Keyの軌跡 (星海社新書)

著者 :
  • 星海社
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本棚登録 : 61
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065172025

作品紹介・あらすじ

伝説的"泣き"の創造主・Keyの歩みがこの一冊に!
一九九八年の創立以来、コンテンツカルチャーに絶大な熱狂を巻き起こしてきたゲームブランド・Key。本書はKey完全監修のもと、Key作品の軌跡を徹底考察! ビジュアルノベルの可能性を拡張した『Kanon』、麻枝准が独自の幻想を昇華させた『AIR』、ラブストーリーの域を超え“人生”を描破した『CLANNAD』、Keyの諸作品を完璧なまでに映像化した京都アニメーションの功績から、オリジナルアニメ『Angel Beats!』『Charlotte』の挑戦まで、Keyが生み出した数多の“奇跡”を濃密な批評で解き明かします。私たちは、辿り始めるーー九〇年代、ゼロ年代、一〇年代を駆け抜けてきたクリエイターたちが紡いだ、長い、長いKeyの歴史を。

感想・レビュー・書評

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  • MOON.から今に至るKeyの系譜を解説している本。
    各作品についてはネタバレな内容しか書かれておらず,手放しで褒めているので読んでて気持ちが良い。(著者が鍵っ子すぎるとも言う)
    読み進めながら,昔プレイしたときの記憶が思い返されて,あの終わったときの何とも言えない感覚が蘇りました。軽く読み始めて一気読みした本は久しぶりです。
    …ゲームはもうプレイできない環境なので,アニメをもう一度見てきます。

  • 「TYPE-MOONの軌跡」の坂上秋成氏の新刊です。本作ではKeyの歴史を、設立メンバーの1人「麻枝准」を中心に、まさに前夜と言えるTacticsの「ONE〜輝く季節へ〜」から始まり、作品順に振り返っています。初めてプレイしたエロゲが「Kanon」なので、色々な意味で感慨深かったです。あらすじを読んでいるだけで脳内で補完されて泣きそうになります。当時のネット掲示板は鍵の考察を色々な人が書いていたなと思い出しました。監修をKeyがしているのでほぼ公式本ですね。

  • ゼロ年代以降、ビジュアルノベル(と、それを元としたアニメ作品等)で一時代を築いたゲームブランド「key」について、文字通りその軌跡を追った評論。自分は「CLANNAD」以降のゆるい鍵っ子で、かつ近年はあまりKey作品にコミットできていなかったため、各時代の作品を振り返りながら改めてKeyというブランド(と、その中核である麻枝准という作家)について考えることができた。

  • keyというか、本書にもあるようにTacticsのoneとの出会い、そこから続く作品群との関わり。そして今でも強く心に残るCLANNAD、智代after。各作品の描くもののみならず、クリエイターが切り開き、会社の血肉になっていった精神性が筆者によるインタビューや考察によって整理されていく。それは概ね自分が感じたものと同じで共感できる。人生に辛いこと、理不尽な事は数多あるけども、それでも人は前に進まなきゃいけないし、それは美しい。

  • 2021年1月10日読了。「葉鍵」としてゼロ年代にユーザーの支持を集めたゲーム・アニメ制作ブランドである「key」の作品とその凄さを振り返る本。私は「葉」の方しか体験しなかったが少しは当時の文化をかじった者として興味深く読んだ。近年の「天気の子」にkeyテイストが感じられる、というのが話題になったがまさに当時Leafやkeyの作品群は日本のサブカルをリードする存在であったのだ、と思う…。「エロ・おかず」としての作品の側面に光を当てない分析は物足りなくも思うが、それを言うのは野暮か。メインクリエイターの麻枝氏の音楽へのこだわりは、アニメ中のバンドで起用したLiSAの今日のブレイクにつながっている、ということを初めて知った。まさに歴史はつながっているということか。

  • 坂上秋成によるゲームブランド「Key」の解説本。
    私はアダルトゲームとは無縁の人生を送ってきたので、Keyの名を知ったのは「動物化するポストモダン」である。読み返していないので記憶が曖昧だが、「AIR」における父性の考察は東浩紀では...?と思いながら読んでしまう。ただし、こちらの考察の方がやや明るい、というか能天気だ。まあ、坂上秋成は当たり前のように東浩紀の言論文脈に影響を受けている筈ではある。この世代の言論人は多かれ少なかれ、賛否はあれ、東浩紀の影響を受けた筈だ。
    Keyの主要作品の解説と考察なので、基本まるっとネタバレがある。しかし、本書の読者層は多分「鍵っ子」なのだろうから問題なかろう。しかしその読者層を考えたときに、若干考察が弱いというか...大体同じ結論を繰り返しているようにも見える。
    結局、著者である坂上秋成自身が「鍵っ子」なので、突き放した論を張らないのだ。そういうスタンスなのであれば、もっと自身の情緒に寄せた作品の方が読み応えはあったのかもしれない。ここで記述される「考察」が、圧倒的目新しさを伴ってくるものではない以上、本書は解説にもっと寄るか、個人的な色を強めるか、で唯一無二になった気がする。
    ...が、「TYPE-MOONの軌跡」も出してるのか。そうなると「新書的ビジュアルノベル解説シリーズ」としてはまあ、妥当な位置にいるのだろうな、と。

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著者プロフィール

1984年生まれ。2013年に『惜日のアリス』(河出書房新社)でデビュー。批評として『Keyの軌跡』、小説に『ファルセットの時間』(筑摩書房)、『紫ノ宮沙霧のビブリオセラピー―夢音堂書店と秘密の本棚―』(新潮文庫nex)などの著作がある。

「2021年 『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! ミステリー小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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