その愛の程度 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.29
  • (6)
  • (24)
  • (36)
  • (13)
  • (0)
本棚登録 : 363
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065172476

作品紹介・あらすじ

結婚して、離婚して、新しい人に恋をして、
それでも「家族」は続いていく。

2019年本屋大賞2位『ひと』で話題の俊英がおくる、新しい家族の物語。

川遊びの最中、小学生の娘・菜月が友人の娘と溺れるのを見て、とっさに助けに飛び込んだ守彦。
必死の想いで引きあげた腕の中には、菜月ではなく友人の娘がいた。

「お父さんは菜月をたすけてくれなかったもん」

その言葉を最後に、口をきいてくれなくなった血の繋がらない娘。七歳年上の妻ともすれ違いはじめ―――。

困り果て、とりあえずの間と家を出る守彦だが、会社の後輩や、川遊びに来ていたシングルマザーとの何気ない会話の中で、娘と妻への本当の気持ちに気づかされていく。

いつもあと一歩が踏み出せない、不器用な守彦の出す答えが心にしみる、新しい家族の物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この話の主人公は人に対して誠実でありながらも起用に立ち回れずというキャラクター。作者の小野寺史宜の作品である「ひと」や「まち」の主人公と共通している。しかし、本書の主人公は誠実なあまり行動に移せないもどかしさがあり、結果的に上手く立ち回れない。考えすぎて動けない主人公に対し、大丈夫かよと思いながらも行動を起こす後輩の対比が面白い。

  • 妻の職場の仲間と出掛けたバーベキューで、川遊びしていた娘が溺れるのを見てとっさに川に飛び込んだ守彦だったが、その腕の中にいたのは娘ではなく一緒に溺れた別の女の子だった。
    娘も助かったが、その日から口をきいてくれなくなり、妻との関係もぎくしゃくし始めて、困り果てた守彦はとりあえずの間と家を出る、といった発端。

    だけど、なんか、彼の行動には違和感があるなぁ。
    家を出るのはまだあるかなと思うが、助けた娘の母親・結衣から連絡が来たからといって、彼女が働く喫茶店に通ったり、家に行ったりするかなぁ…。
    下心があるのかないのか、中途半端に生真面目っていう感じで、小池くんでなくこっちこそ度を越えているような気がするぞ。
    どういうつもりか守彦の気を惹きながら最後に梯子を外す結衣のほうもどうだかなぁ。

    この二人だけでなく出来てくる人物が皆、私にとってはどこか変。
    大人の振りして自分が一番大事の妻やバイト先の女性たちに次々と声を掛けていく塚越くんには付き合いきれない感じだし、どうしようもなく性悪女の品田くるみと彼女に首ったけで全く学ばない小池くんのカップルもなんだかな…。
    守彦が人事課長に登用されたり、最後の深井さんの登場まで、真面目に悩む話な割には軽い話に微妙な陳腐さや違和感を覚えたのでした。
    ★は2と3の間くらい。

  •  綺麗な終わり方。 
    『その愛の程度』って、素敵。 わたしも恋したくなる程、優しく素敵な物語でした。 ままならない、でも、明日への希望が・・・。 最後、"ふふふ"と、笑みが浮かんでいた。

     淡々と綴る優しい文章が素敵。 
    ドラマティックな酔いよりも、普通の男性の喜怒哀楽の素直な呟きが、なんだか魅力的。

    小野寺史宜さん、いいなぁー。

     主人公・豊永守彦は、結婚、離婚、新しい恋、後輩くんの結婚を通して、変わって行く。 恋して敗れての葛藤は、流されやすかった彼には、大きな成長。 応援したくなる。

     それに比べて、年上の妻の逞しさ、したたかさは圧巻。 会社の後輩くんの盲目の恋の勝利には、驚く。

     ○ちょっと余談だけど○
    主人公の会社の"蚊とり器が必ず蚊をしとめる"描写が面白くて読み入った。
    『本当に感心したからこそ、おれは蚊とり器を礼賛したのだ。』

    『礼賛』って・・・。 蚊とり器だよ。 うふふ。

  • 波が立つのも、日常のひとこま。いなしながら、たんたんと、多少食欲は落ちてもって考えると、マナブンは、もはやいやし(なんとっ!)

  • まさに小野寺小説的主人公である豊永守彦、周りに流され抗うことをしない姿はちょっと歯痒い。
    楽しく読めるが読了感はモヤモヤかな。

  • 出てくる登場人物がみんな変わってるけど良い人。楽しく読むことができました。

  • 男性作家さんであまり読んだことのない、登場人物の心情が繊細に描かれている文章。

    守彦と妻の成恵、後輩、シングルマザーの女性その子供とのやりとり。後輩の小池くんがなんとも憎めない。結婚した後も小池くんは守彦に相談してきそうだ。
    他の著書も読んでみたい

  • 20240316

  • 今まで読んできた小野寺さんの本よりほっこり度少なめ。そんな都合よく行かないよね。
    でも、この人の本をもっと読みたいって思ってしまうんだなぁ。

  • 再婚相手の娘
    バツイチの女性

    色んな人から逃げられちゃう可哀想な主人公の話。
    ではないかな。笑

    真剣に相手と向き合わなくても良いときもある。
    そんなゆるっとした愛がほどよいときもある。
    でもちゃんと決断して行動しないといけないときもある。

    どんな愛の程度がベストかなんて分かんないんだよねぇ。
    色んな人生あるなぁって読んでてすごい面白かった。

    いい相手みつかるといいなー

全25件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小野寺史宜の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×