法月綸太郎の消息

著者 :
  • 講談社
3.06
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本棚登録 : 200
感想 : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065170229

作品紹介・あらすじ

名探偵が挑む、名探偵たちの謎。
法月綸太郎 VS ホームズ、そしてポアロ。

名作に隠された驚愕の「真実」が今、明かされる!
躍動するロジック! これぞ本格ミステリの純粋結晶。
待望のシリーズ最新作!!

☆☆☆

ホームズ探偵譚の異色作「白面の兵士」と「ライオンのたてがみ」。
この2作の裏に隠された、作者コナン・ドイルをめぐる意外なトラップを突き止める「白面のたてがみ」。

ポアロ最後の事件として名高い『カーテン』に仕組まれた、
作者アガサ・クリスティーの入念な企みとは?
物語の背後(バックステージ)が息を呑むほど鮮やかに解読される「カーテンコール」。

父・法月警視が持ち出す不可解な謎を、息子・綸太郎が純粋な論理を駆使して真相に迫る、
都筑道夫『退職刑事』シリーズの後継というべき2編「あべこべの遺書」「殺さぬ先の自首」。

スマートで知的で大胆不敵。本格ミステリの魅力に満ちた傑作作品集!

感想・レビュー・書評

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  • 知的好奇心を満たしてくれるという点で、とても面白い4つの短編だった。
    「白面のたてがみ」は、コナン・ドイルとチェスタトンへの優れたオマージュになっている。コナン・ドイルって、社会での当時発言力を持っていたんだなあ。
    「カーテンコール」は、アガサ・クリスティーのポアロシリーズの最終作の「カーテン」の新解釈を、なかなか個性溢れる4人で議論して打ち出すというもの。作者は、かなりクリスティーの作品を読み込んでいて、こちらもなかなかついていけないところもあるが、一応私もかなりクリスティーを読んだので、なんとかというところかな。
    後の2編は、綸太郎が警視である父親から聞いた難事件をとくという安楽椅子的なもの。奇妙な設定が面白い。

  • b-matatabiさんと111108さんの会話を盗み読みして手に取った1冊です(人聞きが悪いな!)

    アガサ・クリスティの『カーテン』についての考察があるとのことなので古い作品なのかな?と思っていたら2019年初版とのことなので思ってたよりだいぶ新しい作品でした

    4本の短編が収められていますがまずは謎解き短編の2本から

    なんか薄いな〜って感じちゃいました
    昔あった謎解きクイズ、トリックを見破れ!の豪華版みたいな
    おそらくこのシリーズに馴染みがあり登場人物に思い入れのある方が読んだらすごく楽しいんだろうなとは思いましたが、ちょっと綻びが出そうな細部を推論で抑え込んでるところが多すぎて…

    残り2本
    晩年のコナン・ドイルとGKチェスタートンの関係性に関する考察とお目当ての『カーテン』の考察に関してですが
    なるほど面白いな、そんな考え方もあるのか楽しそうとは思いましたが
    こちらもちょっとこじつけが多く、その辺も意識したので小説というかたちを採用してるのかもしれませんが、特に『カーテン』については法月綸太郎さんの説をそのまま採用するのはかなり躊躇われます

    面白い!あり!とは思うけど自分は違うということですね

    それにしてもこんな深く考察できるってよっぽど好きなんだなぁって思って
    こんなふうに空想を広げられる法月綸太郎さんを羨ましいと思いました

    • 111108さん
      ひまわりめろんさん、こんばんは。

      「会話を盗み読み」←笑 の後読まれたんですね!
      そうなんですね‥ひまわりめろんさん的には『カーテン』につ...
      ひまわりめろんさん、こんばんは。

      「会話を盗み読み」←笑 の後読まれたんですね!
      そうなんですね‥ひまわりめろんさん的には『カーテン』についての法月さんの考察はあんまり納得できないんですね。
      ドラマしか観てない私には、こうあってほしいという希望的観測の法月説をとりたいんですが‥。いろんな意見あって楽しいですね♪

      『カーテン』読んで『カーテンコール』再読してみようと思いました!
      2022/05/09
    • ひまわりめろんさん
      111108さん
      こんばんは

      そうなんですよ!

      いろんな解釈のしかた
      いろんな楽しみかたがあっていいと思うんです
      それはとても強く思いま...
      111108さん
      こんばんは

      そうなんですよ!

      いろんな解釈のしかた
      いろんな楽しみかたがあっていいと思うんです
      それはとても強く思いました

      そしてそれができるクリスティー作品の奥深さを改めて感じるとともにもっと読み直したいなって思いました
      法月綸太郎さんに感謝
      b-matatabiさんと111108さんに感謝です!
      2022/05/10
  • クリスティのポアロ最終シリーズ、『カーテン』を読んでその結末にもやもやをぬぐえない私に、111108さんがおすすめしてくれた一冊。

    本書は、4編からなる。
    『白面のたてがみ』は、『シャーロック・ホームズ』シリーズとして執筆された最後期の2編、『白面の兵士』と『ライオンのたてがみ』にまつわる謎。
    シャーロック・ホームズは一応全冊読んではいたが、読了はずいぶん前だったので、細かいところはあまり覚えていなかった。
    本編は、作者コナン・ドイルが晩年に傾倒した心霊主義についての説明に多くを割いていることもあり、ホームズ初心者にはやや難解に感じた。

    『あべこべの遺書』、『殺さぬ先の自首』の2編は、法月綸太郎シリーズの安楽椅子探偵もの。
    これまで刊行された法月綸太郎シリーズは16冊を数えるようだが、実はこれが初読み。父法月警視とのコーヒーを飲みながらのやりとりがほほえましく、殺人事件の救いのなさを中和してくれるのがよい。

