スワロウテイルの消失点 法医昆虫学捜査官

著者 :
  • 講談社
4.09
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本棚登録 : 329
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065165430

作品紹介・あらすじ

東京・杉並区で男性の腐乱死体が見つかり、法医昆虫学者の赤堀と岩楯刑事が司法解剖に立ち会うことになった。岩楯の相棒となる深水巡査部長、高井戸署署長、鑑識課長らも同席するなかで、大柄で肥満した遺体にメスが入れられていった。と、そのとき、立会人たちが発疹や出血、痒みに襲われ、感染症の疑いでパニックが起きる。岩楯らは隔離されるが、赤堀には心当たりがあった。赤堀は騒ぎの原因を解説し、殺人と推定された被害者の死亡推定月日に迫ろうとする!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ7作目!
    普通ちょっとは飽きるんじゃないかと思うけど今作が一番面白い事に驚き(o_o)
    ウジからのハエはもうあたり前ですが、今回解剖中に突然立ち会った者全員に謎の発疹が現れて中断。
    その場で隔離され所長・管理官、もちろん岩楯・赤堀ら想像を絶する痒みと謎の病原菌かとパニック笑

    死体から目に見えない「小黒蚊」が発生。
    台湾や中国に生息する目に見えない程小さな昆虫でした。
    殺害された部屋にいた小黒蚊とカバキコマチグモ…
    そして謎を解く鍵は「ツバメ」_φ(・_・

    初登場の相棒はギャル好きのチャラい「深水」がいい味を出し、ツバメ少年と赤堀が岩楯を救う‼︎

    とりあえず発売されたシリーズは読み終わっちゃいました。゚(゚´Д`゚)゚。
    待ち遠しくてもうムシロスになりそう…


    • ゆーき本さん
      やっと2作目読んでます´▽`)ノ
      うー!早くギャル好きの深水に会いたいー!笑
      やっと2作目読んでます´▽`)ノ
      うー!早くギャル好きの深水に会いたいー!笑
      2023/05/19
    • ゆーき本さん
      岩楯ロスでも 赤堀ロスでもなく
      ムシロス笑!!
      岩楯ロスでも 赤堀ロスでもなく
      ムシロス笑!!
      2023/05/19
    • みんみんさん
      このシリーズは進むほど面白くなってきます笑
      10分でハエね!知ってますけど?
      そして未知なるムシ来た〜\(//∇//)ワクワク
      このシリーズは進むほど面白くなってきます笑
      10分でハエね!知ってますけど?
      そして未知なるムシ来た〜\(//∇//)ワクワク
      2023/05/19
  • いきなり蛆虫だらけの腐乱した死体の解剖の場面から始まる。この死体は独居老人の飯山で絞殺されていたのだ。実は宝くじで1億円を当てていて、岩楯刑事と新しく登場した個性的な深水刑事はその線で捜査を進めていく。一方、赤堀と同僚の波多野、途中から加わった不登校の少年夏樹たちは、死体と住居から見つかった特異な蚊と蜘蛛の調査から犯人に迫っていく。捜査の過程の詳細がなかなか惹きつけられる。人物たちのやり取りや独自のひらめきなどが面白いのだ。最後の犯人との対決も緊迫している。夏樹少年が新たな生きる力を得ていくところもいい。このシリーズは抜群に面白い。

  • 独居老人の腐乱死体の解剖から始まる今作ではついに赤堀先生も立ち合いに!警察組織に着々と礎を築いているなぁ。解剖の最中に立ち合い人達が謎のかゆみに襲われる。原因は日本には生息していないはずの小黒蚊。他にも違和感を覚える蜘蛛がいるし強盗殺人だと思われるのに現場にも違和感が。今回は岩楯刑事と赤堀先生がタッグを組むというより別アプローチから真相に迫るという傾向が強め。のせいか岩楯の相棒の仕事は出来るが人を舐めた感じの癖の強い深水や途中から登場する夏樹少年、前回から登場の波多野さんのエピソードが色々絡んできて面白い。あと現場の違和感のさりげなさがいい。あー確かに、と一人アハ体験。それにしても数ヶ月続く薬の効かないかゆみって・・・。それ以外にも岩楯刑事ご愁傷様です。

