著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065170212

作品紹介・あらすじ

人と人はつながっている。
たとえ、どこの誰だか知らなくても。
2019年本屋大賞第2位『ひと』の俊英、会心作!

「親御さんと、こう、親しすぎるんじゃないかと」
室屋忠仁、38歳。少年サッカークラブでコーチのボランティアをしていたが。

「こんなふうになるからもう無理だってこと」
春日真波、28歳。デート中、鈍い彼氏にきつくあたってしまったら。

「おれなら土下座だってしますけどね」
田村洋造、52歳。25歳の息子が女子高校生と付き合い、その父親に呼び出されて。

「何とかするよ。百万で、いいかな?」
国崎友恵、52歳。息子の就職の口利きのため、お金が必要に。

人は人を傷つける。けれど、予期せぬ「縁」がそれを救うこともある。
地味だからこそ心にしみて、ホッとする。
疲れたときこそ読んでほしい、あたたかな読後感!

感想・レビュー・書評

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  • 5つの作品を収録した連作短編集…。「霧」はサッカークラブでコーチをすることになった室屋について、「塵」は同年年代の彼氏と険悪な別れ方をした真波について、「針」は真波のパパ活の相手田村について、「縁」は田村の同級生、友恵について、それぞれ過去現在、これからについて描かれており、短い「終」が最終章になっている。

    タイトルに惹かれて手に取りましたが、なんだかあまり好きな主人公はいなくって…あ、でもシングルマザーの友恵の子、彼はいい子だなぁ~!って思いました。あとはそれぞれが弱いところもあって…それが人間的といえばそうなんだけれど…。読みやすく、数時間で読み切れますが、なんだか残るものがない感じでした。ラストはよかったですよ、ほっとしました。

  • 好き

    あいも変わらずこの感想である

    今回はちょっと踏み外しそうになる人たち(いやちょっと踏み外しちゃった人含む)が繋がっていく連作短編集

    後ろに行くほど踏み外し度が大きくなっては行くけどもちょっとのことがきっかけでぎりぎり舞戻ってこれた人たち
    ちょっとのことを感じて軌道修正してみるってことが大事なんだと思う

    戻って来れるうちにちょっとを疎かにしない
    気をつけよう

  • 短編集でありながら、それぞれが少しづつ繋がったり作用し合っている。こっちの人がこう思ってる時、あっちの人は実はこんなことを思ってた…というように、ひとつの場面の切り取りから登場人物双方向の目線を見れる構図が何とも面白かった。

    なんで私ばかり…と、自分を悲劇の主人公に見立ててしまいたくなる時、あんなやつ理解出来ん!ってイライラした時、根本的問題解決にはならないかもだけど、この本が鎮静剤になりそう。

    全て思い通り、絵に書いたような人生でいられる現実なんてないけど、理想とはちょっとズレて着地も悪くないよね、と思える作品でした。完璧主義の私には色々学びになりました。

  • 登場人物の一部が重なり合う連作の5短編
    途中で嫌になって時間が掛かったけど読んで良かった。

    ①霧:生きづらいねえ、と思いながらホッとする
    ②塵:うわぁ、ヤな女、こんな奴でも奴なりの幸せが、来ないんだろうなあ
    ③針:幾つになっても悩み尽きず
    ④縁:人生がけっぷち
    ⑤終:予定調和と言ったらなんだけどホッとする

    作品紹介・あらすじ--------------------------
    人と人はつながっている。
    たとえ、どこの誰だか知らなくても。
    2019年本屋大賞第2位『ひと』の俊英、会心作!

    「親御さんと、こう、親しすぎるんじゃないかと」
    室屋忠仁、38歳。少年サッカークラブでコーチのボランティアをしていたが。

    「こんなふうになるからもう無理だってこと」
    春日真波、28歳。デート中、鈍い彼氏にきつくあたってしまったら。

    「おれなら土下座だってしますけどね」
    田村洋造、52歳。25歳の息子が女子高校生と付き合い、その父親に呼び出されて。

    「何とかするよ。百万で、いいかな?」
    国崎友恵、52歳。息子の就職の口利きのため、お金が必要に。

    人は人を傷つける。けれど、予期せぬ「縁」がそれを救うこともある。
    地味だからこそ心にしみて、ホッとする。
    疲れたときこそ読んでほしい、あたたかな読後感!

  • 今作も小野寺さんらしい温かさを感じられる、安定の良き作品だった。

    いつもながら淡々とつづられた心情、言葉。なのにそこからものすごく力強さを感じる、そこがたまらなく好き。

    人生の岐路の縁(ふち、へり)に立った時こそ、人との縁、言葉によって周りが見渡せ、今まで見えなかったものが見えるのかも。

    人の心の縁(ふち)と縁(ふち)を繋ぐ、それが人との縁(えん)。なんて、思わず「縁」という言葉からの繋がり、拡がる世界を噛みしめる。

    霧、塵、針、縁、終…それぞれの繋がりに心はふわり。
    人との出会い、縁、今以上に大切に…。

  • タイトルが秀逸。
    「縁」ゆかり
    連載短編中の「縁」へり

    縁…えん、ゆかり、へり、ふち、よすが

    それぞれの話しがこの意味を持っていた。

    生きていく中で人と繋がり知らない間にも「」縁えんが生まれている。
    誰でも悩み間違いをおかしそうな時「縁」ふちに追い詰められる。
    いかに踏み留まり「縁」へりを越えない判断はほんのちょっとの繋がり、言葉で救われるのかもしれない。