    最後の『カーテンコール』では、ポアロシリーズの『象は忘れない』を上映する劇団の脚本監修を頼まれた法月綸太郎が、『カーテン』にまつわるポアロの謎を関係者とともに推理していく。

    クリスティの小説実に20編を引用し、さまざまな推理を繰り広げる本編は、クリスティファンなら感涙ものである。ただし、盛大なネタバレをしているため、引用されている小説をあらかじめ読んでおいた方が心安らかに読みすすめられる。ちなみに私は『ゼロ時間へ』を読んでいなかったので、その部分は薄目でしのいだ。

    ネタバレになるので詳しくは説明できないが、『カーテンコール』で繰り広げられる『カーテン』の謎の推理は、私のもやもやを一掃させるすばらしいものだった。後期のポアロとの印象の違いを、原作を曲解することなく論理的に説明し、かつファン心理にも配慮した納得の推理だった。
    これで、私が『カーテン』を読んだときに覚えた違和感は成仏できたような気がする。
    法月綸太郎、ありがとう。そして、この本を勧めて下さった111108さん、ありがとう。

    • ひまわりめろんさん
      b-matatabiさん
      111108さん
      こんにちは

      突然失礼します

      むむむむむ
      このような作品があったとは知りませんでした
      『カーテ...
      b-matatabiさん
      111108さん
      こんにちは

      突然失礼します

      むむむむむ
      このような作品があったとは知りませんでした
      『カーテン』については自分もモヤモヤを抱えた一人なので是非とも読んでみますね!
      2022/04/23
    • 111108さん
      ひまわりめろんさんもこんにちは

      やっぱり『カーテン』モヤモヤしますよね。
      ぜひ法月さんの推理を楽しんでください!
      ひまわりめろんさんもこんにちは

      やっぱり『カーテン』モヤモヤしますよね。
      ぜひ法月さんの推理を楽しんでください!
      2022/04/23
    • b-matatabiさん
      ひまわりめろんさん、こんにちは。

      ぜひぜひ、この作品を読んでください。
      『カーテン』を読んだ後ののあのよりどころのない気持ちが浄化されます...
      ひまわりめろんさん、こんにちは。

      ぜひぜひ、この作品を読んでください。
      『カーテン』を読んだ後ののあのよりどころのない気持ちが浄化されます。きっと。
      感想、楽しみにしています。
      2022/04/23
  • まずホームズとクリスティの作はほぼ評論であり、ミステリ部分は極めて薄味。ある種歴史ミステリだと思えば、楽しめるかもしれないが、ホームズやクリスティネタバレと引き換えに読む価値があるかは疑問。かなり読み飛ばしてしまった。
    その他二作もトリッキーな舞台設定の作ではあるが、正直いまいちだった。寡作の代表かつ80年代から活躍される新本格第一世代なのだが、この作品単体では面白くない。寡作なのに、キャラクターや舞台設定の使い回しするのも気になる。誰も覚えてないのでは。

  • 中短編集。ポアロにまつわる謎を解いていく『カーテンコール』の綸太郎の説に納得。スーシェ演じるドラマ『名探偵ポアロ』を思い出しながら読んだ。クリスティ再読しようかな。

  • 中短編集。
    ポワロ物が好きなので、最後の「カーテンコール」がおもしろかった。

  • 法月綸太郎シリーズの中短編4編収録。
    そのうち2編はかなり文学評論的な内容だった。
    「白面のたてがみ」はドイルとチェスタトンについて、「カーテンコール」はクリスティについてよく知らない人が読むのはちょっと辛いかもしれない。特に後者はクリスティ作品のネタバレがけっこうある。(各章の冒頭に但し書きがあるので、いきなり食らうことはない)
    ここ数年、著者は本格ミステリ古典に親しんでいる読者を想定した作品をけっこう書いているように思うが、個人的には好みである。今回もドイルとチェスタトンの関係、作品の類似点についてはとても面白かった。

  • 法月さんの本は相変わらず装幀が凝っているな。

    それはさておき。巻頭と巻末の二編はホームズ、ブラウン神父、ポアロ、そしてギリシャ神話を読んだことがない人には正直キツイだろうな(法月綸太郎を手にする人がそんなわけないという見方もあるか)。特にポアロ物に至っては盛大なネタバレ大会なので、未読の方はもったいないから絶対覗かないでね。そして中の二編は以前の綸太郎シリーズを読んでた方が断然いいわけで、正直、本作は法月綸太郎初見の方にはかなりハードル高く設定してある。作者も編集さんも、もうお得意さん相手の商売でいいや、と割り切ってるのかもしれん。いっそ、清々しくてよろしい。

  • 法月さん、消息がわかって何よりでした笑
    今回は小説感があるものと、ホームズ&ポアロ考察でしたね。ポアロは読むというよりCS放送でエンドレスでリピート放送されているデヴィッドスーシェ版をずーっと見ている私ですが、あーあの話か!とすぐわかりました。
    法月さんとお父さんのやりとりがとても好きなので、あべこべの遺書と殺さぬ先の自首が好きでした。

    次回作、長編を期待。

  • のりりんひさびさの登場。こんな感じで創作していたらそれはひさびさにならざるをえないですね。

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著者プロフィール

1964年島根県松江市生まれ。京都大学法学部卒業。88年『密閉教室』でデビュー。02年「都市伝説パズル」で第55回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。05年『生首に聞いてみろ』が第5回本格ミステリ大賞を受賞し、「このミステリーがすごい! 2005年版」で国内編第1位に選ばれる。2013年『ノックス・マシン』が「このミステリーがすごい! 2014年版」「ミステリが読みたい! 2014年版」で国内編第1位に選ばれる。

「2023年 『赤い部屋異聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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