  • 今回は1ページ目から息を止めたくなる被害者の姿と大量のウジの描写…。そして、解剖室にいる全員に突然あらわれた謎の痒み。目に見えぬ何かが岩楯たちに襲いかかる。そう、それは小黒蚊!シャオヘイウェン!最後まで読めなかった小黒蚊!シャオヘイウェン!日本にいるハズのないシャオヘイウェンが被害者の体内から大量発生!この蚊が今回の事件の鍵。もう1つの鍵を握るのは、イジメで不登校になったツバメオタクの少年?!こころに傷を持った少年と赤堀がタッグを組んで犯人を追い詰める。

    えぇぇ、これでシリーズ最後なの…。

    前作で設立された捜査分析支援センターのメンバーと赤堀ちゃんの連携もとれてきて、それぞれのキャラもいい味でてきたのに。

    今回の岩楯の相棒の深水なんて、
    チャラくて女にだらしなくて童顔で上司を舐めてて、でも仕事は出来て、もう最高なのにー。

    しかも、やっと!やっと!岩楯が自分の気持ち♡に気づいたのにーーー。

    事件の内容、それはもう端に置いて読んでもいいんではないかと個人的には思ってます笑。


    「法医昆虫学ヤバくないっすか?虫と状況証拠さえあの人に渡せば、正確な死亡推定を出したうえに、なんやかんなホシまでの道筋をつけてくれるんですよ?」
    深水くん、そうなんだよ。それ故に 赤堀ちゃんはいつも危険に1番近い場所にたどり着いてしまうんだよ。

    あぁぁ、ほんとにこれでシリーズ最後なの?


    • みんみんさん
      深水がツボったのね(●︎´艸`)ムフフ
      深水がツボったのね(●︎´艸`)ムフフ
      2023/08/16
    • ゆーき本さん
      ワニさんもすきだけどね(‘v’*)♡
      生意気な童顔、、、( *¯ ¯*)ムフフ
      ワニさんもすきだけどね(‘v’*)♡
      生意気な童顔、、、( *¯ ¯*)ムフフ
      2023/08/16
    • 1Q84O1さん
      書く書く詐欺にならないことを願っておきましょう!w
      書く書く詐欺にならないことを願っておきましょう!w
      2023/08/16
  • シリーズ7作目。
    文句なしの星五つです。
    今回も笑えて、そして泣けた。
    今出版されている作品はここまでなので、
    しばらく読むことが出来ないと思うとさみしい。

    新しい相棒とツバメを愛する少年、
    そしてメノウのループタイを付けた技術開発部の
    エキスパート。
    どの人物にも深みがあり、読み進むごとに親しみを感じていった。

    虫や鳥の驚くべき生態から
    子どもから老人に至る人間たちの悲哀まで、
    いろいろ考えさせられるエピソードが多かった。

    あー、虫ロスになりそう〜。

  • <法医昆虫学捜査官>シリーズ第7作。
    7作目ともなるとネタ切れかと思うのだが、今回も面白かった。

    『小黒蚊(シャオヘイウェン)』という台湾・中国にしか存在しないはずの吸血虫が遺体で繁殖し、岩楯や赤堀ら、遺体解剖に立ち会った関係者らが刺されて大騒ぎになることから物語は始まる。
    さらにクチグロなるイネ科の植物を巣にする極小の蜘蛛が被害者宅から発見されるのだが、どちらも周囲に繁殖出来る環境がない。
    これらの虫はどこからやってきたのか、それがどう犯人へ、さらには事件の真相へと導くのか。

    この虫の経路が非常に興味深かった。これはネタバレになってしまうので書けないのが残念だが、こういうルートは予想は出来るものの、私が想像していた単純なものとは違っていた。
    人間以外の生物に知性が無いなんてとんでもない。彼らは生きるために必死に脳をフル回転させ日々進化している。

    また今回初登場の岩楯のバディ、深水という機動捜査隊員が面白い存在だ。
    小柄で31歳という若さながら機捜だけに『むごたらしい現場を目の当たりにしているのは岩楯の比では』なく、少々のことには動じない男ではあるのだが、プライベートでは女性関係にだらしなく、失礼なことも思ったことは口にしてしまう考えが浅いようでいて、心に鬱屈も抱えている。
    岩楯は深水の言動にハラハラしつつもどうにも憎めず放おっておけない。
    また昆虫学者の赤堀とも反発しつつも段々とその実力、実効性に一目置き始めている。

