- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065178911
作品紹介・あらすじ
負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原因を追究し、清算業務に就いた一群の社員がいました。
負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。
四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。
その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原因を追究し、清算業務に就いた一群の社員がいました。彼らの一部は給与も出ないまま、「しんがり」を買って出て、無一文に近い状態になっています。この中心にいたのは、会社幹部に裏切られながら業務の監査をしていた人間たちで、証券会社では「カネを稼がない、場末の連中」と陰口を叩かれていた人々でした。・・・
山一證券の破綻を、記者会見で号泣した社長の姿とともに記憶している方も多いことでしょう。「社員は悪くありませんから!」という絶叫でした。
社長までが泣く、その大混乱にあって、「しんがり」の彼らはなぜ筋を通そうとしたのでしょうか。逆襲なのでしょうか、意地でしょうか、優しさなのでしょうか。
山一が消えたあとも、彼らは不器用な人生を送っています。しかし、決して不幸ではないと言います。「会社の破綻なんて人生の通過点に過ぎないよ」「潰れたって、何とかなるんだ」と。
一生懸命生きていれば、きっと誰かが見ていてくれる。――そんな彼らのメッセージは、どんな会社が潰れても不思議のない、リスク多き時代を生きる人々の励ましとなるのではないでしょうか。
感想・レビュー・書評
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20年以上前の山一証券自主廃業を締め括ったギョウカンを描いた渾身の作品。登場人物にも、描いた作者にも、心から敬意を評したい。まさに渾身という言葉がピッタリだと思った。本当に色んな意味で、この時代に読んでも変わらない何か突き動かすものを感じた。
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山一證券の破綻を描いただけのようにしか自分は思えません。
範囲が広すぎて焦点が絞れて無いのでは。
題材は面白いのにね。 -
世間を揺るがせた事実が基になっているだけあり読みごたえがあった。粉飾の場合は殆どがなるべくしてなった事象であり当事者に同情の余地はないが、会社の最期を見届け締め括るしんがり達には男気のようなものを感じる。もし自分の会社がこのようになった時に、終身雇用のサラリーマンの運命と割り切るには自分の心が追いつかないと思う。
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経済小説としても読みごたえがあった。その後、粉飾決算で世間を騒がせた多数の企業と同様で、組織がだめになる時って、ある意味共通点があると思う。
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コンプライアンス、コーポレートガバナンスが叫ばれる現在、この当時の先延ばし、隠ぺい、保身、バブルに踊ったというのもあるだろうが、見た目さえ整えれば、何やってもよい、結果が出るなら危ない橋だってわたる、会社のためという名の無責任、本当に過去の悪癖悪習なのか。
「主な登場人物」を見て、どんな劇的な活躍があるのかと期待して読んでいくと、あまりにもあっさり描かれ/描かれていなかったりで、ドラマ性は薄いのだけど、それは現実の世界はそれほど演出過多にできていない、ということなのかもしれない。
それにしても、山一證券は役員多かったんだな。 -
四大証券の一角が破綻! 清算と真相究明に奮闘した社員達。ノンフィクション賞受賞作。