- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065168165
作品紹介・あらすじ
生まれ変わっても、本に埋もれていたい。
女王の図書館は、天体をめぐりめぐってあなたのもとへ。
《この彗星図書館には、皆川博子館長が蒐集してきた名作・稀覯本が収められている。知らない、読んだことがない、見つからない――。
そんなことはどうでもよろしい。読みたければ、世界をくまなく歩き、発見されたし。運良く手に入れられたら、未知の歓びを得られるだろう。(彗星図書館・司書)》
小説の女王・皆川博子が耽溺した、永遠に残したい本の数々。
『辺境図書館』に続く、完全保存版ブックガイド。(短編も一本収蔵)
感想・レビュー・書評
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恥ずかしながら著者が紹介している本をほとんど読んでいない。けれども内容は興味深かった。書評にとどまらず、著者の人生論、物語論がおもしろく、諸事情に対する自由闊達な意見が心地よい。戦争経験者としての、戦争反対を貫く姿勢は説得力がある。次はこの「彗星図書館」の蔵書を読もう。
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『辺境図書館』に続く、皆川博子館長による読書案内の第二弾。未読の本はもちろん既に読んだものでも、皆川氏の引き出しから取り出された数々の記憶とあわせて語られる物語は実に魅惑的。国も時代も異なる『黄色い雨』(J・リャマサーレス)と『不穏の書』(F・ペソアに響き合うものを感じる、という指摘に改めて読み返したくなる。たおやかな語り口の中にある鋭い切れ味、時おり飛び出す茶目っ気も素敵で、ソローキンの『テルリア』を「くそ面白い本」と紹介しているのを読んだ時には何やら嬉しくて声が出てしまった。造本と装丁に前回同様ほれぼれする。(初出2017~2019)
<メモ>大濱普美子『十四番線上のハレルヤ』(国書刊行会) -
『辺境図書館』の続編。今回も読みたい本満載すぎて、このあとどこから手をつけていいかわからない(笑)辺境~はのっけからドノソで始まったけど、今回はバロ!レメディオス・バロはずいぶん昔に(調べたら1999年だった…)伊勢丹美術館でバロ展を見て以来大好きで、かなりの断捨離をしたこの1年でもバロの図録はどうしても手放せませんでした。だって画集とか日本で出てないんですよ。画集ではなくこの『夢魔のレシピ』が出ていることは知ってたのだけど、欲しいのは画集!と思って読んでいませんでしたが、改めてやっぱり読んでみたくなりました。
あと今回これは是非とも読まねばと思ったのはなんといってもソローキン!『青い脂』だけでもお腹いっぱいだったけど、なんかまだまだすごいもの書いてそう。
『デルフィーヌの友情』という本、読んでないはずなのになぜかあらすじを知っていて「???」となったのだけど、あれでした、映画化されたのを見ていたのでした。ロマン・ポランスキーの『告白小説、その結末』(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B07HQWDYPD)
つい最近のことでも私はこうして忘れがちなのでブクログはほんと備忘録なんですけど、皆川さんの記憶力の良さには脱帽。矢川澄子の章で『唐版 風の又三郎』の歌の歌詞が矢川さんの作詞だとあったのは知らなかったので驚きました。
文中皆川さんが忘れてしまったと書かれていた部分は「ふる里すてて巷に住めば あの子も恋し この子も恋し あの子の胸に この子の胸に~」でした(戯曲引っ張り出して調べた)「一かけ二かけ三かけて 四かけて五かけて色仕掛け 駆け落ちしかけてちょい待った はるか向うを眺むれば 十七八のねえさんが 髪ふり乱して駆けてくる」
本についてとは別に、「ねえや」が現代では差別語になっていることなどに憤られているのは共感。最近自分も、ふつうに使っている言葉がパソコンで変換できず、なにかと思えばどうやら差別語指定だとわかりビックリしたことが何度かあり。皆川さんも憤られているように、そんな言葉狩りで差別自体がなくなるわけでもないし、差別のあった過去自体を隠蔽できるわけもない。その時代の空気を伝えるためには、その言葉がやはり必要な場合がある。文部省のとんちきさについてもお怒りになられており、日本語教育のありかたを問われています。
※収録(★既読)
026『夢魔のレシピ』とレメディオス・バロ
027『深い穴に落ちてしまった』とイバン・レピラ
028『黄色い雨』とフリオ・リャマサーレス★
029『死神とのインタビュー』とハンス・エーリヒ・ノサック★
030『もうひとつの街』とミハル・アイヴァス
031『約束』とイジー・クラトフヴィル
032「マテオ・ファルコーネ」とプロスペル・メリメ 『ファービアン』とエーリヒ・ケストナー
033『安徳天皇漂海記』と宇月原晴明
034『傭兵隊長』『美術愛好家の陳列室』とジョルジュ・ペレック
035「故障」とフリードリヒ・デュレンマット★
036『柾它希家の人々』と根本茂男
037『詞華美術館』と塚本邦雄
038『テルリア』とウラジミール・ソローキン
039「足摺岬」と田宮虎彦
040『The ARRIVAL』とショーン・タン 『2084 世界の終わり』とブアレム・サンサル
041『十四番線上のハレルヤ』と大濱普美子
042『デルフィーヌの友情』とデルフィーヌ・ド・ヴィガン
043「真田風雲録」と福田善之 「スターバト・マーテル」と桐山襲
044「群盲」「モンナ・ヴァンナ」とモーリス・メーテルリンク
045『ある受難の終り』とマリ=クレール・ブレ
046『鮫』と真継伸彦
047『伝説の編集者 坂本一亀とその時代』と田邊園子
048『架空の庭』『いづくへか』と矢川澄子
049『トラークル全集』とゲオルク・トラークル
050『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション』と東雅夫
111「新宿薔薇戦争 清水邦夫『ぼくらが非情の大河をくだる時――新宿薔薇戦争――』を再読しつつ」皆川博子 -
26の単元から構成された書評集だと思って読み始めたが、異色の内容で驚いた.それにしても著者は多くの本を読んで、その内容をかなり覚えている.凄いことだ.取り上げられている本は読んだことがあるものは全くなかったが、書評に入る前段階での呟きが面白くて、あれ? 何の書評だったかなと振り返ること頻り.最後の部分で自分のこれまでの経歴を振り返っているが、ある意味 波瀾万丈の生き方だろう.尊敬する!
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皆川さんの著作を初めて読んだのが、約二年前の前作『辺境図書館』。それから随分と追いかけてきたつもりだけど、まだまだ未読があるのは、幸せなんだろう。
そして今回、著者が薦める幾つもの本も未読リストに加えられた。さぁ何作読めるかなぁ。
それにしても、ところどころに記された砕けた文体にすごく驚いた。 -
辺境、彗星
なんて素敵な言葉が図書館につけられているんだろう。蔵書全部片っ端から読みたい。
本に埋れたい。 -
2019/10/6(日曜日)
著者プロフィール
皆川博子の作品






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