国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか (講談社+α新書)

  • 講談社
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感想 : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065175606

作品紹介・あらすじ

「観光立国論」を提唱して訪日外国人観光客激増のきっかけをつくり、「所得倍増論」で最低賃金引き上げによる日本経済再生をとき、「生産性革命」によって日本企業と日本人の働き方の非合理性を指摘した論客が、ついに日本経済低迷の「主犯」に行きついた!
その正体は、「中小企業」!
これまで、日本経済の強みとされてきた零細、中小企業が、いかに生産性を下げているか、完璧なまでに論証する。そこから導かれる日本再生の道筋とは――。
ついに出た、アトキンソン日本論の決定版。

感想・レビュー・書評

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  • なるほど。そうかも。
    デービッド・アトキンソン氏の主張は、納得できることが多いです。

    日本の最低賃金を上げて、生産性を上げ、国力をつけよ!
    さもなくば、今後、自然災害などで膨大な被害が出てきた場合、支援という名目で中国が参入してきて、日本を中国の植民地にしてしまう可能性がある。

    日本の最低賃金を上げないと、生産力が弱まってしまう。
    中小企業を優遇した国策のせいで、バブル崩壊以降の現在の不景気が続いている。
    それ以前から、中小企業を優遇し過ぎているために、生産力、国益が向上していない。

    中小企業を集約させて、大企業にすることで、人材の育成を企業が担っていくべきである。

    中小企業の社長は、最低賃金を上げると倒産する、賃上げに抵抗している。生産性が上がったら、賃金を上げると主張しているが、バブル崩壊以降、生産性が上がっても、内部留保して社長の利益を確保することに注力して、従業員への賃金には還元していないため、現在の生産力低迷が起こっている。なるほど。

    下町ロケットなどのドラマがもてはやされ、技術力の高い中小企業を美化する文化が根強いが、それは妄想。そういう話を日本人は好む傾向にある。資金力のある大企業が、中小企業に劣るというのは、ドラマの中の話。

    そうかも。怖いです。

  • 私は上の世代ほどではないにしろ、「中小企業は日本の宝」という文句を聞いてきているのでこの本は衝撃的だった。著者は経済学に基づき一貫した主張を行い、今までの日本の経済形態を事細かに洗い出していてそのほとんどが頷けるものだった。

  • 1964年の革命 OECD加盟(東京オリンピック)中小企業基本法(63年)
    外資から日本経済を守る 過剰な保護政策 長期的に弱体化させた
    →転換が図れず、「人口減少」のなか、「国力」はジワジワと衰退の一途へ
    アトキンソン氏は思いきった厳しい政策が必要と主張するが、
    日本国内はすでに「ゆでガエル」状態で、耐えられない

    1.苦いクスリを飲む 中小企業の淘汰=統廃合により生産性を高める
    日本は中小企業が行き過ぎて社会主義経済化 生産性より雇用確保
    大企業がカバーしきれず、国の衰退に
    →菅政権の看板戦略 竹中平蔵氏の新自由主義 
     感情的に、政治的に受け入れられにくい 「苦いクスリ」
    マスコミ世論と選挙
     2009年中小企業金融円滑化法 亀井静香大臣
    2.収支責任の明確化 どんぶり勘定 無責任体制
    政治=国家予算が無責任体制 どんぶり勘定
    国、都道府県、市町村の連帯責任は無責任
    財政投融資→Fund→コロナ対策 
    道州制で最終責任・財政チェックを確立しないと破綻へ
    団塊の世代が後期高齢者(2025年)
     郡部と都市部の利権戦争 
     日本の分断 地域間 世代間
    3.国家戦略 個々の経営者の最適は合成の誤謬
    非正規雇用の拡大=人件費の削減→労働分配率の低下
    消費の減少 マクロ経済の停滞 事業の不調 悪循環
    労働者の能力開発がなされず長期的に生産性上がらず
    長期的には失うモノの峰が大きい

  • 本書では、最低賃金を上げれば、中小企業が減ることで生産性をがあがり、人口減少してもGDPや社会保障制度が維持できるとされている。最賃や生産性が上がれば、生活コストも上がって、社会保障費が増加し、結局相殺されるのでは?と思ってしまった。
    社会保障費の上昇をどこまで想定して、主張を展開しているのか?そこだけが見えなかったので、星4つです。
    根拠となるデータが非常にわかりやすい。データを根拠とした筆者の主張に矛盾がない。

