- 本 ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065177150
作品紹介・あらすじ
今日も働く、人類へ
至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
しかし、心理学を趣味とする内匠成果【ないしょうせいか】のもとを訪れた、
世界でほんの一握りの≪就労者≫ナレインが彼女に告げる。
「貴方に≪仕事≫を頼みたい」
彼女に託された≪仕事≫は、突如として機能不全に陥った
タイタンのカウンセリングだった――。
アニメ『バビロン』『HELLO WORLD』で日本を震撼させた
鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の超巨大エンターテイメント。
感想・レビュー・書評
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SFの面白さを伝えるのってなかなか難しい「仕事」だな〜って思うんですよね
難しいというよりめんどくさいか?
そして私はめんどくさいと思うものをわりと早めに放棄する傾向にあるようで
まぁこの物語の面白さはきっと語彙力に優れた誰かが発信してくれるに違いない!と無責任に思うのです
それでも、たまにはこの発信という「仕事」にちょっとチャレンジしてみようかと思う時もあるのです
本書『タイタン』は、中学生の発するような「仕事って何なんですか?」という普遍的な問いをSF的世界観の上で答えてみた物語です
「仕事」って何よ?めちゃくちゃ簡単な話ですが、簡単なものほど実は奥深いテーマだというのは世の常でしてね
〜至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。〜
つまり『タイタン』の世界では「仕事」は人間からタイタンに完全に移譲されていて、その世界でタイタンが”人間の代わりに”「仕事」ってなによ?って思ってくれ
人間と一緒に答えを探す(文字通り)旅にでるあれ?なんか同じこと繰り返してる?w
う〜んとね〜
すごい面白かった!
いや〜いい「仕事」したな〜(「仕事」とは?)
そしてレビューは最初に戻る -
人類はその生活を人工知能タイタンに支えられ、安全で快適な日々を謳歌していた。面倒なことは全てAIがお膳立てし処理してくれるので、仕事という概念は消え、人の活動は全て趣味となった。そんな未来世界で、12あるAI知能拠点のうち、北海道摩周湖畔の第2知能拠点に鎮座するAI・コイオスが不調をきたした。心理学者の内匠成果は、AI施設管理者ナレインの罠にはまり、半ば強引にコイオスのカウンセリングをさせられることとなった。同僚は、ナレイン、電(シェイ)、パックマン博士の3人。
コイオスに人格形成を施して自我を目覚めさせ、対話を始めた内匠は、コイオスが「うつ病」に近い症状を示していることに気づく。「僕は仕事が好きじゃい」。2人のやり取りはやがて、「仕事とはなんなのか」という哲学問答へと深く入っていく。AIの心の成長物語。
後半、身長1000メートルの巨人コイオスが海中をサンフランシスコまで移動する長旅があったり、もう一体のAI巨人フェーベとの壮絶な「対面」シーンがあったり、スペクタクルとしても楽しめた。
AIによって、本作が描くようなユートピアが実現するといいな。 -
近未来の話。人工知能「タイタン」によってコントロールされた人類は、もはや「働く」という概念がなくなるほどに、自由気ままに暮らしていた。
主人公である、内匠成果もその1人で、人工知能が提供する不便の存在しない日々を過ごし、趣味で心理学をやっていた。
しかし、世界にある12基の「タイタン」の1つ「コイオス」の機能が少しずつ低下しかけていたー。
原因を探るべく、内匠は心理学者として、タイタンを管理する「知能拠点管理局」に雇われ、そこでじめて「仕事」を経験することになる。
彼女の仕事は「コイオスをカウンセリングすること」。そして、カウンセリングの結果、タイタンの不調の原因は「うつ病」だった。
うつ病の原因は何かを追いかけながら、少しずつ明らかになる人工知能の裏側だとか、近未来のリアリティさに引き込まれ、本を読むスピードがどんどん速くなっていく感じがしました。
停滞しているようでいて、急に大きく動き出す物語がなんともおもしろくて、やはりSFはいいなぁ、と思う自分がいました。
物語な軸である、「働かない世界」というものがイマイチ想像できなくて、でも本の中ではそんな世界が広がっています。
物理学、心理学など、さまざまな考えを通して見つめてみる、「働く」とは何か?
