密室を開ける手 KZ Upper File

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 224
感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065165416

作品紹介・あらすじ

祖父が死んだ――疎遠だった和典は、葬儀当日も通学し参列しなかった。そんな時、母親から父親のクリーニングを取りに行ってほしいと頼まれる。面倒と感じつつも葬儀に参列しなかった引け目から、しぶしぶその役目を引き受けた和典。品物を引き取る際に、店員から依頼はなかったがシミ抜きをしておいたという伝言を受ける。そのシミは大部分にわたる血痕だった――。父親は血を浴びるようなことをしたのか、ととたんに不安になり思いを巡らせる中、母親から最近父親が頻繁に長崎に行くようになり、絶対に女がいるに違いないとヒステリックに話していたことに思い至る。本当にそうなのだろうか? そして父親が通っているという長崎は、偶然にも祖父の出身地であることに気が付いた。何かがある――そう直観した和典は、調査にのりだす。そしてだんだんと分かってきたことは、祖父が戦時中叶えられなかったある強い想いがあるということだった。

感想・レビュー・書評

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  • 発売日に即購入。
    なかなか面白かった。
    今回は上杉くん単独の話。

    やっぱりKZシリーズ大好きだなあ。
    サクサク読める。

  • 最初は父親の浮気疑惑から始まり、ナチの秘密文書、祖父の浮気疑惑、謎の女性の存在、子供の頃の幼馴染の女性が、その謎の女の養女となり、父親のわからぬ子を妊娠という何とも複雑で、でも、単純な構成である謎解き物語。ラストには、すべての伏線を回収する綺麗なオチが待ち受けていて、それはちよっとした感動すら覚えるのだった。とにかく、人が謎を引き寄せる。うまくはぐらかす。先に期待を向けて読ませるというミステリーの王道。途中から夢中になっていた。ただし、探偵のキャラは好きではない。

  • 高等部2年になった上杉和典
    亡くなった祖父の葬儀をきっかけに祖父と父の隠しごとに気づき、残された写真を手がかりに謎を追い始める

    幼いころの花水木の記憶をたどって神戸へ、そして長崎へと飛ぶ和典を待ち受けていたのは、戦争の時代に翻弄された人々の浪漫と闇だった

    ようやくたどりついた密室の扉の先に和典が見たものは……

    2011年に青い鳥文庫でスタートした「探偵チームKZ」シリーズ
    「妖精チームG」、「KZ Deep File」とスピンオフが続き、読者層の成長とともに誕生した最新シリーズ「KZ Upper File」の2作目

    「おまえらに関係ないだろ」
    「そんな言い方しないでよ。僕たちは、チームKZのメンバーだったのに」
    「俺に構うな。放っとけよ」
    若武が怒気を含む。小塚は悲しそうに眉根を寄せ、それを見ながら黒木が静かに唇を開いた。
    「上杉先生、天国はちゃんとあるよ」
    そう言いながら親指を立て、その先で和典の胸を突く。
    「おまえの心の中にある。死んだ人間が天国に住めるかどうかは、おまえ次第なんだ」

    KZのメンバー健在の一節が、青い鳥文庫“卒業生”をひきつける

  • 頭は良いけど人間関係に希薄な男子高校生が、祖父と父という人間を分かろうと謎を解いていくミステリー。
    ただ単に謎を解くだけでなく、家族や友人との人間関係、過去や未来のこと、自分自身を見つめ直すこと、自身を成長させていく思考が散りばめられて、彼の成長が微笑ましく頼もしくさえ感じられた。
    どんな結末が待っているのか知りたいと同時に、彼と父との関係がどうなるのかも知りたくて、読み進めるペースがどんどん上がっていった。
    最後はやはり、温かい気持ちになった。

  • 発売年度で矛盾が生じているのかもしれないけど、上杉家の話を知った黒木くんはどう思っていたのかが気になった。

  • 戦争はなくなるべきだと思いました。人間の自由、想いを奪うことがよくわかりました。

  • なかなか深くて重い話でした。戦争って本当に傷しか残さないなと思います。一生涯、死ぬまで癒せない傷です。

  • 青い鳥文庫のKZシリーズのチームが、高校生になった時の出来事が書かれています。六年生で習う、第二次世界大戦ともつながっていて、主人公がどう成長していくのか楽しみになりました。

  • 父のこと、祖父のこと、どちらも気になる。
    誰も話してくれないのなら自分で探る。
    謎がとけたら、なんと自分勝手な、という感じ。

  • 書き下ろしで、天才的な4人の少年の冒険譚KZUシリーズ6冊目。

    今回は上杉和典が珍しく単独で亡くなった祖父の秘密をさぐる物語。
    父が度々祖父の実家があった長崎に行っていて、大量の血がついた服をクリーニングに出していたのに隠していることで、和也は心配し密かに手がかりを探る。
    祖母から遺品の日記で、昔、東京帝大医学部の後輩山下野枝が祖父を訪ねてきた日のことを探して確かめてほしいと頼まれたが、そのページは切り取られていた。また、父とその友人が祖父が持っていたナチスの生殖医療雑誌のコピーを調べていることもわかり、和典は山下野枝を訪ねて密かに長崎に向かう。
    そこで出会ったのは、和典が幼稚園の頃誤ってマサカリで頭を傷つけた多鶴で、山下野枝の養女となり妊娠していた。
    ここから急展開で謎が解ける。

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著者プロフィール

長野県生まれ。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光を浴びる。フランス政府観光局親善大使を務め、現在AF(フランス観光開発機構)名誉委員。パリに本部を置くフランス・ナポレオン史研究学会の日本人初会員。著書に、『皇妃エリザベート』『シャネル』『アンジェリク 緋色の旗』『ハプスブルクの宝剣』『皇帝ナポレオン』『幕末銃姫伝』『失楽園のイヴ』『密室を開ける手』など多数。

「2023年 『数学者の夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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