    また捜査分析支援センターの羽多野氏も赤堀の臨時助手として良いコンビネーションを見せてくれている。赤堀の良いところを引き出し、弱い部分を補ってくれる頼れる存在だ。
    さらに捜査中に出会った少年・夏樹も加わり、昆虫班は強力な体制になっている。

    岩楯・深水の警察官としての捜査、赤堀らの昆虫の動きを追う調査、両面から犯人・事件の真相に迫るという展開はこれまで通りだが、読み進めるに連れてこれまでのシリーズ作品の中でも最も凶暴そうな犯人像が浮かび上がってきて結末に不安を抱く。

    今回の作品全体を通して感じたのは「孤独」だ。
    少年夏樹は「孤独」の辛さから『徹底的に逃げる』ことを選んだ。深水は過去の「孤独」を抱えつつも力を蓄えようとしている。被害者、そして犯人の「孤独」の形は…。

    このシリーズは時折余計なロマンスが顔を出すときがあるのだが、今回はそれがなくてホッとした。
    岩楯と赤堀の関係はこうでなくては。そして新たなメンバーが加わった昆虫班が今後どのように発展していくのか、その進化を見ていきたい。

    『いつのときも、そこに虫がいるのには意味があったのだから』
    人間は嘘をついたり取り繕ったりするが、虫は嘘を吐かない。

  •  死体の損壊や損傷が激しく、通常の検屍では正確な情報収集ができないケースにおいて、死体についた虫を解析することで情報を割り出していく法医昆虫学。
     昔気質の警察官からはまだ胡乱な目で見られながらも捜査に奔走する法医昆虫学者・赤堀涼子の活躍を描くサスペンスミステリー。
     物語は主人公の涼子と相棒の岩楯祐也警部補の2人の視点で描かれる。シリーズ7作目。
              ◇
     杉並区下井草の一軒家で発見された老人男性の死体。盛夏のことで腐乱が速く、死因の特定も困難な状態で司法解剖に回された。

     強烈な腐臭が立ちこめる解剖室。懸命に吐き気をこらえる刑事たちをよそに、嬉々として死体から湧き出るウジを採取する涼子。
     そんな涼子を呆れて眺めていた岩楯たちに異変が起こった。身体中を猛烈な痒みが襲い、発疹や出血という症状まで出てきたのだ。

     何かのウイルスへの感染を疑いパニックに陥る室内で、捕虫網を振り回していた涼子が捕獲したのは、小黒蚊と呼ばれる、日本にはいないはずの毒性の強い羽虫だった。

     巨体の独居老人が襲われた理由。日本に生息していないはずの吸血虫が大量発生した理由。事件現場付近で相次いでカラスの惨殺死体が晒された理由。
     バラバラに見えたそれらの事案が1本に繋がったとき……。全5章。

         * * * * *

     シリーズの魅力の1つに、法医昆虫学の深淵を見せてくれる展開があるのは確か。でもそれ以上に登場人物の魅力が大きいことがわかる作品だった。

     涼子や岩楯は当然だが、毎回変わる岩楯の相棒役がいい。今回の相棒は減らず口男、深水。人を小馬鹿にしたような態度は印象最悪だが、岩楯は叱りこそすれ、怒りをぶつけたりはしない。これは涼子も同様で、2人とも深水の為人を見抜いていたことがわかる。

     そして今回、涼子の相棒を務めたのが鑑定技術開発のエキスパート、波多野。まるで殿を支えるじいの如く、絶妙の補佐役だった。
     また登場シーンこそなかったものの、広澤春美のプロファイルも正鵠を得ており、捜査分析支援センターが見事に機能していることがわかる描写もファンとしてはうれしかった。

     渡り鳥のツバメが謎を解くカギとなった構成も斬新で、不登校の少年に活躍の場面を用意した展開にも感動しかなく、読後の満足感が格別な作品だった。

          * * * * *

     もう7作目になるのに相変わらずの読みごたえ。これだけのストーリーを構築するのは並み大抵の労力でないのはわかりますが、涼子なり岩楯なりが毎回、生命の危険に晒されるのは、(心臓に悪いので)できれば勘弁して欲しいとも思いました。

