戦国の教科書

  • 講談社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065164907

作品紹介・あらすじ

小説で楽しく歴史が学べるって本当ですか?

今を代表する6人の人気作家が戦国時代のキーワードを元に短編小説を書き下ろし。さらに各作品に解説・ブックガイドも。楽しく読んで、楽しく学ぶ。戦国がもっと好きになる!

【おもな内容】
1限目 下剋上・軍師・・・矢野隆先生(「一時の主」)
2限目 合戦の作法・・・木下昌輝先生(「又左の首取り」)
3限目 海賊・・・天野純希先生(「悪童たちの海」)
4限目 戦国大名と家臣・・・武川佑先生(「鈴籾の子ら」)
5限目 宗教・文化・・・澤田瞳子先生(「蠅」)
6限目 武将の死に様・・・今村翔吾先生(「消滅の流儀」)
ホームルーム(解説・ブックガイド)・・・末國善己先生

感想・レビュー・書評

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  • 6つのテーマに基づいた6人の作家による短編と、そのテーマについての解説、ブックガイドが掲載された、なかなか凝った内容。

    1時限目『下剋上・軍師』
    「一時の主」矢野隆(黒田官兵衛)
    2時限目『合戦の作法』
    「又左の首取り」木下昌輝(前田利家)
    3時限目『海賊』
    「悪童たちの海」天野純希(冷泉新五郎)
    4時限目『戦国大名と家臣』
    「鈴籾の子ら」武川佑(新発田重家)
    5時限目『宗教・文化』
    「蠅」澤田瞳子(応其)
    6時限目『武将の死に様』
    「消滅の流儀」今村翔吾(松永久秀)

    それぞれの短編も面白かった。
    関ヶ原の戦いに於いての黒田官兵衛とその息子・長政との考え方、価値観の違いが浮き彫りになる1時限目。ジェネレーションギャップというよりは、時代の潮目を見切った人の違いということだろうか。
    同じ傾奇者として出発しながら途中で路線を変えた織田信長、いつまでも生き方を変えられない前田利家の違いを描く2時限目。二人に影響を与えたそれぞれの人物が敗れ去る側というのが興味深い。
    3時限目は個人的には新鮮な海賊もの。新五郎たちの行く末には不穏なものしか感じないのだが、それでいてどこか痛快なような青春もののような感じも受ける。
    4時限目と5時限目は申し訳ないが、あまり小説としての魅力は感じなかった。
    6時限目は「じんかん」でも松永久秀を描いた今村翔吾さんの短編。「じんかん」とは少し前半生の設定を変えてあった。どちらが先に書かれたのかは分からないが、『悪名も名でござろう?』という松永のセリフやそこに至る展開は「じんかん」よりもスンナリと受け入れられた。

    それぞれの短編のあとに挟まれる解説もなかなか興味深い。
    特に戦国での作法、大名と国主の関係、海賊など知らないことも多かったのでこれから時代物を読む上でも参考になりそうだ。
    ブックガイドもかなりの数。古いものから新しいものまで色々あった。

  • 6つのテーマにそった短編小説と、末國善己による解説・ブックガイド。

    短編集は、独立した読み物としてちゃんとおもしろかった。
    小説を読んでからの用語解説なので、イメージしやすいつくり。
    歴史が苦手な人にとって、まさにいい教科書になるのでは。

    本の紹介コーナーが興味深い。
    紹介される作家に重複が多く、偏っていたのが、やや残念。

  • 戦国武将のアンソロジーなのですが、表紙イラストとタイトルからは察しにくい。勿体なく感じた。
    各短編のテーマの解説や時代背景と時代小説案内。
    カラーではなく白黒の文章への網がけは読みにくい。

    『一時の主』矢野隆…下克上・軍師
    ・黒田官兵衛を殺したのは誰か。
     親の時代と子の時代
    ・下克上について。三大梟雄

    『又左の首取り』木下昌喜…合戦の作法
    ・熱を持て余した獣が、誇り高い虎となるまで。
    ・合戦の作法の実際、首実検の作法。
     「えい、えい、おう!」は、合戦の作法だった。
     「礼」は、敵であっても敬う行為である。

    『悪童たちの海』天野純希…海賊
    ・遭難し明国の港でくすぶってた新五郎は、主家が戦国の世に沈んだことを聞き、自由な自分たちの国を夢見て、海賊に身を投じていく。
    ・海も群雄割拠の時代。ヨーロッパでは、大航海時代。

