密室を開ける手 KZ Upper File

著者 :
  • 講談社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065165416

作品紹介・あらすじ

祖父が死んだ――疎遠だった和典は、葬儀当日も通学し参列しなかった。そんな時、母親から父親のクリーニングを取りに行ってほしいと頼まれる。面倒と感じつつも葬儀に参列しなかった引け目から、しぶしぶその役目を引き受けた和典。品物を引き取る際に、店員から依頼はなかったがシミ抜きをしておいたという伝言を受ける。そのシミは大部分にわたる血痕だった――。父親は血を浴びるようなことをしたのか、ととたんに不安になり思いを巡らせる中、母親から最近父親が頻繁に長崎に行くようになり、絶対に女がいるに違いないとヒステリックに話していたことに思い至る。本当にそうなのだろうか? そして父親が通っているという長崎は、偶然にも祖父の出身地であることに気が付いた。何かがある――そう直観した和典は、調査にのりだす。そしてだんだんと分かってきたことは、祖父が戦時中叶えられなかったある強い想いがあるということだった。

感想・レビュー・書評

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  • 祖父が死んだけど悲しめない自分を自ら貶める上杉。そんな時、父がシャツに血痕付けていたことを知り、祖父の若い頃のこと、自分が小さい時に頭に怪我をさせた同年代のタズという少女のこと、母が父の浮気を疑っていること(頻繁に長崎へ行っている)など様々な謎が絡まるのを解いていく内容です。
    KZメンバーは若武、黒木、小塚が登場。アーヤらしき人物のことは141ページで回想されます。高校で半年のドイツ留学か。その間のタラシ込み話読みたいな…。
    さてさて、この本は祖父が通ってきた第二次世界大戦中の日本と、当時の能力あふれる若者の夢や希望が潰える様が書かれます。そこで生まれた歪んだ希望を叶える能力や財力があったらなにをやってしまうのか。
    法律スレスレ…。倫理的には完全アウトかな。バレたら社会的抹殺なのでは。全体的に暗い内容でした。妊娠などの話は出てきますが、ギリギリ小学校可?かな。でもKZのキュンキュンした感じで読むとビックリしちゃうかも。

  • 発売日に即購入。
    なかなか面白かった。
    今回は上杉くん単独の話。

    やっぱりKZシリーズ大好きだなあ。
    サクサク読める。

  • 謎を追いかける過程で、主人公の精神の成長や人間関係の変化を丁寧に描写しているところが印象的だった。

  • 頭は良いけど人間関係に希薄な男子高校生が、祖父と父という人間を分かろうと謎を解いていくミステリー。
    ただ単に謎を解くだけでなく、家族や友人との人間関係、過去や未来のこと、自分自身を見つめ直すこと、自身を成長させていく思考が散りばめられて、彼の成長が微笑ましく頼もしくさえ感じられた。
    どんな結末が待っているのか知りたいと同時に、彼と父との関係がどうなるのかも知りたくて、読み進めるペースがどんどん上がっていった。
    最後はやはり、温かい気持ちになった。

  • 最初は父親の浮気疑惑から始まり、ナチの秘密文書、祖父の浮気疑惑、謎の女性の存在、子供の頃の幼馴染の女性が、その謎の女の養女となり、父親のわからぬ子を妊娠という何とも複雑で、でも、単純な構成である謎解き物語。ラストには、すべての伏線を回収する綺麗なオチが待ち受けていて、それはちよっとした感動すら覚えるのだった。とにかく、人が謎を引き寄せる。うまくはぐらかす。先に期待を向けて読ませるというミステリーの王道。途中から夢中になっていた。ただし、探偵のキャラは好きではない。

  • 高等部2年になった上杉和典
    亡くなった祖父の葬儀をきっかけに祖父と父の隠しごとに気づき、残された写真を手がかりに謎を追い始める

    幼いころの花水木の記憶をたどって神戸へ、そして長崎へと飛ぶ和典を待ち受けていたのは、戦争の時代に翻弄された人々の浪漫と闇だった

    ようやくたどりついた密室の扉の先に和典が見たものは……

    2011年に青い鳥文庫でスタートした「探偵チームKZ」シリーズ
    「妖精チームG」、「KZ Deep File」とスピンオフが続き、読者層の成長とともに誕生した最新シリーズ「KZ Upper File」の2作目

    「おまえらに関係ないだろ」
    「そんな言い方しないでよ。僕たちは、チームKZのメンバーだったのに」
    「俺に構うな。放っとけよ」
    若武が怒気を含む。小塚は悲しそうに眉根を寄せ、それを見ながら黒木が静かに唇を開いた。
    「上杉先生、天国はちゃんとあるよ」
    そう言いながら親指を立て、その先で和典の胸を突く。
    「おまえの心の中にある。死んだ人間が天国に住めるかどうかは、おまえ次第なんだ」

    KZのメンバー健在の一節が、青い鳥文庫“卒業生”をひきつける

  • 発売年度で矛盾が生じているのかもしれないけど、上杉家の話を知った黒木くんはどう思っていたのかが気になった。

  • 戦争はなくなるべきだと思いました。人間の自由、想いを奪うことがよくわかりました。

  • なかなか深くて重い話でした。戦争って本当に傷しか残さないなと思います。一生涯、死ぬまで癒せない傷です。

  • 青い鳥文庫のKZシリーズのチームが、高校生になった時の出来事が書かれています。六年生で習う、第二次世界大戦ともつながっていて、主人公がどう成長していくのか楽しみになりました。

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著者プロフィール

長野県生まれ。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光をあびる。フランス政府観光局親善大使。著作に、『新・三銃士』『皇妃エリザベート』『シャネル』『アンジェリク緋色の旗』『ハプスブルクの宝剣』『王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて』『幕末銃姫伝』『i維新銃姫伝』など多数。青い鳥文庫ではKZのほかに「妖精チームG(ジェニ)」シリーズ、『マリー・アントワネット物語』『三銃士』も手がけている。

「2019年 『探偵チームKZ事件ノート 特装版 校門の白魔女は知っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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