歴史とは靴である 17歳の特別教室

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 162
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065181898

作品紹介・あらすじ

ところで、歴史は、しばしば好き嫌いで論じられます。
 ぼくもよく聞かれます。
「先生、歴史が好きですか?」
「先生、歴史上の好きな人物は?」
 などと言われます。
「うちのお父さん、歴史が好きなんです。先生の本もよく読んでます」
 とか言われることもあります。
 好き嫌いで論じられるものは嗜好品です。酒やタバコと同じです。
 はたして歴史学は、好きか嫌いかで選べるものでしょうか。
 どうもちがう気がします。
 歴史的にものを考えると、前より安全に世のなかが歩けます。歴史はむしろ実用品であって、靴に近いものではないか。ぼくはそんなふうに考えます。
(中略)
 なにごとも歴史的な考えかたは大切になります。常日ごろから、時間と空間を飛び越えて、似たようなことはないかなと考えながら暮らすと成功パターンも知れ、危険が避けられ、成功しやすいのです。(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • 「この表紙、なんか見たことある気がする」
    と思ったら、佐藤優さんに同じような本がありました。
    講談社の「17歳の特別教室」シリーズで、表紙は黄色(人生のイエローページ)、寄藤文平さんによる似顔絵。

    作家・哲学者・宗教家など、個性豊かな先生たちが高校生を相手に行う「特別授業」を書籍化したもの。
    この本は磯田さんが昨年6月鎌倉女学院高校で行った授業をもとにしています。

    もともとTV歴史番組を見ていて「磯田さんは他の教授や学者よりも歴史大好き」というのが伝わってきていました。
    思った通りの、子どもの頃からのエピソードに笑ってしまいました。

    〈目先の国会での5分とか10分の答弁をやり過ごせたらいいやみたいなそんな発想、減点されないよう人の顔色をうかがう忖度が蔓延しているとまずいのです。そうならないためには、まず教養です。
    だからみなさんは、ほんものの教養人になってください。ぜひ、なる!そう思っていないと教養は身につきません、ホントに。
    ぼくも学問にはげみ、世のなかのことを考えつづけていきたいと思っております。〉

  • 女子高での講演の内容をまとめたもののようです。
    対象者が生徒なので、とても噛み砕いた内容になっています。
    深く知るという目的にはあわないかもしれませんが、入門編にはとてもおすすめ。
    歴史に興味がない方でも楽しく読めるかと。

  • 課題図書にしてほしいくらい。
    私29歳だけど、だからこそ言葉がたくさんささった。
    すごく読みやすくてふんふん、となる。
    たくさん本を読もうと思った。

  • ものすごく面白かった。
    娘が中学生くらいになったら是非読んでもらいたい。

    歴史だけでなく様々な事に詳しく、物事を色んな角度から見れる、だから話が面白い。
    こういう人を教養がある、というんだろう。

    こういう本に出会えると
    本が好きで良かったなーと思う。

  • [NDC] 201.04
    [情報入手先]
    [テーマ] でーれーBOOKS2021/エントリー作品

  • 結論は歴史は分からない。本当に重要な、言えない事実は文書に残さないもんね笑。司馬遼太郎も浅田次郎も好きな私は、エンターテインメントとして歴史を楽しむので十分。まさに教養とはムダの積み重ね。たくさん本を読み始めて、全然違う方向から一つのエピソードがつながりだした。

  • 12p

    人類は、他の個体が経験したものを、空間や時間を飛び越して、人類共有の財産にして、次の行動が学習されていって、もうちょっとましに生きられる、もしくは愚かな考えをも伝えて、差別や偏見を後代に残したりする。

  • 【「教養」にはいろいろな定義があると思いますが、「ムダの積み重ね」じゃないでしょうか。「年季の入ったムダ」と言ってもいい】(文中より引用)

    歴史家の磯田道史が高校生を対象に行った歴史に関する授業の様子を収録した作品。歴史を学ぶことの意義や今求められる教養、そして日本史の面白さについて縦横無尽に語りかけてくれる内容です。

    超個人的な感想になりますが、やっぱり自分は磯田氏の歴史への触れ合い方やその説き方が大好きだなと感じた一冊。磯田氏自身も歴史が好きで好きで堪らない様子が行間から滲み出てくるようでした。

    今後も新刊が出るたびに手に取るんだろうなと☆5つ

  • なぜ学ぶのか。

  • ・ぼくもここに苦しんでいます。史実を史料できちっと吟味すると同時に、一般の人が読んでもおもしろいものを世に問いたいのです。なかなか難しいのですが、その思いで『武士の家計簿』や『無私の日本人』(文春文庫)を書きました。さいわい二作とも映画になり、読者や観客ができて、広く史実を紹介できたものの、これからも模索は続くと思っています。

    ・日本人の世界人口における割合は、1700年ごろには5パーセントありました。2010年は10分の1の比率になります。世界の人口において、いま、日本人は200人に1人、赤穂浪士の討ち入りの江戸時代には、世界で20人に1人が日本人だったのに、どんどん小さくなっている。
     GDPだってそう。ぼくが若いころ、日本のGDPは中国よりももちろん大きかったのです。一人あたりにすると、10倍あったんです。だけど、今後、米・中は日本の7~8倍の経済規模になる予測にたいして、日本は伸びが低いので、おそらくいまから30年後の2050年ーみなさんがちょうどいまのぼくくらいの年齢になるときですよーにはインドと比べても4分の1の経済規模しかない日本になるとされています。このデータは世界銀行系のシンクタンクの予測ですから、そうそう外れないでしょう。

    ・むこうが完全に正しいとかはまったく思いませんでした。たとえば韓国の教科書は自分の時代を進ませるために、近世がものすごく早く始まったようにして、「われわれは日本より勝っている」みたいなことをいうのです。当時の識字率でいったら日本の方がもっと高く、朝鮮はかなり工業化レベルでは後れていました。奇妙な教科書だとも思いました。しかし、この人たちは日本とはちがう、こういう考えかたをもっているのだ、その違いがわかることが、勉強です。

    ・教養とはなにかということを、ぼくはよく考えるのです。「教養」にはいろいろな定義があると思いますが、「ムダの積み重ね」じゃないでしょうか。「年季の入ったムダ」と言ってもいい。
     たとえばフランス語とか英語とか勉強してみたけど忘れましたということがあります。
     忘れるのにどうしてやるのだろうと思う人には、「バカを言っちゃいけない」と言いたい。一回覚えて忘れた状態を教養という、最初から触れたことがない人間とでは雲泥のちがい・・・・と内田百閒は言いました。ぼくが大好きな随筆家です。
     そうなんです、なんとなく触れたことがある感じが人間にとっては大事です。たとえば落語を聴いたって、ものの役には立ちそうにないけれど、人間とはどういうものなのかを考えるときにきわめて大事です。バカバカしいような話のなかに本質があります。だからムダが大事にできるようでなければいけないと思いますね。

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著者プロフィール

磯田道史(いそだ・みちふみ)
1970年、岡山市生まれ。歴史家。国際日本文化研究センター准教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。『武士の家計簿』(新潮新書)で新潮ドキュメント賞、『天災から日本史を読みなおす』(中公新書)で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。『近世大名家臣団の社会構造』(文春学藝ライブラリー)、『無私の日本人』(文春文庫)『殿様の通信簿』(新潮文庫)『日本史の内幕』(中公新書)ほか著書多数。該博な知識と親しみやすい語り口で、テレビでも多くの視聴者に歴史の意味と愉しさを伝えている。


「2020年 『歴史とは靴である 17歳の特別教室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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