我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065167786

作品紹介・あらすじ

生命とは何か。この根源的な問いに迫るために、いま、わからないなら自分でつくってしまおうというアプローチが有力視されている。いわば、時計がなぜ動くかを知るにはとにかくつくって、そこからしくみを考えよう、という発想だ。「合成生物学」と呼ばれるこの新しい考え方が、いま先端をゆく生命科学者の間で大きなトレンドとなっている。
本書は、合成生物学に取り組む研究者たちを横断的に取材して歩き、それぞれの生命観に迫ることで「生命とは何か」を輻輳的に考える試みであり、科学に造詣が深く、SFからノンフィクションまで縦横無尽に手掛ける著者ならではの意欲的企画である。
人工生命を供養する墓を建てたり、クックパッドに生命のレシピを投稿したり、「つくったときやばいと感じたら生命」と嘯いたり、微生物のゾンビやフランケンシュタインをつくったりと、各人各様の生命観、そして彼らの中の神や哲学らしきものとが織りなす、いま最もスリリングな生命探求。ブルーバックスウェブサイトで1年余り連載した「生命1.0への道」の書籍化!

感想・レビュー・書評

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  • 生命誕生に関する研究について、主に日本人研究者が進めているものを中心に紹介したものである。この手の本で、日本人研究者に対して集中的に直接話を聞いて取り上げてまとめるのは珍しい。グローバル標準の研究レベルが見えづらくなっているという欠点もあるように思えたが、面白い試みではある。

    そもそも「生命」とは何かを定義するのは意外と難しい。ちなみにNASAでは「生命」を「自律的で進化する能力を持つ複製システム」と定義しているらしい(『協力と裏切りの生命進化史』(市橋伯一著)より)。地球の「生命」はすべてDNA/RNAを持ち、そのシステムの中で特定のアミノ酸を使って作られているが、それを定義とするのは自己(地球)中心主義的にすぎる。本書では、自他を区別する「境界」と「代謝」と「自己複製」さらに「進化」を生命の必要条件として挙げている。

    生命の誕生のストーリーについては、ニック・レーンの『生命の跳躍』や『生命、エネルギー、進化』の中で丁寧に解説されているように、海底の熱水噴出孔付近で誕生したとされる説が最有力であると思っていたのだが、さすがに大昔のことだけあって、まだ色々な異論があるようだ。著者も熱水噴出孔が業界の主流の考え方だと断った上で、その説に傾く横浜国立大学の小林教授と一方で陸上の温泉地帯を推す東京薬科大学の山岸教授をそれぞれ紹介する。ちなみに山岸教授はアミノ酸は宇宙起源であるという立場を取っているいう。また、中沢弘基『生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像』でもアミノ酸が隕石の衝突によって得られたという説を採り、海底の地下で生命が発生したと考えている。『生命はなぜ誕生したのか』のピーター・ウォードは必要なアミノ酸は火星から来たという説が有力だとしている。要するに、基本的なところは意識が合っているというように言いながらも、細かい点においてはかなり幅がある状況だ。

    そういった地球上の生命の誕生について過去に起きたことを究明しようとするものとは別に、生命のようなものを実際に人工的に作ってしまおうとする研究がある。そう言った研究の中で、例えばベシクルと呼ばれる人工細胞膜を作る研究が行われている。この代表が海洋研究開発機構の車さんという研究者である。作ったベシクルに代謝のもとであるATPを移植したり、それが自己複製できるようにしたりといったことが試みられている。

    そういえば、大学の同期で入学時に一緒のクラスになった友達が、当時生命を人工的に創りたいと言って、理学部の化学科に進んだのを思い出した。生命の起源は、それだけ魅力的なのだ。本書では取り上げられたのが、日本人研究者に限定されているが、世界で何が起きているのかはとても知りたくなった。


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    『生命、エネルギー、進化』(ニック・レーン)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4622085348
    『生命の跳躍――進化の10大発明』(ニック・レーン)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/462207575X
    『協力と裏切りの生命進化史』(市橋伯一)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/433404400X
    『生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像』(中沢弘基)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4062882620
    『生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学』(ピーター・ウォード)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4309253407

  • 文字通り、合成生物学が生命を生み出せるのかを説明した一冊。

    難しかったが、勉強になった。

  • 勝手にDNA編集関連本と思っていたが、ちょっと違っていて、生命の起源と合成生物学の本だった。
    途中、物質名がたくさんでてきて頭がついていけないところはあるが、比喩や図解のおかげでわかった気にはなった。半生命とか生命0.5とかの概念が新鮮だった。

  • 第二章「生命の起源を探す」が興味深かった。ダーウィンは「小さな暖かい池」で一連の化学反応が起きた結果、生命が生まれたのかもしれない、と述べていた。このように起源が陸上なのか、これと異なる説は海中の暖かい場所と主張。海底熱水噴出孔では、300℃を超える熱水が出るらしい。一方、生命の起源となる材料の由来は宇宙から、というのは大勢を占めている。

    この後は、実際に生命の起源や、生命を組成する物質を創る研究が紹介されている。生命であるためには、細胞の自己複製、性質を継承する履歴を伴うこと。

    著者は、昔読んだ小説「鯨の王」を書いた方。

  • わたし自身が哲学的なものを求めすぎてしまったのか、大半の内容が難しすぎました。
    ブルーバックスということで、やっぱり仕組みの話が楽しい人向けかなと。

  • 理系の知識がない俺には難しかった。
    だからと言って、低評価にはしない。だって楽しめていないものを評価できないから。

    それでも、生まれるっていつからなのかという件と、死の捉え方の部分は面白かった!!

  • 無生物のなかで、どのように生物が生まれたのか生命とは何なのか このなぞに挑戦するとりくみ 

  • 本書の起源
    第1章 「起源」の不思議
    第2章 「生命の起源」を探す
    第3章 「生命の起源」をつくる
    第4章 「生命の終わり」をつくる
    第5章 「第二の生命」をつくる
    本書の未来

    著者:藤崎慎吾(1962-、東京都、小説家)

  • 期待したほどは面白いと感じなかった、残念。

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著者プロフィール

ふじさき・しんご 1962年、東京都生まれ。米メリーランド大学海洋・河口部環境科学専攻修士課程修了。科学雑誌『ニュートン』編集室に約10年間在籍。英科学誌『ニューサイエンティスト』に寄稿していたこともある。1999年に『クリスタルサイレンス』(朝日ソノラマ)で作家デビュー。早川書房「ベストSF1999」国内篇1位となる。現在はフリーランス。ノンフィクション作品には生命の起源に関連した『辺境生物探訪記』(共著・光文社新書)のほか『深海のパイロット』(同前)、『日本列島は沈没するか?』(共著・早川書房)がある。小説には『ハイドゥナン』(早川書房)、『鯨の王』(文藝春秋)など多数。



「2019年 『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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