    「縁」へりに出てくる息子が光ってました。

    またまた荒川沿い「筧ハイツ」「リバーベッドSC」
    が舞台で嬉しかった\(//∇//)\

    • aoi-soraさん
      みんみんさん、フォローして頂きありがとうございます♪
      本棚拝見しました!
      色とりどりの本が並び、読書を楽しんでいる様子が伝わってきますね...
      みんみんさん、フォローして頂きありがとうございます♪
      本棚拝見しました!
      色とりどりの本が並び、読書を楽しんでいる様子が伝わってきますね。

      どうぞよろしくお願いします( ꈍᴗꈍ)
      2022/08/31
    • みんみんさん
      こちらこそよろしくです(*´꒳`*)
      おすすめ作家さん、作品教えてくださいね♪
      こちらこそよろしくです(*´꒳`*)
      おすすめ作家さん、作品教えてくださいね♪
      2022/08/31
  • 「ひと」「ライフ」の小野寺史宜さん、ちょっと雰囲気は違ったが
    やはりこの人の作品はあったかい。人間っていいなと思わせてくれる

    霧 KIRI / 塵 CHIRI / 針 HARI / 縁 HERI / 終 OWARI

    の短編5編、前編の登場人物が次の編の主人公にとリレーしていく形式、最近よくこんな形式の作品に出会う
    考えようによれば、誰もが主人公になり得る物語を持っているということかもしれない。もちろん、我々も

    いい人ばかりが登場するように思う小野寺作品だが、今回は人間の弱い部分や見にくい部分も随所に見え隠れする

    職場の同僚が上司と不倫していると告発メールをしようとした真波
    同窓会で再会した旧友に百万円を渡して息子の就職の口添えを頼もうとした友恵
    パパ活で知り合った若い女性に愛人契約を持ちかける田村

    など、生々しい話もあったが、それぞれが、大切な人の一言で我に返り踏みとどまった
    人と人は、意図するしないに関わらず、いろんなところで繋がっているんだなと思わせてくれる話だった



  • 荒川沿いに住んでいるので、河川敷のあのサッカー場だなと場面が浮かび、現実にあった話であるかのごとく読み進めてしまった。

    皆誰だって自分勝手で自己中心的だ。
    自分の都合のいいように世の中が回ってほしいと思っている。
    だから自分の価値観に合わない行動にいらつき、自分はさておき他人の自己中な態度に嫌悪感を覚える。

    自己完結できることなら都合のいい言い訳を考え自分を正当化すればいいが、社会生活をしている限り親や子を含め他人がからむ厄介ごとに出くわす。
    そしてどうすべきか、少しだけ感情的になったときに小さな選択の間違いが生じる。

    その場の勢いで間違った方向に進んでしまうこともあれば、冷静になれる時間や誰かの一言によって踏み止まることもある。
    この物語では、間違った方向に一歩足を踏み出してしまうが、深みにはまる前に踏み止まることが連鎖的に起こり終了するので読後感は良かった。

    本書のおもしろい所は、ある場面の会話が次の話では主役と脇役の立場が変わって繰り返されること。
    それぞれが主役の立場で綴られているので、併せると会話中の互いの気持ちや思惑の絡み合いが浮き彫りになる。
    この会話部分を楽しむために読む(読み直す)のもいいかも。

  • 連作短編集。
    「霧」…近所の少年サッカークラブでコーチをすることになった室屋。ある時、指導方針がもとで親御さんとの仲を疑われる。
    「塵」…自分の意にそぐわない行動をした彼氏と別れることになった真波。かつてパパ活をしていた時に親しくなったパパに再び電話を入れる。
    「針」…真波のパパ活相手田村のお話。息子が高校生と付き合っており、その親から呼び出され和解のためにお金を渡す。
    「縁」…田村の同窓生、シングルマザーの友恵。息子の就職の口利き、田村に頼みお金で解決しようと思うが、そのお金に困っていた。
    と最終章の「終」。
    各章で登場人物が繋がっている。そして進むにつれその人の別の一面が見れたり。嫌な面が出ていたりするが、ありそうな人間味が出てて。癖のある人だって良い面もあるしその人に合うつながりがあり世の中は成り立っているんだな。救われたり救ったりだ。全体的に尖らずに一定のペース穏やかさで描かれているのが読みやすくよかったかな。小野寺さんの小説を全部読んでいるわけではないけれど、同じ空気感を感じる、温かみがあるもの、今回もあり。

  • 道を踏み外す人を見守る本は多いですが、そのまま転落するか、転落した後で這い上がるかどちらかに分類されると思います。この本はどちらでも無いです。
    小野寺流の人間を肯定的に見る視線で、登場人物に対しているのが分かります。
    誰もが少し自分が間違っていると感じていて、このままいくと望んだ人生ではなさそうだし、年々ずれが大きくなって元いた場所に戻る事すら出来ない。
    それでも日々は続いていくし、大事なものが無い訳でも無い。後悔は沢山あるけれど、今までの道のりにも愛しい時間は有った。
    そんな一人一人の何気ない日々が、少しずつ重なり合う瞬間を描いた連作です。

    結構ハラハラする所も有ったりで、小野寺氏の本としては異例の雰囲気も感じます。それでも充分のどかなんですけどね。
    やはり結構好きな作家さんだなと、読んでいてとても感じます。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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