免疫力を強くする 最新科学が語るワクチンと免疫のしくみ (ブルーバックス)
- 講談社 (2019年12月18日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065181775
作品紹介・あらすじ
免疫力を高める方法については、さまざまな情報が氾濫しているが、その大部分はエビデンスに欠けて信頼できないものが多い。たとえば、深刻な副作用被害をもたらしているとされている「ワクチン」。しかし、ワクチンは、人類の歴史の中では感染症予防に非常に大きな役割を果たし、医学的には最も信頼できる免疫強化法であると評価されている。しかし、我が国では、ワクチンの副作用の恐怖を過剰に煽る言説が支持を集めて、予防接種を敬遠する人が少なくない。しかし、こうした主張の多くは免疫学的に誤った理解に基づくものが多く、そのリスクを実態よりも過剰に強調しているものが多い。免疫学者として長年にわたり基礎研究を続けてきた著者は、こうした言説に惑わされると、さまざまな病原体の感染リスクを高め、健康を損なう危険があると警告する。そもそも免疫力を科学的に測定することは可能なのか? また免疫力を科学的に高める方法は存在するのか? がんや高血圧などの病気をワクチンで治療することが可能のか、など数多くの疑問に対して、科学的に誠実に解説する。インフルエンザや風邪が流行する前に読んでおきたい「読むワクチン」というべき作品である。
大阪大学特任教授。一九四七年長野県生まれ。京都大学医学部卒業、オーストラリア国立大学大学院博士課程修了。金沢医科大学血液免疫内科、スイス・バーゼル免疫学研究所、東京都臨床医学総合研究所を経て、大阪大学医学部教授、同・医学研究科教授を歴任。医学博士・PhD。著書に『分子生物学・免疫学キーワード辞典』(医学書院、共著)、『標準免疫学』(医学書院、共著)、ブルーバックス『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か』など。
第1章 病原体の侵入・拡散を防ぐからだのしくみ
第2章 ワクチンとはなにか
第3章 ワクチンを接種する前に知っておきたいこと
第4章 感染症別ーワクチンの現状と問題点
第5章 免疫記憶とはなにか?
第6章 がん免疫療法は「不治の病」を克服できるのか?
第7章 「夢の新型ワクチン」研究最前線
第8章 「免疫力を強くする」のウソ・ホント
感想・レビュー・書評
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免疫学者がワクチンと免疫の仕組みについてわかりやすく解説した本。
著者がもっとも自信を持っていえる科学的な免疫力増強法は、ワクチン摂取だそうで、巷で言われているような免疫力を高める健康食品やサプリはほとんど存在しないが、血液循環やリンパ循環をよくすることで免疫力を高められるとのこと。そのためには、ストレスをかけないで、ウォーキングやストレッチ、ヨガ、マッサージなどをするのもよいらしい。
科学的な証拠に基づいての説明で、とても参考になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
免疫学の視点で新型コロナウィルスを眺めるために読んでみました。
人間の身体はじつによくできていて、自然免疫系、獲得免疫系、リンパ系と外部からの細菌、ウィルスの侵入を何段階にも防御するシステムが備わっている。
それでも、時として人体に侵入して悪影響を与え、病や死に至らせるウィルスが出現する。そんな時には、人類の叡智が貢献する。それがワクチンだ。
このワクチンはうえにあげた人間の免疫システムに働きかけて不完全ながら防御体制を作り上げる。つまり、抗体を作り、二度目以降の細菌、ウィルスの侵入に備える。
そしてこの感染経験やワクチンが効力を発揮するには免疫力が強くなくてはならない。
だが、近年の生活習慣病を始めとする多くの疾患は免疫が過剰反応して、外敵から身体を守るはずの免疫細胞が逆に身体を攻撃する(サイトカイン・ストーム)を起こすことも多くなっている。(今回の新型コロナウィルスはまさにその身体の中でその反応を起こさせている)
だから、一概に免疫力を高める“強化”という一方向への意識ではなく、バランスによる免疫機能が適正に働く身体を作り上げるための日頃の生活習慣が何より大事になってくる。
以上のようなことが図入りでわかり易く書かれているので、新型コロナウィルスに限らず、今後出現する新たなウィルスに対処するときに役に立つ。
それらと対峙する私たち人間側のシステムを知っておくことは、闇雲に恐れたり、錯綜する情報に右往左往せずに冷静な行動をとる知識の土台となる。
図解がわかり易い。言葉も素人でもわかり易いレベルで書かれている。(家族の手作り感が熱意とともに伝わる)免疫学の権威の宮坂教授の本。
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本書の前書きでも触れていますが、この本は新型コロナウイルスのパンデミック直前に出版された書籍です。ゆえに、新型コロナウイルスに関する直接的な記述はありませんが、ウイルス感染症への予防や対策について学べる書籍になっています。
身体の持つ免疫機能、ワクチンの仕組み、感染症の種類やその特徴など、知っておくべき感染症に関する基礎知識を学べる良書だと思います。 -
病原体(細菌、ウイルス)とは何か、あるいは免疫、ワクチンといったものの基本的なメカニズムが学べる良著です。
また、当たり前のようだが、大事なこととして「免疫力を高める上で最も効果的な手法がワクチン接種だ」ということを著者は繰り返している。世の中にはワクチンは打たないほうがいいという陰謀論めいた意見や、免疫力を高める健康食品やサプリメントのようなインチキ商品も多く出回っているが、いずれも科学的な根拠に乏しい。(本著内ではワクチン否定派を名指しで論破している)
2021年現在、新型コロナウイルスが猛威を振るう中でもまた、ワクチンの安全性についての疑問や、一部陰謀論のようなものが出回っているが、そういったデマに騙されて命を危険にさらしてしまうことがないためにも正しい知識は重要。今回初めて実用化されるDNA/RNAワクチンに関しても触れられていて大変興味深い(本作出版時点ではまだDNAワクチンは開発中の位置づけであり、日々技術が進歩していることがわかる)。 -
最後の数ページで「健康的な生活をすること」が最も免疫力を高める、と締めくくっていて笑った。が。それまでに散々医学的・科学的な観点で原理の説明が続いているので、納得感が高い。良い読書だった。
・ワクチンを接種すること。
・血液循環やリンパ循環をよくすること。
・ストレスも良いもんだと捉えること。
こう書くとなんだかなーという感じだが、それが大事、ということ。
にしても「免疫力」とぐぐると、8割が食事・1割が運動・1割がその他、という感じ。やはり食は深い。良くも悪くも。とんでもが紛れ込みやすいという意味でも。 -
正直、私にはちょっと難しい内容でしたが、免疫とか、ワクチンとかについてなんとなく理解が深まったと思います。ワクチンは受けようと思いました。
著者プロフィール
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