    『鈴籾の子ら』武川佑…戦国大名と家臣
    ・上杉の影に殺された兄が残したのは籾だった。兄が見すえていたのは…?
    ・大名と国衆の関係。

    『蠅』澤田瞳子…宗教・文化

    ・太閤の命により十年の歳月をかけて、普請されている東寺の大仏の開眼供養が近づいたある日、巨大な地震が京の町を襲った。
    ・寺社の戦国は、その特権が剥奪されていく時代だった。

    『消滅の流儀』今村翔吾…武将の死に様
    松永久秀、その最後に思うのは弟との日々だった。
    ・武将たちの最後。

    奥付の作者名にフリガナあり。優しい;

    自分は『又左の首盗り』と『消滅の流儀』が、よかった。

  • それぞれのテーマに沿って語られるお話。有名な人もいれば、あまり知られていない人もいたけれど、一人一人を掘り下げてあるので、知識欲を駆り立てられました。最後の解説とガイドブックも良かった。興味があればさらに広げていける一歩となるのが有難い。もう少し軽い感じなのかなぁ、と思いきや、どれもしっかり歴史小説でした。#NetGalleyJP

  • テーマが決まった戦国時代の短編が6話。そのテーマの解説とテーマに沿った色々な本の紹介付き。村上海賊しか知らなかった自分としては倭寇の話が新鮮でした。そして読んでみたい本がたくさん増えて困ったなあ

  • こういうのいいなあ、単なる歴史小説の短編集でなく、テーマを設定した上で
    物語と解説をワンセットにしてあってまさに授業を受けてるかんじ。
    あらためて歴史小説は作者が色をつけるものなんだなあ、と。解説もおもしろいけどもテーマに沿ったお勧め本が多数掲載されているのもお得感。出版社などへの忖度を超えてほんとに多岐にわたる関連本が紹介されていて、講談社さんすごいなとおもった。

    全6講座、以下備忘録に。
    【テーマ】タイトル/作者(物語のキー人物) の順、以下備忘録。

    【下剋上・軍師】一時の主/矢野隆(黒田官兵衛)

    【合戦の作法】又佐の首取り/木下昌輝(前田利家)

    【海賊】悪童たちの海/天野純希(徐海&冷泉新五郎)

    【戦国大名と家臣】鈴籾の子ら/武田佑(新発田重家)

    【宗教・文化】蠅/澤田瞳子(木食王其)

    【武将の死に様】生滅の流儀/今村翔吾(松永久秀)


    解説・ブックガイドは末國善己さん。

  • しまった。風雲と同じ内容だった〜。題名変えるのはやめてほしいんだが、、、。

  • 印象に残るのは、
    又左、相手への作法が自身の纏う雰囲氣を変える。
    海賊、成長によるかつての大事が今は些事に。
    弾正、汚名も厭わぬ覚悟で名を刻み生きた証を問う。

  • 戦国時代に興味を持ったのは、岩槻のことを学び始めたから。
    室町幕府の滅亡あたりについて詳しく知りたい。そこでとりあえず、導入としてこの本を読んでみた。
    率直に言うと面白かった。この時代の人がどんなことに重きを置いて生きていたか分かった。解説や関連図書が参考になった。新発田重家、松永久秀が気になった。
    生きることは戦うこと。
    それぞれの守りたいものがあって、時に憤り、時に喜びながら、生きて、死んでいく様に心を動かされた。自分は何のために生きている?そう問われているように感じた。

  • 若手(と言っても単にワタシよりも年下なだけで個人的にそう思ってる)の人気時代小説作家を集め、戦国時代をキーワードにした短編小説集。
    単なるアンソロジーではなく、授業形式にして、夫々のテーマに沿って作品が書き下ろされてます。
    1限目は「下剋上・軍師」、2限目は「合戦の作法」てな感じ。
    それぞれの作品の後には末國善己による解説とテーマに関連するオススメ時代小説付き。ゼータクなアンソロジーです。

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著者プロフィール

天野純希
1979年生まれ、愛知県名古屋市出身。愛知大学文学部史学科卒業後、2007年に「桃山ビート・トライブ」で第20回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年『破天の剣』で第19回中山義秀文学賞を受賞。近著に『雑賀のいくさ姫』『有楽斎の戦』『信長嫌い』『燕雀の夢』など。

「2023年 『猛き朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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