- 本 ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065164334
作品紹介・あらすじ
カペー、ヴァロワ、ブルボンと続くフランス王朝の歴史を描けるのは、この人しかいない! ブルボン朝の歴史を描く「フランス王朝史」シリーズ第3弾。ついに完結。
フランス王朝史の白眉! 3つの王朝中、最も華やかな時代を描く。
長い宗教戦争の時代を克服し、ヨーロッパ最強国、そしてヨーロッパ最高の文明国となったブルボン朝フランス王国。個性豊かな王たちーー稀代の策士にして稀代の艶福家、王家の創設者アンリ4世。「踊る太陽王」ルイ14世。「愛され王」ルイ15世。革命により断頭台の露と消えたルイ16世。マントゥノン夫人、ポンパドゥール夫人など宮廷を華やかに彩った寵姫たちと、リシュリュー、マザラン、フーケ、コルベールなど政治を司った宰相、大臣たち。さらにはヴェルサイユ宮殿を造ったルノートルを始めとする芸術家たち。のみならず、大革命とナポレオンの時代を経て復活したルイ18世、シャルル10世の復古王政から、オルレアン家による7月王政の終焉まで。「ブルボンの血」による王権の始まりから終わりまで、すべてを描ききった超力作。
感想・レビュー・書評
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やっと読むことができました、フランス王朝史完結編です。「ベルサイユのばら(池田理代子先生)」をリアルタイムで読んでいた世代なので、ブルボン朝には興味がありましたが、カペー朝、ヴァロワ朝と続けて読んで、フランスという国のイメージの裏側が分かった気がします。あと、私って、授業以外の歴史のソースの多くが漫画なのだなぁ…と実感。
アンリ4世は「王妃マルゴ(萩尾望都先生)」。ルイ13世は「三銃士(A・デュマ・ペール)」。ルイ14世は「緑のディアーヌ(名香智子先生)」ルイ15世は、「ベルばら」で色欲老人のイメージだったのに、「黒百合の騎士(名香智子先生)」でひっくり返されて、ルイ16世はもちろん「ベルばら」!…歴史愛好家の皆さま、相すみません。
群雄割拠に近かった王国を中央集権化して、数々の戦争を戦い、絶対王政に到達したのに、革命により崩壊し、現在の民主制に至るまでのプロセスを概観して感じたのは、我が国の民主主義の道はまだまだ…ですか、ということです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大王アンリ4世から始まるブルボン朝の王朝の歴史が、王の人物像を活写することにより、臨場感をもって描き出されています。
旧教と新教の対立、法服貴族や高等法院との対立、そして近隣諸国との戦争。王たちの権力が必ずしも盤石でなかった時代背景が良く分かります。
ルイ14世の出生に関する件や、死に際してのルイ16世の言葉など、印象に残るエピソードも多く散りばめられていて、一気に読んでしまいました。 -
佐藤賢一氏のフランス革命物語を
読んでる最中に本書を発見。
王朝の歴史を歴史を知らずして
革命を語れないんちゃうかなぁ
という思いで読了。
ローマ帝国の統治から
王朝が勃興して、
宗教なんかも絡みながら
貴族、富裕層、庶民らが
王政に影響を与え変化しててきたか?
