コゴロシムラ

著者 :
  • 講談社
3.46
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本棚登録 : 219
感想 : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065170953

作品紹介・あらすじ

かつて産婆が赤子を何人も殺した村で、尋常ならざる夜が始まったーー。祟りと因縁が渦巻く、新境地ホラーミステリー。

カメラマンの仁科は、雑誌の取材のため、ライターの原田と山深い神社を訪れた。が、雨が降りそぼる夕暮れ、携帯が繋がらない山道で迷い、おまけに原田は足を捻挫してしまう。ようやく古い民家に辿り着き、老婆の好意で泊めてもらうことになったが……。仁科は、コゴロシムラと呼ばれるその村で、出口のない恐怖に晒される。

人間同士の切なさもどかしさを描いて並ぶ者なし、の名手がホラーミステリーに挑む!

感想・レビュー・書評

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  • 変化を味わえた。

    カメラマンの仁科が取材で訪れたた山深い古民家での一夜。
    そこでの言葉にならない恐怖。

    序盤はかなり好みのがっつりホラー。

    逃れられない恐怖の時間はかなり惹きつけられる。

    やがてこの展開はミステリなのか…次第に変化を見せつつ最後まで一気に読ませてくれた。

    新の不自由な姿、この原因にはただ哀しみしか感じ得なかったけれど、次第に彼の無邪気な姿、凛とした姿、生き方に眩しさが…と、ここでも変化を味わえた。

    そしてほのかに漂う一般的な枠に当てはめてしまうのが難しい感情、これがやっぱり印象的。

  • ホラーから、謎がうまれて、サスペンスに。そして最後はひとの話になった、そんな印象。
    終わり方がめちゃくちゃ好きだ…。
    ひとのドロッとした気持ち。歪みだったり、不足だったり過多だったりする、なにか。この作家さんの描くひと、とても好きだなぁ。

  • ミステリやホラーを期待して読むか、BLを期待して読むかで評価が別れる作品だと感じた。

  • ホラーモノだと読み進めて言ったのに途中…?
    と思ったらそこからがまた、面白かった。
    伏線回収しながらミステリーに!

    アメリカにいった先の話も気になるので続きを書いて欲しいなぁ。

    そして表紙のイラストに納得‼︎

  • 取材の一環で田舎の温泉に向かう途中、道に迷い泊まらせてもらった民家で、怪異を体験したことから話は始まる。ホラーだと思い込んで読み始めたが、全く違った。
    伏線を無事回収しつつ、BLの雰囲気を醸し出し終了。

  • 読み終えた後の満足感が毎回半端ない。
    BLにしても一般向け作品にしても、予想以上にどっしりとした読み応え。ページ数はそんなどっしりじゃないのに!
    鉄板ホラーの怖さも味わえつつも、え…その方向で行くの?という斜め上方向の怖さも味わえて、しかも見る人によっちゃあニアBL!な展開も満足すぎます…

    あらすじは他所でご覧ください。
    最初に味わえる怖さは、この本を購入する前に予測していた通りの怖さでホラーの定番的なゾワゾワなんだけど
    そこがスッキリしないうちに次章へとうつります。
    なんやなんや?と思いながらも新の存在や仁科の潜在的な性的嗜好、コゴロシムラの真相にずぶずぶ足や手や頭を突っ込んでいきます。
    実は!!のところは読んでのお楽しみなので割愛するけど
    最後をハピエンととるかは人によるな、と言うのが正直なところ。
    新の台詞は真っ直ぐ他意のない台詞だと思うけど、仁科の気持ちの背景や今までの流れ(コゴロシムラのあれこれからの新のことや新に対してのモヤモヤ)を考えると
    あーら♡あんたら両想いや!ときゃっきゃっは出来んな。
    ひゃーーー!こん人らどうなるやろか!こわい!っていうのが先行してしもうたな、、、
    でもむっちゃ満足しとん。続き見てんよ。

    新の話す四国弁がとても良かった。
    身近なところがでるとやっぱり嬉しいなー

  • 結構コミカルなキャラが多くて、ゾッとするよりニヤッとするシーンのほうが多かった。やや最後は蛇足な展開でのハッピーエンド。
    両腕欠損の少年が世間知らずで浮世離れしたキャラなのですが、主人公がなぜこんなに親身になって彼を世話をするのかちょっと唐突すぎた。

    奇形ばかり産まれる村の秘密、という大台に隠されたテーマは、「欠損萌え」という自分の隠された嗜好に怯える主人公カメラマンということでオケ?
    腐女子に嬉しい二アホモということで★プラス。