  • 法医学昆虫学捜査官シリーズ、7作目。

    今作も大満足の面白さでした。前作から捜査支援センターに配属された赤堀ですが、赤堀&捜査支援センターと警察の連携具合が今作は殊の外スムーズでストレスなく読み進められます。あらすじ紹介にある、すわパンデミックか?と思わせる冒頭がいい具合にこの連携を可能にさせているのが良きですね~。捜査の参加に貪欲で、抜け目のない赤堀がサイコ―です。
    今回の相棒の深水くんもいい感じ。最初の印象はあまり良くなかったけど、途中からどんどん魅力的になっていって、最後は再登場を切望しちゃうキャラに。毎回、作者さんのキャラ作りには感嘆する。どの人物も、これでもかと変人で愛すべきキャラなんですけど!
    赤堀と岩楯の距離感も限りなく近づいているようで、でもまだくっつかない、というギリギリのラインで、今回も上手く転がされてます。このシリーズ、大好きです。

  • 本作で、一連の赤堀涼子准教授が活躍する「法医昆虫学捜査官」シリーズを読み終えた。どの作品も、当然のことながら、赤堀先生がそこにいる虫たちの声に耳を澄ませ、法医昆虫学者ならではの視点で一般人には予想もつかないような仮説を積み上げて事件を解決に導く一連のプロセスは斬新であり、楽しかった。本作『スワロウテイルの消失点』も、やはり意外性に満ちた物語となっている。

    意外といえば、前作『紅のアンデッド』もそうであったが、物語の舞台がこれまでは都心から遠く離れた島や山村、時には海辺が部隊だったのに対し、この物語は都心の街中で発生している。街から遠く離れた場所のほうが、さまざまな虫たちが活躍できるがゆえの選択かと思っていたが、何せ人間よりもはるかに多く存在する虫たちには、街も山村も、離島も関係なかった。本作では、本来台湾あたりにしか生息しない虫が街の特定の場所で繁殖していることが決め手の一つとなったが、なぜそんな虫が発生したのかという由来を含め、法医昆虫学的な分析が切れ味鋭く本質に迫る。

    その姿かたちは変われども、虫たちは本来我々人間よりもはるか太古から地球上に存在するのだろう。彼らは種ごとに本能にしたがって行動し、ゆえに行動パターンを分析する法医昆虫学なる学問、ないしは捜査方法が成立する。生息場所(地域)も、その条件も、すべてが自然のなすがままに生きてきた彼らの生態系が崩れ、本能的行動しかとらない彼らが通常とは異なる行動パターンを見せたとき、それは必ず人間が関与しているという前提に立っている。実際、人間以外の生物が意図的に生態系を破壊するような行動はとらないだろう。なぜなら、それは早晩自分自身の種をも苦しめることを「本能的」に知っているからだ。破滅を望むカタストロフ的本能を備えているのは、地球上にいる数多の生物のうち、人間だけではあるまいか。

    本作では、序盤からある少年が物語に登場する。何となく、「今とき」の少年の典型的類型を描き出しているような気がする。それ以外に、他のシリーズとの相違点といえば、最後に生命の危険にさらされるのは、いつも先走って危ないところに片足を突っ込んでしまう赤堀涼子ではないことだ。その結果、一連のシリーズの締めくくり方としては、大変情緒あふれる物語になっている。

    唯一難を挙げるならば、序盤から犯人像の目星はつくものの、姿の見えない透明人間を謳歌のような展開である。詳しくは読んでもらいたいと思うが、こうした展開がミステリーという文脈で見たときにフェアなのかどうなのか? 読了後、そうした点からも評価してほしいと思える物語である。

  • 2019年7月講談社刊。書下ろし。シリーズ8作目。今回は、赤堀先生と一緒に行動する鑑識、中学生そして二人の警察官のかけあいが、面白くて、楽しい。

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著者プロフィール

1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’11年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー。’21年に『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』(本書)で第4回細谷正充賞を受賞し、’22年に同作が第75回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門の候補となった。また’23年に同シリーズの『クローゼットファイル』所収の「美しさの定義」が第76回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。ロングセラーで大人気の「法医昆虫学捜査官」シリーズには、『147ヘルツの警鐘』(文庫化にあたり『法医昆虫学捜査官』に改題)から最新の『スワロウテイルの消失点』までの7作がある。ほかに『女學生奇譚』『賞金稼ぎスリーサム! 二重拘束のアリア』『うらんぼんの夜』『四日間家族』など。

「2023年 『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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