その影響はヨーロッパ全域に関わることなのが
スケールを大き過ぎて理解が追いつかない。
周辺諸国の中でも特に
関連が深いイギリスのことも知りたくなった。
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
ブルボン朝時代のフランスが一般的に考えられているような王様の生活に最も近いように感じた。
しかし、実態としては長い年月で積み重ねられた諸問題が一気に吹き出し、王様が絶対的な権力を持っているわけではないというあたりが不思議な感じだった。
一方で現代のフランスの芸術や服飾などの文化を重視する姿勢はこの時代に生まれたのだと感じたよ。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/729263 -
カペー朝、ヴァロア朝に引き続き、3部作の最後となる本作。やっと読み終えたというのが正直なところ。
400ページを超え、前半は読むのがきつかったが、ルイ14世のヴェルサイユ宮殿のくだりあたりからかなり面白くなり、最後は一気読み。
フランス革命が点ではなく、ルイ16世の処刑後もブルボンの血筋が続いていたのが少し驚き。ナポレオンの時代も最後に軽く触れており、読後感が良かった。
人名が多すぎて把握しづらいのはこの時代仕方ないのかも。
あとは、アンリ4世がカッコよく、より調べてみたくなった。フランス革命にアメリカ独立戦争が関わっているのも興味深かった。 -
王朝史であるからして王家の視線で語られていて、フランス革命の記述もルイ16世に同情的だ。こういう見方もあるのかと新鮮だった。
フランス革命後もすんなりと共和制に移行しなかった史実を初めて知った。同時期日本でもペリーやフェートン号がやって来て国を開き、幕末に向かって大きく政治が変わっていった時代である。徳川幕府はフランスから軍事指導を受けたが、当時フランスが近代国家としてできたてホヤホヤの国だったとは知らなかった。幕末期の日本にた対する情勢判断において、フランスはイギリスほど正しく事態を見通せていなかったが、それも納得である。 -
ブルボン朝はフランス王家と言えばブルボン朝というくらい印象が強い。しかし、アンリ4世、ルイ13世、ルイ14世、ルイ15世、ルイ16世でフランス革命になっている。国王の数は少ない。ここにはルイ14世が72年というフランス史上最長の在位期間という事情がある。ルイ15世も治世が長かった。息子よりも長生きしており、孫がルイ16世になった。
世界史ではアンリ4世のナントの勅令でフランスの宗教問題が解決した印象があったが、その後のルイ13世の時代も新教徒と旧教徒の対立は続いた。貴族の決闘を禁止し、城塞を破却した。この点は近世日本の喧嘩両成敗や一国一城令と重なる。
フランス王国のルイ14世が絶対王政を確立できた要因として貴族が宮廷文化に骨抜きにされたことがある。
「王家の側からみれば、反乱を起こしかねない危険分子が、自ら人質になりにきたようなものだ。しかも好んで散財する。蓄財され、武器を買われ、人を雇われれば恐ろしいものを、着たくもない服を着て、したくもない化粧をして、味わいたくもない美食を繰り返し、つい最近まで年に一度くらいだった贅沢を日常にしながら、多額の借金まで拵える始末なのだ」(佐藤賢一『ブルボン朝 フランス王朝史3』講談社現代新書、2019年)。
これは現代の消費者にも勉強になる。自分が消費したいものを消費することが賢い消費者である。 -
事実は小説より奇なり、とよく言うが。所々、事実の羅列が怒濤のように続く箇所もあったけど、途中、事実関係や人物の繋がりを整理したい所や(なにせ同じ名前のヒトだらけ!)、少し立ち止まって考えたい所や派生事項をググって確認したい所やあったんだけど。とにかく続きが気になって気になって、先に先にと読み進めてしまった。ミステリじゃなくてこういうの、あまり経験ないかも…。
特に面白かったのは、ルイ14世の第3章。鉄道も蒸気機関もない、地理的中央集権化の困難だった時代に、ナショナリズムを高揚させることが意識の中央集権化に繋がる…と本当にルイ14世が考えたかどうかは疑問だけど、結果として花開いたヴェルサイユ文化。江戸時代の参勤交代から犬公方への流れと、アプローチは違うけれども結果的には同じように機能してる…ってのは面白い切り口。時代も同じ17世紀ってのは、出来過ぎな感があるが。 -
フランスがフランスになる素を作り出した王朝ということがわかった。ソフトパワーをもって国をまとめる、首都に諸侯を呼び寄せ、金を使わせてキバを抜くという手法、江戸幕府にも通じるところがあって興味深い。
以前、リベラル派はリベラルを進めることでリベラルの担い手を減らしてしまうことを否定しない(子どもを産まない選択肢を肯定する側面があるため)という記事を読んだことがあって、ブルボン朝もまた啓蒙主義を保護することで、最終的に啓蒙主義に飲まれてしまったということか。
カペー朝、ヴァロア朝と読んできて今イメージするフランス貴族、王家なるものがやっとブルボン朝で作り出されたのだなということに改めて驚いた。意外と歴史が浅いように思う。
しかし、どの時代も戦争に次ぐ戦争なのだなと実感した。
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