地獄の楽しみ方 17歳の特別教室

  • 講談社 (2019年11月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (152ページ) / ISBN・EAN: 9784065173848

作品紹介・あらすじ

「今の十代の皆さんは、私が十代だった頃に比べても、はるかに優秀です。
しかし、大人になった皆さんを待ち受けているのは地獄のような現実です。それはいつの時代も変わりありません。
地獄を楽しむためのヒントを、もう地獄に堕ちている先輩が、少しだけお教えします」(京極夏彦)

「あなたの世界」は、言葉ひとつで変わってしまいます。
SNS炎上、対人トラブル――すべては「言葉」の行き違い。
語彙を増やして使いこなすわざを身につければ、楽しい人生を送ることができます。

地獄のようなこの世を生き抜くための「言葉」徹底講座。

大人前夜のきみたちへ。学校では教えてくれない本物の知恵を伝える白熱授業。
「17歳の特別教室」シリーズ第5弾。

みんなの感想まとめ

言葉の重要性とその使い方を深く考察した一冊で、特に若い世代に向けたメッセージが印象的です。著者は、言葉が持つ力や誤解の可能性について鋭い視点を提供し、日常的に使う言葉を大切にすることの意義を教えてくれ...

感想・レビュー・書評

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  • 京極夏彦氏が2019年に15歳から19歳の50人の聴講生に向けて実施した特別講義をまとめたもの。

    学生向けに「言葉」の大切さについて語ったもの。氏の「言葉」に対する考えがわかって非常に面白かった。「愛」って執着なのねとか。

    「言葉」は人の心にしか効かない、そして必ず誤解される。不完全で、効果が少ないように見えるが、「言葉」(または言霊)は人の心にだけは効く。だからこそ普段から使う「言葉」を大事にすべきだと感じる。

    生成AIの登場によってさらに「言葉」が溢れる中で、この本が問いかける『「言葉」を大事に使っているのか?』は非常に突き刺さった。

    また第一部で、手書きとワードプロセッサーの違いについて書かれている部分が興味深かった。手書きは、出力でありプリントアウトである。つまり思考としては、考え終わったものを書くという最終形態であり、書き直すのも大変。一方でワードプロセッサーは、思考プロセスを一部を外部化する。効率も上がって書きながら考えることができる。つまり全く思考のプロセスが異なるのだという。

    ワードプロセッサーのようなものにより思考ができないんじゃないか、なんていうが誤解だという。自分一人で考えられないところまで考えたんだから、思考しているのは書いている人なんだからと。そして「別にAIが書いてるわけじゃないんですから」(p48)と。

    さて生成AIの時代がきて、とうとうAIが書いてくれる時代になったわけですが、これから先、どうなるんでしょうか。京極氏のご意見を伺ってみたいものである。

  • この本は『自分の成長を高めてくれる』本。

    あの分厚い本を書くでおなじみの京極夏彦さん。
    そんな京極さんのことを知ることができるのではと思い手に取った。


    ・「書いた人の気持ちを正確にくみ取る」のが唯一の正解だとするのであれば、読書はすべて誤読。
    ・「勝負とは自分に勝つことだ」は実際にはありえない。
    ・「愛」「絆」「夢」という言葉を疑う。
    など、概念が覆ることが書かれており、目から鱗が落ちるようだった。


    特に印象に残ったことをいかに深堀する。

    大衆で人気の本を読んで面白くないと思ったら、本が悪いのではなく、その本を面白がることができない自分が悪いと思い。という内容の話があった。
    はじめに目にしたときは「読んで受け取るのは個人の自由なのに!」と衝撃を受けた。

    しかし、その後の内容で「そう思わないということは、その人たちが持っている感性を持っていない。」といった旨を書かれていて腑に落ちた。

    自分の感性が大衆よりも足りていないという指標になるのでは?
    ということは、それを知るきっかけにもなり、つまりは自分の伸びしろがあるということを知ることにもつながっているのかと。

    大好きな読書で自分を高める要素がまた一つ増えたと思うととても嬉しく、今後出会う本たちにもワクワクしかない!

  • 京極さんは面白いなあ‥。
    「17歳の特別教室」ではあるけれど、全ての大人にも読んで欲しいなあ。若い人には勿論ね。

    前半はちょっと固いんだけど、後半は段々エンジンかかってきて、流石京極さん。
    「例えば、「絆」。フン(笑)鼻で笑ってしまいました。」とかね!

    言葉なんて通じないものなんだ。
    SNS上では特にね。
    語彙を増やそう、その為には本を読もう。
    自分の言葉が誤解されるかもしれない、他者の言葉の自分の解釈は間違っているかもしれない、その可能性を想像する力を持とう。
    そして「愛」やら「絆」やら「夢」やら、胡散臭い言葉には騙されないようにしよう!

