってほしい

  • マイクロプラスチックに興味があって読んだのだが、マイクロプラスチックに吸着する有害物質以外にも、大気中や海洋中には多くの化学物質が漂いながら、生物に悪影響を与えている。自分は常々、物事には必ず功罪二面性があり便利なものであればあるほど弊害も大きいと感じている。
    便利さの不可逆性を打ち破るのか、それともさらに便利なものを生み出して利用するのか。この本を読みながらマッチポンプ的問題とともに複雑化の沼にしずんでいくような感覚をもった。とても面白かった。

  • <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=342093

  • 地球規模で考える!

  • 519||Ni

  • 請求記号 519/N 71/2097

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著者プロフィール

環境と化学物質との関わりについての情報交換と普及および学問、技術の進歩発展を目的とし、様々な啓蒙活動を行っている。個人会員約1150名(学生会員、海外会員含む)賛助会員77法人、公益会員19機関、公益会員24機関で構成される。

「2019年 『地球をめぐる不都合な物質 拡散する化学物質がもたらすもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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