  • 日本の生産性が向上しない理由は、行き過ぎた中小企業優遇によるものだと喝破した優良書。OECD加盟・中小企業基本法制定に至る歴史的経緯から、不文律のように語られる中小企業神話が、日本の生産性向上を大きく阻害している根本原因であることを論理的に解説している。タイトルが今一つなのと中国の属国までは眉唾だが、素晴らしい政策提言の書として広く万人に読んでもらいたい良書。中小企業がバタバタと倒産した際の従業員の再雇用までのタイムラグの救済が問題点か。

  • 将来と生産性、非常に説得力のある本でした。

  • 日本の中小企業の付加価値が低いのは、確かに規模が小さいからだと思います。小規模の製造業は確かに設備の稼働率も低いし2次3次受けの賃仕事が多い感じがします。
    元請に強く出れないから安く仕事を請けてしまう。そのなかでつつましく生活している。最近はそんな感じがします。
    高度成長期の頃は羽振りがよかったのに・・・

  • 同じような主張を見たことがあるな、
    と思っていたら「日本人の勝算」と同じ著者だったか。
    根本的な主張は全くブレていない。
    ・人口減少社会で経済成長するには生産性を上げるべし
    ・生産性を上げるには組織の規模を大きくすべし
    ・政治主導で最低賃金を上げ無能経営者の淘汰を促すべし

    ただ本書の方が、より説得力を増しているように感じた。
    前著の「日本人の勝算」に対して返ってきた反論に対して、
    その反論も含めてロジックを組み立てているからかな?
    特に無能(と著者が位置付ける)中小企業経営者に対する指摘が、
    具体的でストレートになっていると感じた。

    私は中小企業に勤める日本人のおっちゃんであり、
    「中小企業神話」を信じたいという立場。
    著者の言葉を借りれば、「中小企業を過大評価する」一人。

    ただ、残念ながら、著者の主張に反論の余地を見出せない。
    思いつく反論が、赤面するほど感情的なものしかない。
    困った。このままでは著者の主張を受け入れるしかない。
    誰かに、ロジカルで筋の通った反論をしてほしい。
    感情的ではなく、ただの揚げ足取りではない反論を。

  • 本書の前著に当たる『日本人の勝算』は素晴らしい本で、私は昨年の私的ベストテンにも選んだほど。

    本書はその8ヶ月後に刊行されたもので、悪い本ではないのだが、私には読む意味があまりなかった。

    というのも、『日本人の勝算』とほとんど重なっている内容だから。
    もちろん細部は違うが、著者の主張の骨子は丸っきり同じなのである。

    同じ著者が同じテーマで書いているのだから、ある程度の重複は致し方ないが、これはちょっと……。
    『日本人の勝算』と本書の担当編集者は、それぞれ頭を抱えたのではないか。「うわ~、内容思いっきりかぶってるやん」と。

    というわけで、どちらか一冊を読めば事足りる。
    私は『日本人の勝算』のほうを推す。

  • 日本の生産性(賃金)が上がらないのは中小企業が多すぎるからだとして、その歴史的背景から現在の制度そして今後の展望を語ります。零細企業経営者としては経営者の連帯保証人制度など言いたいことも多少ありますが、概ね同意せざるを得ない耳の痛いお話です。ある意味、中小企業経営者のエゴが浮き彫りにされているようで、とても考えさせられました。

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著者プロフィール

小西美術工藝社社長
1965年イギリス生まれ。日本在住31年。オックスフォード大学「日本学」専攻。裏千家茶名「宗真」拝受。
1992年ゴールドマン・サックス入社。金融調査室長として日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。2006年に共同出資者となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。2009年創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年同社会長兼社長に就任。2017年から日本政府観光局特別顧問を務める。
『新・日本構造改革論 デービッド・アトキンソン自伝』(飛鳥新社)、『日本人の勝算』『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(山本七平賞、不動産協会賞受賞)『新・生産性立国論』(いずれも東洋経済新報社)など著書多数。2016年に『財界』「経営者賞」、2017年に「日英協会賞」受賞。

「2021年 『「強い日本」をつくる論理思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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