  • [こんな人におすすめ]
    *「10代向けなら自分は読まなくていいかな」と思っている中年の皆さま
     10代〜20代前半の若い読者にとっては、「今は足りていないけれど、将来に活かそう」と前向きに受け取れる一冊です。一方、若者と呼ばれなくなった大人にとっては、これまで積み上げてこなかったことや、不足している部分を突きつけられるため、より重く響くかもしれません。特に、言葉の使い方や自分自身との向き合い方については、耳が痛くなります……。
     「特に反省することはない」という大人の方にとっても、家族や職場での対人関係を見直すきっかけになる可能性があります。

    *言葉がうまく伝わらないことに悩んでいる人
     読み終わった時には、「そんなものか」と肩の力が抜けて、気にならなくなるかもしれません。

  • ブクログから「おすすめ本」として通知が来たので読んでみた。

    10代後半の青少年向けの本なので、本来はまったくターゲット外だが、読んで面白かったら子供に勧めてみよう、と思って読んだ。

    テイストは、養老孟司さんの『なんとかの壁』シリーズに近く、悩み多き青少年の思考を堂々巡りのループから脱してシャープにするのによい本だなあ、と思った。ので、子供にも読ませてみよう。

    勝ち組、負け組、という言葉を批判する部分が秀逸。(P61-67)

    “負け組って、いったい何に負けたんでしょうか。しかも「組」ですよ。世の中に負け組なんて組はないです。同時に、勝ち組だと威張っている人も、何に勝ったんですか。何にも勝ってません。そんなルールは世の中に存在しないんです。お金を持っているほうが勝ちとか、位が高いほうが勝ちとか、彼女がいるほうが勝ちとか、彼氏の年収が高ければ勝ちとか、そんなルールは誰が決めたんですか。そんなルールはないんです。その人の人生はその人がよければそれでいいんです。負けもなし、勝ちもなし。これが正しいあり方ですよね。”

  • 京極夏彦の小説はさほど読んでいないけれど。
    現世を"地獄"と言い切ったうえでのその"楽しみ方"、しかも10代のための特別講座とのことで、とても興味をそそられて読んだ。
    そもそも言葉とはなんなのか。まずはそこから始まる。
    私たちは青という漢字を見てなぜ青色をイメージすることができるのか。時間なんて見に見えないものを概念として理解したつもりになれるのは何故か。
    言葉はそれらを現すことができるすばらしい発明であると同時に、常に欠けたものでもある。言葉はいつも不完全である。
    小説なんかはそんな不完全な言葉を駆使してつくりあげられたもので、だから書いてあることよりも書いていないこと、自分がその言葉を受け取ってかき立てられた感情、その小説を読んだ自分自身の中からつくりあげられた感情を大事にしたい。

    そして語彙を増やすということは自分の人生を豊かにすることである。語彙はその数だけ世界をつくってくれる。
    言葉は、混沌(カオス)の中から"私"を抜き出してくれるのであるから、語彙はそりゃ多いほうがいい。

    私はよく「この感情を言葉にして伝えることはできない。言葉として口にした瞬間から紛い物あるいはただの嘘になってしまうような気がする」と感じることがある(今のこの文章でもそのときの感情すべてを言い切れていない)のだが、それは言葉として抜き出したことで、抜き出しきれなかったそのほかのすべてを捨ててしまうことになるからなんだと気づいた。それはまぎれもなく不幸だ。でも言葉にしないことには混沌のなかを沈んでいってしまうものであるから、やはり語彙は多いほうがいい。より正確に抜き出すことができるように。
    言葉にして捨てることは不幸だが、けれどその感情を芽生えさせてくれるものも言葉である。言葉は不幸でも幸福でもある。

  • 言葉は不完全なもの、削ぎ落とされて欠けるもの。
    すべての読書は誤読である。わかりやすいことばでことばを扱う慎重さを感じさせられる。

  • 書評『地獄の楽しみ方』京極夏彦著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
    https://dot.asahi.com/ent/publication/reviews/2020021400088.html

    『地獄の楽しみ方 17歳の特別教室』(京極 夏彦)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000325430

  • 『現実に持たなければならないのは、きちんと達成できる目標です。それを夢だ、希望だみたいなことで美化してしまうのは、非常に危ないと思います。』

    中高生への講演録。
    緩急が上手い!
    思わず吹き出すところも多々ありつつ、読むのを止めて考え込む言葉もたくさん。
    十代にお勧めしたい。
    引っ越しのエピソード、最高だったなー!

