- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065170021
作品紹介・あらすじ
「なにせクソ・オブ・ザ・クソだからな。まずジャンルが悪い。今どきファンタジー小説なんてあり得ないだろ」
2006年、春。小学六年の嶋田チカは、昨年トラックにはねられて死んだ兄・タカシの分まで夕飯を用意する母のフミエにうんざりしていた。たいていのことは我慢できたチカだが、最近始まった母の趣味には心底困っている。
フミエはPCをたどたどしく操作し、タカシの遺したプロットを元に小説を書いていた。タカシが異世界に転生し、現世での知識を武器に魔王に立ち向かうファンタジー小説だ。
執筆をやめさせたいチカは、兄をはねた元運転手の片山に相談する。しかし片山はフミエの小説に魅了され、チカにある提案をする――。
どことなく空虚な時代、しかし、熱い時代。混沌極めるネットの海に、愛が、罪が、想いが寄り集まって、“異世界”が産声を上げる。
感想・レビュー・書評
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>皆さんは、ご存じでしょうか?実は、昨今流行の異世界転生ものライトノベルのうち多くは、わが子を交通事故などで失った母親の手で書かれているということを……。
出オチかと思ったらめちゃくちゃ読み込ませる本だった。
トラックにはねられて死んだニートの息子が、異世界に転生したと信じた母が綴る、異世界の冒険。その母フミエと、妹チカと、トラックの運転手片山のお話。
転生トラックなどという言葉が出て来る前の西暦2006年が舞台。
幕間に何度か出て来るあまりにも拙いフミエの小説は、劇中で評されるような「生命を持ったキャラクター」描写がされているようにはとても思えないので、そこだけもうちょっとなんとかなったらなあというのが残念ポイント。
聡い小学生チカが賢いムーブするのはいいんだけど、大人の事情を背負わされすぎていて不憫で仕方がない。
ハッピーエンド風に終わるのはいいけど、大人たちは許されないと強く思う。
続刊2007のあとがきによれば、この話は「理想の著者」を書いたものだそうです。
つまり、一冊の本にその人のすべてが込められているような、そんな本の著者。なるほど。確かにそれは理想の著者だ。
他に挙げられているテーマの「家族のあり方」はどうかな…。兄を亡くし父が逃げた過程で壊れた母を支える小学生の妹、それが家族のあり方を伝えるための家族像かと言われると、どうなの。嫌だ。
いや面白かったよ。一気に読んじゃったよ。面白かったからこそ、気になる点が気になってしまっただけです。
「魔法少女禁止法」も面白かったし、逆サイドを行こうとする作家性好き。
>母です。お元気ですか。
>あなたが異世界に行ってから、もうずいぶん経ちました。
>そちらは住みよい世界ですか?
>今も冒険の旅の途中ですか?
>それとも、もう魔王を倒して、楽しくみんなで暮らしていますか?やはりハーレムを作っているのでしょうか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
異世界転生のテンプレはどう出来上がったか。目のつけどころがいいが、感情移入できる登場人物がいなかった。
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メッチャ泣いた
心が弱っているのを感じる
著者プロフィール
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