• Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065169209

作品紹介・あらすじ

綿柎開(わたのはなしべひらく)、水始涸(みずはじめてかるる)、朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)――。
季節を表す言葉を鍵に、物語は膨らんでゆく。
十二人の作家の想像力で、旧暦「二十四節気七十二候」が現代の物語に生まれ変わった。

六世紀ごろに大陸から伝わり、改暦を重ねながら明治の初めまで用いられてきた旧暦。そこには春夏秋冬の四季に留まらない、さらにこまやかな季節が織り込まれている。
大暑や立秋、大寒といった季節の節目を表す二十四節気と、「地始凍」「熊蟄穴」など、動植物や空模様がそのまま季節の呼び名に採り入れられている七十二候。
古来伝わる“季節の名前”が現代の作家たちを刺激し、味わい豊かな掌篇に結晶した。
<旧暦の魅力を知る解説つき>

西村賢太「乃東枯」
重松清「鷹乃学習」
町田康「大雨時行」
筒井康隆「蒙霧升降」
長野まゆみ「綿柎開」
柴崎友香「玄鳥去」
山下澄人「水始涸」
川上弘美「蟋蟀在戸」
藤野千夜「霎時施」
松浦寿輝「地始凍」
柳 美里「朔風払葉」
堀江敏幸「熊蟄穴」
白井明大「輪のようにめぐる季節のさなかで 二十四節気七十二候について」

感想・レビュー・書評

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  • ショートパンツを穿いてサンダル履き、シャーツの前をはだけて、腹を丸出しにして、裾を風にはためかせている奴の姿を見ると、破滅の予感が沸いてくる。Tシャーツに印刷された絵や文字は、どうにも珍妙で道理に反している。自分の内在している思想や感情を表現しているように見えてしまうことが卑怯すぎる。見えてしまうことによって、人は破滅に向かう。Tシャーツ1枚で偉そうに思想を語った気になる。自分の弱いモチーフを服によって増幅させる。これは刺青をちらつかせて人を威圧するのと変わらない。相応の覚悟もないまま雰囲気だけまとって、さも中身があるかのように取り繕う人間には破滅の道があるだけ。破滅が恐ろしくてTシャーツが着られない。
    直木賞、芥川賞など、超一流の作家たちが季節をモチーフにそれぞれが時節の表情を独特のタッチで描ききる。

  • 短編小説。
    中には情景がぼんやりしたまま終幕になったものもあるが、大半は程よく心地良い作品。
    日本には暦のほかにこんなにも豊かな四季の表現があると温かさも得た。

  • 春夏篇に続いての、秋冬篇 12作
    季節の移ろい、グラデーションの濃淡、この先激変することが恐ろしい。

  • 目当ては町田康
    よかったと思うのは
    勿論町田康、筒井康隆、川上弘美、藤野千夜。
    外れない人選がよかったから春夏も買って読む!

  • 12名の著名な作家の短編が72候の解説と一緒に読める、ある意味で贅沢な本だ.重松清の鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)は父親としての最後の旅行で息子の翔太を見つめる親心がうまく描写されている.筒井康隆の蒙霧升降(ふかききりまとう)は戦後の風物詩を散りばめた彼独特の文章でしっかり意見を述べているのが良い.堀江敏幸の熊蟄穴(くまあなにこもる)は菱山の取材活動のなかで村の古老たちとの奇妙な会話が面白かった.

  • 物語ではなく、読書そのものと、日本の繊細な四季の移ろいを味わう一冊。初めて読む作家さんもいて楽しかった。

  • 川上弘美さん目当てですが案外西村賢太さんの話すき。

  • 町田康の乳首ドリルww 笑いつつも読み終わると背筋が寒くなるような緊張感ある作品だった。山下澄人の何度もひかれる話、藤野千夜の鶴見の話(実話?)も面白かった。長野まゆみはゲイが姉に好きな人を取られたってこと?不思議な話だった。七十二候で小説を書く意義はよく分からないが、作品集としては楽しめた。

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著者プロフィール

1967(昭和42)年7月12日、東京都江戸川区生まれ。中卒。新潮文庫、及び角川文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』、角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』、講談社文芸文庫版『狼の吐息/愛憎一念 藤澤清造 負の小説集』を編集、校訂、解題。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『暗渠の宿』『二度はゆけぬ町の地図』『瘡瘢旅行』『小銭をかぞえる』『随筆集 一私小説書きの弁』『人もいない春』『苦役列車』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『一私小説書きの日乗』(既刊六冊)『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集 一私小説書きの独語』『*(やまいだれ)の歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『藤澤清造追影』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『羅針盤は壊れても』などがある。

「2019年 『瓦礫の死角』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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