クラシック名曲の条件 (講談社学術文庫)

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  • 本 ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065177945

作品紹介・あらすじ

≪モーツァルトだからといって、ことごとくが「名曲」というわけではない≫

日頃、何となくわかっているつもりでも、よく考えてみると曖昧な点が多い、クラシック界「名曲」の条件。
傑作と呼び名の高いあの曲、シンフォニーは、果たして本当に「名曲」なのか。
「一度聴いたら忘れられない」曲には、どんな仕掛けがあったのか。
時も国も超えて、未来へと愛され続ける、楽曲の力はどこに秘められているのか。

ベートーベン研究家として名高い、文豪ロマン・ロラン(1866~1944)、
フランスの大批評家クロード・ロスタン(1912~70)、ブルックナー研究の大家ロベルト・ハース(1886~1960)や、作曲家クロード・ドビュッシー(1862~1918)、指揮者フルトヴェングラー(1886~1954)などの楽曲的考察を採取。
「第九」「雨だれ」「ニーベルングの指環」など誰もが知る12曲を、創作エピソードや譜面から読み解きます。

名著『クラシックの条件』(1982年 中公新書)の復刊。

内容紹介
ショパンは、情緒に流されて構築の計算を忘れるようなタイプのロマンチストではない。それどころか、計算がまったく表に出ないほどに巧妙な、洗練の極みをいく絶妙のバランス感覚の持ち主なのである。≪雨だれ≫の中間部に認められた「膨張」。この膨張の計算の的確さに気づく時、ショパンの情緒のふくらみが、驚くべき感性の制御のもとにあることが見えてくるのである。――――「≪雨だれ≫の構造」より


名曲とは、「個性と技法の探求vs.公衆の支持」の間のぎりぎりのバランスに成功したものだったのだ。では一体どうして十九世紀にはそれが可能だったのに、二〇世紀に入って――「傑作」は数多あれど――「名曲」が生まれなくなってしまったのか? 「名曲」を十九世紀において可能にしていた存立基盤自体が崩れてしまったのだろうか? 一体名曲を生み出した条件とは何だったんだろう? ――本書の背後には、前衛作曲家としての諸井のこんな切実な問いが隠れている。―――「学術文庫版解説」より

感想・レビュー・書評

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  • 諸井誠ならではの世界観だが、共感できるかは少し微妙。ただクラシックの音楽を楽しむ道標として読むのには良いと思う。最後の第九とマーラーの復活の話が印象的だった

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著者プロフィール

東京音楽学校(現東京藝術大学)作曲科卒業。黛敏郎、入野義朗、柴田南雄らと20世紀音楽研究所を組織し、1953年エリザベート王妃国際音楽コンクール作曲部門に第7位、日本人として初の入賞。1957年から65年にかけて軽井沢、東京、大阪等で移動現代音楽祭を開催、十二音音楽、電子音楽等をいち早く取り入れ、60年代から尺八を中心に各種邦楽器の曲やオーケストラと邦楽器を組み合わせた独自のジャンルを開拓、国際的評価を得た。80年代には積極的に音楽評論活動を行い、日本アルバン・ベルク協会を設立、初代会長を務めた。90年代には埼玉県芸術文化振興財団理事長兼芸術監督としてホール企画を推進、2005年からは鎌倉に転じて長年のテーマであるベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全曲の分析的研究を行い、音楽之友社からの《ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ研究》(全3巻、2010年完成)に結実させた。その後はその手法で、かつてISCM国際現代音楽祭に入選し、レジデンツ・コンポーザーとしてバーデン・バーテンのブラームス・ハウスに滞在したゆかりのブラームスのオーケストラ作品の研究に集中、書き上げた後、逝去された。


「2013年 『ブラームスの協奏曲と交響曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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