考えさせられるSF作品でした。 -
仕事とは何かを考えるきっかけをくれるSF小説。
至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
現代人にとっては羨ましい環境だと思います。
でも、仕事ってもっと尊い存在ではないといけないと思わされます。
ほとんどの人が、生活のために仕事をしていると思うけど、考え方が変わると仕事も楽しくなると思います。
この小説を読んで、仕事の捉え方が変われば幸いです。
仕事のことで悩んでいる方やSF好きな方にはいい小説だと思います。 -
2205年。AI技術の大きな進歩により、人は働かなくても、むしろ働かない方が社会が回るようになった時代。
通称「タイタン」と呼ばれるAIを根幹として全てのロボットはタイタンと繋がり、AIとロボットがありとあらゆる仕事を担って人々は仕事から解放された。
主人公の内匠成果(ないしょうせいか)もまた仕事はせず、趣味である心理学の研究を自由にしながら暮らしていた。
ある日成果は、世界でも数少ない就労者であるナイレンという男から仕事を依頼される。
その内容は、世界に12あるタイタンAIのうち、機能低下の症状が現れ始めたタイタン「コイオス」のカウンセリングをしてほしいというものだった。
「仕事」とは何なのか、成果とコイオスは様々な体験を通して考え、話し合っていく。
AIのカウンセリングという未知の題材でありながら、設定や中盤までの物語の流れは地に足がついていて、どうやって考えているのだろうと感心しながら読んでいた。
後半に進むにつれてどんどん壮大な展開になっていき、話についていく難しさは正直あった。
しかしどれだけ壮大な展開になろうと、この物語のテーマはあくまでも「仕事とは何か」という現代的で身近なものであり、SFでありながらその問いについて対話で深めていくのがメインであるのが興味深い。
人間が仕事をしないのが当たり前となった面白い世界観で魅力的な脇役キャラクターもいるのだが、焦点を当てるのは初めて働くことを知った人間成果と初めて働かないことを知ったAIコイオスに徹底している。
読んでいて市井の人々の生活や心情、仕事がないことによる弊害などもっとこの世界のことを広く知りたい、脇役の魅力的なキャラクターのことも知りたいと思ったけれど、読み終えてみると成果とコイオスを通して「仕事とは何か」を考えるという作品の軸が全くブレない潔さが自分には心地よかった。
改めて、物語を通して何を描こうとしているかが明確でブレないことが、自分が惹かれる作品の要素の一つであることを認識できた。
また、作品を通してあるかもしれない未来の世界の設定から普遍的なテーマについて考えるというSFの楽しさも再確認できたように思う。
今後、他の野崎さんの作品も読んでいきたい。 -
〉すべての仕事はタイタンのものだ。そう私達が決めたのだ。
至高のAI「タイタン」が人々の仕事をすべて肩代わりする未来社会で仕事とは何かを問う、ジャンル『野崎まど』。
世界に十二機あるタイタンの一つが機能不全を起こしている。このままでは、AIによる社会維持に完全に依存している人類の滅亡の危機に発展するかも知れない。
人間にはそのアルゴリズムを理解することはできないが、タイタン本人による協力で擬人化インターフェイスを構築して『カウンセリング』をすることで正常にしようという役目に、趣味で心理学に携わる主人公内匠成果【ないしょうせいか】が選ばれる。
仕事のために作られたAIが、仕事が出来なくなってしまった理由とは果たして──
物事の本質を貫き続ける野崎作品は常に刺激的です。
生きることは仕事か
他者が介在するものが仕事?
質量を動かす、という物理学の「仕事」は仕事?
創作は仕事?
一千メートルサイズの巨大ロボットが北海道からシリコンバレーまでアラスカ経由で海岸沿いを徒歩で旅する、というなんとも見ごたえのある状況を背景に、人智を超えた超AIをカウンセリングするわくわく展開が素敵です。
シリコンバレーって五大湖のあたりにあるんだと何故か思い込んでいました。なんでだろ。
超AIというと「AIの遺伝電子」のオラクル級AIが連想されますね。あっちのほうは主体的に人類を導こうとするものでした。タイタンは全ての仕事、インフラも教育・医療・政治・創作…かんがえうるすべてを担う存在で、既にヒトは買い物すらしない。
欲しいものはお店に行って「コレクト」する(欲しいと指差せば家に届く)し、目線を上げれば視界に時刻が浮かび、それを見て満足したと判断されて完璧なタイミングで消える。創作物はすべてをタイタンが作るので、作者名がある=タイタン以前の古典作品と分かる…。
いいなあ、こんな世界。
野崎まどとしては分かりやすいお話だったと思います。あんまり超展開にはならなかった、というかコレどこまで行くんだ…?という不安が今回はなく安心して(というのも変だけど)読めました。楽しかった。 -
舞台は2205年。人類は仕事という概念が存在せず、人間の世話はAIタイタンが全てを行っている。冒頭の設定から脳天を揺さぶられたかのような衝撃を受けた。SFって設定自体が非現実的なのがあって、理解に苦しむのだがこの作品はとても読みやすかった。
この本のメインテーマは「仕事とはなにか?」だと思う。人類は仕事から離れて数百年経っているため、仕事自体の概念がない。一方AIタイタンは人間の世話にうんざりして鬱病になり機能低下を招いている。現代でなら逆であろう関係を上記のように物語を進めることで、仕事とはなにかを偏見なく純粋に向き合っていく。
未来の人間とAIとの蓋然性を感じつつ、良い読後感を感じました。
著者プロフィール
野﨑まどの作品






わいもそこまで手を広げてないんだけど特に浅いSFは日本産頑張ってると思う
浅いって別に悪い意味じゃないよ
わいもそこまで手を広げてないんだけど特に浅いSFは日本産頑張ってると思う
浅いって別に悪い意味じゃないよ
面白さを伝えることがカリスマレビュアーの努めではないですか^_^
カリスマの「仕事=レビュー」を楽...
面白さを伝えることがカリスマレビュアーの努めではないですか^_^
カリスマの「仕事=レビュー」を楽しみにしている人たちが全国各地に大勢まっていますよ!
きっと…w
あれを読んだ後にこの書き出しは控え目に言って天才
あれを読んだ後にこの書き出しは控え目に言って天才