  • ネタバレというか木原先生作品クロスオーバー発言をちょっぴりします。


    コゴロシムラ、とても楽しみにしてたんですがまとめて読む時間があまりなく通勤とかでぼちぼち読んで読了しました。はあ〜纏めて読めばよかった……と心の底から今思う
    というのもあのホラー的緊張感と畳み掛ける真相への前進がドキドキを煽るんだから一気に読めよということ……そして人間関係を脳内でまとめる前に読み終わってしまったもったいねえことしたな本当
    内容としてはこれが商業BLだったらあと5倍くらいの文量で5年後くらいまで読ませてもらえたんだろうなぁという感想です。一般誌なのか〜これが商業だったら……なんらかの形で続きが……すごく読みたい。
    木原先生の作品では幼稚な思考や性格の人間が(いろんな方向で)成長し相手との関係性を育むという展開が多く、その発展がとても面白くて最高に好き。今回もその潮流に則ってるものですが、まだ成長の半ばというか発展途上というか、成長すらしないかもしれないその蕾さえ摘み取られるような発言を仁科がモノローグでして終わり未完成さを残すというジレンマ。
    いやしかし、これこそがこの作品のテーマなんじゃという、今感想を書きながらふと思った……そうか、ミロのヴィーナスやサモトラケのニケのような不完全な美を追求するならば、この終わり方はとてつもなく粋なんだ……ただ、私は欲深い腐女子なので、やっぱり続きが読みたいと思ってしまった笑

    カメラマン、アメリカときいて彷彿とさせるのは、やはりCOLDシリーズですよね。仁科はジャーナリストなので透とは違う畑なのかもしれないけれど、そのキーワードが出てきたらやはり思い出してしまう。商業BLだったならと思ってしまうのは自分がCOLDシリーズ大好きで、ちょっと絡めてなんかしら読みたかったという願望からくるもんなんだろうな。
    何はともあれ、ホラーミステリー(サスペンス?)の風味を楽しむ作品としてとても面白かったです☺️胃がちょっぴり寒くなるのが好きな方は読んだほうがいいですね!

  • 『捜し物屋まやま』に引き続いて、こちらもセンセのBLじゃない一般文芸作品。
    読みだしたら止まらなくなってしまうほど、引き込まれてしまいました。ホラーミステリーと紹介されていますが、ファンタジーなホラーではなくしっかりとした根拠のあるホラーで、お化け屋敷的な怖さとは違う感慨深い恐怖がありました。

    最初は、雨の夜に過疎化した村の、ただ一軒の大きな屋敷に不可抗力で泊まることになったカメラマンとライターの身に起きた小さな恐怖体験から始まり、それが過去の「呪い」から殺人未遂事件へと繋がってどんどん話が広がっていくという展開のものすごさに圧倒されました。
    深夜の田舎のお手洗いって、怖いですよね…絶対無理。
    そういう怪談話に終始するかと思ってたら、最後は「あめりか」ですよ!!話が3Dで広がるw
    コゴロシムラというタイトルが、最初にパッと見た時には鈍くて何のことかわからなくて、言葉に出してみてうわってなりました…

    現実的に一番怖いのは、人間なんだとしみじみ感じました。そして、そんな中にも優しく慈愛に満ちた人がいることにも気づかされました。
    新はとてもピュアでイノセントな存在として描かれています。その生い立ちの影響もあるのだろうけれど、とにかく自己肯定感がハンパなくて、素晴らしいです。
    そして中村明日美子センセの表紙の新がめちゃくちゃきれい。
    そんな新の魅力に負けた…というか、包容力が最強すぎる仁科!…下心が無かったとは言えないかもだけど、それでもここまでお世話できるって、ある意味愛ですよね。
    さりげなく、センセらしいBL風味が生かされている気がしました。
    読後もずっと余韻が残り、反芻したくなる読み応えでした。

    これはもう、後日談プリーズ!!ですね。ご自身の薄い本でぜひともよろしくお願いいたします!

  • 両腕のない青年「新」と、コゴロシムラと呼ばれたかつて産婆が子供を何人も殺したという村にまつわるミステリ。
    呪いとかって突き詰めていけばこういう理由があったりするんだろうなぁ。新は外界から閉ざされた世界で自分を神様だと思って生きてきたので、子供のように全く無垢な存在として描かれている。仁科はきっとそんな新に魅せられてしまったのだろうなぁ。

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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