- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065179048
作品紹介・あらすじ
いざ、地形のモンスターをめぐる深海底世界一周の旅へ!
深海底には、陸上とは比較にならない巨大地形がひしめいている。地球を2周する長さの巨大山脈、エベレストを呑み込む深さの海溝、日本列島の数倍もある台地、海底総面積の30%を占める大平原、月の直径よりも長い大断層……どうしてこんなものができたのか?
さあ、キャプテンフジオカがナビゲートする潜水艇「ヴァーチャルブルー」で、「見えない絶景」をめぐる世界一周の旅に出よう。想像を絶する地形のバケモノたちの成り立ちを知れば、地球の「本当の顔」が見えてくる!
おもな内容
第1章 深海底世界一周
第〇景 世界一周のロードマップ
第一景 日本海溝
第二景 深海大平原
第三景 シャツキー海台
第四景 ハワイ諸島ホットスポット
第五景 巨大断裂帯
第六景 東太平洋海膨
第七景 チリ海溝
第八景 大西洋中央海嶺
第九景 中央インド洋海嶺
第十景 坂東深海盆
第2章 深海底巨大地形の謎に挑む
第3章 プレートテクトニクスのはじまり
第4章 冥王代の物語
終 章 深海底と宇宙
感想・レビュー・書評
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海底2万里、日本沈没の小説をより面白く読む為に読んだ。
わからないところが多々あるけれど、ロマンがあって面白い。 -
ブクログ様、献本どうも有り難う御座いました。
『はじめに』からすでに深海底の壮絶な巨大さが伝わってきます。
第1章『深海底世界一周』
第〇景『世界一周のロードマップ』――「しんかい6500」って意外に狭いんですね。
第一景『日本海溝』――「三陸沖の海側斜面でビニール袋やインスタント焼きそばの箱などのゴミが散乱しているのを発見した」に驚愕しましたが、「マネキンの首も発見した」で絶叫!マネキンの首の写真はインパクト大!私も海にゴミを捨てないようにしないと。P.42の(余談ですが宮沢賢治は明治三陸地震の年に生まれ、昭和三陸地震の年に没しています)に、「へーっ、そうなんだ!」日本海溝と地震の関係に書かれていて、地震について考えさせられました。
第四景『ハワイ諸島ホットスポット』――ハワイ島や南米の地震や津波が日本にも大きな影響を及ぼすとは驚きました。
第八景『大西洋中央海嶺』――パンゲアに『天空の城ラピュタ』と、何て壮大なんだ!
第十景『坂東深海盆』――「しんかい2000」の狭さや深海の寒さを忘れる程興奮させる相模トラフの光景って凄いですね。第一景『日本海溝』もそうだけれど、「ゴミが流れてくる」という記述を読んで悲しくなりました。
文章が読み易く、様々な工夫がされていて、初心者の私でも分かり易かったです。地震・火山・生物を研究する為に、深海調査をする重要性を知りました。
今年の夏も暑苦しかったですが、深海底世界一周で涼しく過ごせました。深海のスケールが大きい絶景を観る事で、コロナ疲れを忘れて元気を貰えました。もっとも、「しんかい6500」の内部は三密ですが(笑)。
深海は地球や宇宙の始まりと繋がっていて凄いですね!
『おわりに』で、「しかし、「しんかい6500」は近年、老朽化が懸念されています。」(P.245)と書かれていて、とても心配しています。後継機が出来て、また有人調査されるように願っています。コロナ騒動が治まり、夜明けの鐘が鳴る事を祈るばかりです。 -
深海調査船で51回も世界の深海を目の当たりにした著者がガイドしてくれる世界一周(深海)旅行という仕立て。海溝、海淵、海嶺、海膨。海盆、海台などを一気に周遊できる。
地球の起源に関する知識の積み上げは、地味であり遅々としているものと実感する反面、この半世紀のテクノロジーの進化による科学的知見の積み上げには目を見張るものがある。なんとも矛盾する言い回しであるが、地球科学というのか地質学というのか知的探究の一方、資源の探求という物的欲求とも隣り合わせの分野であるが、著者の知的探究としての研究費の獲得に対する危惧の念も伝わってくる。
本著「冥王代の物語」では著者の仮説が披露されている。怖いもの知らずで持論を展開する著者のこの分野でガッチリ仕事してきた人間味が花を添えている(笑)。 -
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深海探査船の発見と、海底地形を「地球一周の旅」になぞって紹介していく本。発見と観測事実から想像される地球の内部構造、歴史、大気・海洋と地殻の相互作用など、幅広い現象と、事実を事実と認めるのに必要な課題がよどみなく伝えられている。
地球の成り立ちを理解し、理論を打ち立てるための研究課題はかなり多く解決は難しい、見通し良い解決など程遠い。タイムマシンがあれば手っ取り早いかもしれないけれど、冥王代の高温高圧猛毒大気を観測する手段はタイムマシンを作るよりも高いハードルかもしれない。
特に興味深かったのは、トランスフォーム断層のでき方のところ。プレートテクトニクスの説明では、たいてい地殻を「平面」とみなした描像が描かれるのだが、トランスフォーム断層、海嶺が生み出す海底地形を説明するには、地殻を球面とみる必要がある。球としての内部構造、球面としての地殻、その相互作用を幾何・解析的な扱いで研究していけば、数学の理論が生まれるかもしれない。
面白かった。 -
地球科学者の著者による海底地形からみた地球の成り立ちを分かりやすく解説した1冊です。著者は日本が保有する世界有数の深海調査船「しんかい6500」で何度も海底調査に同行し、その体験をもとに本書前半はバーチャルな深海底世界1周という構成になっています。
海で最も深いマリアナ海溝でも深さ1万メートル強。そこに潜った潜水艇は限られ、人類が直接深海底に脚を踏み入れたことは未だありません。宇宙に目を向ければ高度400㎞に国際宇宙ステーションがあり、38万㎞離れた月に人間が降り立ち、無人探査は既に億㎞の距離に到達しています。これほど身近でありながら、なかなかアクセスできない深海に、どのような地形があり、それが地球の成り立ちにいかに関わってきたのかを分かりやすく解説しています。
膨大な量の海水に遮られ、人類が目にすることはできませんが、海中に存在する海嶺(海底山脈)、海溝(深い谷)、海台(海中の広大な大地)は、地上に存在する山脈の代表ヒマラヤ山脈や、渓谷の代表グランドキャニオン、台地ではデカン高原などとは比較にならないほど大規模です。もしも海水がなければ、どれほどダイナミックな地形が現れるのか、著者が熱く語っています。
宇宙開発は近年、さまざまな成果が紹介され、それなりに予算が確保されているようですが、日本の深海調査は「しんかい6500」の竣工が1981年、深海掘削船の「ちきゅう」は2005年。「しんかい6500」はそろそろ老巧化も問題で、後継機の予算が確保されるのかどうか、気になるところです。「しんかい6500」の退役後、海外の深海調査船を借りなければ南海トラフ巨大地震の調査など日本近海での深海調査ができない、などと言う事態に陥らないように、海に囲まれた海洋国家だからこそ、ちゃんと予算を付けてほしいと思います。 -
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