  • 言葉はすぐれた発明で、同時に欠けているもの。言葉を選び取ることで、多くがこぼれ落ちるということ。欠けてるところは相手が勝手に埋めるということ。伝わると思ってもお互い勘違いしてることはよくあるということ。
    言葉により影響を受けるのは現実の何かではなく人の心だということ。
    整理整頓清掃が大事。嫌いなことをしないために、頭を使おう。メモなんてとらず、ボーッと聞くほうが入ってくる。役立てるようにするのは自分ということ。行動しなければ変わらない。

    具体的に氏がなにをしたかはいっさい言わないトーク。嫌いなことは執筆、という氏の小説に興味をもちました。

    もっと言葉を自在につかいたいなら、言葉の持つ特性を知ることは有効だと思います。

    聞き手(15〜19歳の年齢層)との一問一答は読み応えあり。

  • 17歳では無いですけど、大変面白く読みました。17歳でこんなお話を聞く機会があった方々が羨ましい。
    残りの人生、言葉を選びながら、楽しんで生きていけるように工夫します。
    それにしても生徒さん達の質問にも驚きました。難しいこと考えて生きているんだなと自分の17歳時を思い起こしてちょっと情けない。

  • 刊行前から買うと決めていた。数年前の東京国際ブックフェアでの講演と通じるものがあるとおもい出し、当時より、若い世代に伝わるよう柔らかく噛み砕いてお話しされている印象を受けた。そして17歳をとっくのとうに越えた30代の凝り固まった(笑)女にも優しく届くお話で、この地獄をどうやって生きていけばよいのか右往左往しているいま、これを読めてとてもよかった。ある言葉を言ったあとに鼻で笑ってしまい謝罪する京極さんに笑い、10代へ「じぶんを大事にしましょうね」と語りかけるさまにまさかの涙が出てしまった。整理整頓をしよう。

  • 非常に面白い。優しい言葉でこの世の生き方を指南してくれる。言葉はデジタルである。デジタルは単純化する事で見易くするが、そこで削ぎ落とされたヒダを忘れちゃいけない。

  • シベリア超特急の話が面白かった。何をどのように捉えて面白いかは作品より、見る側、聴く側の姿勢や度量が必要なのは間違いない。器の大きさと許容度。できるならそうありたい。そうありたいと思う心持ちで日々を過ごしたいですね。

  • 言葉についてここまで考えることは今までなかった。

  • 言霊やこの世(地獄)をどう生きていけば楽しく生きられるかなどを簡単に説明してくれている。
    はぁー京極夏彦のこれ!この感じ!落ち着くなぁ、と読んでてなぜかにっこり。
    この講演会の対象年齢くらいの人たちだけでなく、いろんな年代の人におすすめ。

  • 言葉の力と限界をうまく整理した本。学生のうちに触れることができると幸福だろうなと思うが、何事も遅きに失するなんてことはないわけで。

  • 人類最大の発明である言語に関する特別授業。表題に惹かれて購入したもの。
    印象に残ったものは、、、
    適切な言葉を多く知るには読書を繰り返すこと。
    人生でいちばん大事なものは整理整頓。

    京極夏彦さんの小説は未だに読んだことが無い。今から本屋へ行って読みたくなる一冊があるか探してこよう。

  • ★4.0
    15~19歳の聴講生50名を対象に行われた特別授業の書籍化。1冊を通じてのテーマとなるのは“言葉”で、言葉は常に欠けているものだと説く。確かに、思ったことを巧く言葉に出来なかったり、言葉による擦れ違いは誰にでも起こる出来事。だからこそ、言葉の重さと大切さ、言葉が持つ可能性を改めて感じられた。そして、京極氏の作品からも分かるけれど、本当に言葉というものを大切にされているな、としみじみ思う。また、テーマからは逸れるものの、京極氏の書籍収納術がかなり気になる!とりあえず、私は横積みを無くさなくては…。

  •  二部構成。講義内容の書籍化。文体も非常に読みやすいつくり。
     ざっくり言えば、言語(文章)の大いなる力、その限界、という内容。発する側と受け取る側が別個体である以上、100%の完全相互理解など(多分に期待値を含んだとしても)まやかしであり、両者の間には冥くて深い溝がある。この寂寞とした諦観を踏まえた上で「面白がる」ことこそが、京極流楽しみ方の極意というべきか。
     個人的には、次第に多方面へと京極節を炸裂させている二部の方が、より「らしく」て好ましい。いいぞ、もっと言え!

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく・なつひこ):一九六三年北海道生まれ。九四年『姑獲鳥の夏』でデビュー。同作を含む〈百鬼夜行〉シリーズで人気を博す。九六年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。その後も泉鏡花文学賞、山本周五郎賞、直木三十五賞、柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞を受賞。〈巷説百物語〉シリーズ、〈豆腐小僧〉シリーズなど著書多数。

「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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