法廷遊戯

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065184479

作品紹介・あらすじ

第62回メフィスト賞、満場一致で受賞
森博嗣に憧れた天才司法修習生が描く、感動と衝撃の大傑作ミステリー!

<あらすじ>
法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義(くがきよよし)と織本美鈴(おりもとみれい)。
二人の“過去”を告発する差出人不明の手紙をきっかけに、
彼らの周辺で不可解な事件が続く。
清義が相談を持ち掛けたのは、
異端の天才ロースクール生・結城馨(ゆうきかおる)。
真相を追う三人だったが、それぞれの道は思わぬ方向に分岐して――?
2020年5月、エンタメ界に激震をもたらす長編法廷ミステリー!

<担当者コメント>
著者の五十嵐律人さんは若き現役司法修習生です。応募作を手にしたとき、多忙であろうそんな人が、どうして小説を?と不思議でしたが、読後、あまりの面白さと新人離れした書きっぷりに、絶対にこの小説を刊行したい!と興奮しました。小説と法律、どちらに対しても確かな知識と情熱を持ち合わせた稀有な作家に、ぜひご注目ください!

感想・レビュー・書評

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  • 『冤罪』とは『無罪』とは。

    1章はロースクールでの出来事、
    2章ではロースクールを経て弁護士となった主人公の物語。
    この2章を通じて冤罪と無罪について語られます。

    主な主人公は清義と美玲。
    この2人を軸にストーリーが進みますが
    なんだか未知な話を横でひたすら聞かされている感じ(^^;
    くどい言い回しも多いしもう少しコンパクトに聞かせてくれないかな〜と。。。笑

    裁かれるほどの罪を犯すはずがないと思い込み
    日々を過ごしている人が殆どのはずなので
    無縁とも思われる言葉の『冤罪』と『無罪』。
    ひたすら語られてもあまりピンとこないんです。
    日常会話でも話題にはあがりませんよねぇ。
    そんな意味でも他人事のようで入り込めなかった。。

    話がどこに向かっているのか分からなかったり
    同じ内容を繰り返したり
    法律素人には割愛しても良いような内容も多いし
    気になる部分がチラホラ。
    ミステリ好きとしては初っ端で犯人とオチは見えました。。

    冤罪と無罪。
    深いんでしょうが法律の勉強はしたことないし
    語りについていけるほど知識も関心もないので
    読むのがキツかった〜涙

    作者は本書がデビュー作ということで。
    2020年に刊行されものですが当時かなり話題になっていたそうです。
    デビュー作が故にここまで話題になったのかな?
    というのが読了後の感想ですね。

  • 初読みキャンペーンー!
    本屋さんの映像化の棚で、めちゃくちゃ推していたから買ってみた!

    こちらの作家さんは、1990年生まれ?
    現役司法修習生が描く驚愕のミステリー。法廷があぶりだす不合理な人間の罪と罰。
    ※2020年12月時点の紹介

    法律の面白さを伝えたいという作者の思いがあったようです。内容は法曹の道を志す3人の学生がメインのお話。それぞれの過去が辛い(涙)
    リーガルミステリーは、結構好きな方ですが、かなり本格的な作風というか、
    中山七里先生の御子柴さんとかとは違います!笑
    専門用語や、実際の法律も学べたり、気付きがあった作品。なので集中して読まないと何の話の事かわからんくなります(^^;;

    最後の方にいけばいくほど面白くなるスピード感を感じられ、1日で読了(´-`).。oO
    次は少しほんわか系を挟もうかなー。

  • 恐るべき真相に驚愕せよ! 模擬法廷でのゲームのはずが、どうしてこうなった… 有罪か無罪か #法廷遊戯

    ロースクールに通う学生たちの間では模擬裁判でのゲームが行われていた。主人公は大学院で過去の悪行を暴露されてしまい、誰の仕業か模擬法廷が開かれる。その後も主人公の周辺で奇妙な事件が続き、ついには大学の模擬法廷での殺人現場に立ち会ってしまう…

    法廷ミステリーというより、法律学をベースにしたミステリーですね。現役司法修習生の時にメフィスト賞受賞ということで、作家の皆さんはやっぱり優秀だなぁ

    無辜ゲームという名の仮想法廷ゲームを中心にお話が進む、なんともワクワクが止まらない設定。途中までどういう背景のもと事件に至ったのか全然わからなかったのですが、最後には気持ち良いほどのガッテンが待ち受けます。すばらしいミステリーでした。

    若い学生たちのキャラクターや心情も良く描けていて、感情移入もしやすくGOOD!難しそうな法律用語や裁判に関することもわかりやすく説明ができていて、全く問題なしです。

    ただ少し残念な点としては、この小説はどこに向かっている話なのかが分かりづらい点ですかね。無辜ゲームを中心に話が進むのでしかたないかなーとも思うのですが、構成の組み立て具合で読者の理解度もだいぶ変わったのではとも思いました。

    とはいえ難しいテーマ性にもかかわらず、物語としてもミステリーとしても丁寧に良くまとまっており、デビュー作とは思えない良作でした。次回作も是非読んでみたいと思います!

  • メフィスト賞受賞作かつ数々のミステリーランキングで上位に入っており、読むのを楽しみにしていた作品。

    読了後、一人でこの面白さを抱えるにはもったいない!誰かと共有したい!と思うほどの面白さだった!

    事件が複雑に絡まり合っているとか、登場人物が多いとかではないのに、過去や秘密という巧妙な仕掛け・伏線がいくつも張り巡らされていて、これでもかというくらいミステリーの面白さを味わえた。判決宣告期日(ラスト20ページくらい)のところでも、もう一山あるって、どれだけ楽しませてくれるの?!って最後までワクワクがとまらなかった。

    清義、美鈴、馨それぞれの誠実さがとても魅力的で、権田と佐沼のキャラクターも愛着が湧いた。

    読了後に、一体作者はどんな人なのだろう?他の作品は?と思い調べたら、まさかの東北大卒(大先輩)ではないか!しかもデビュー作…!デビュー作でこんなに面白い作品を…すごすぎる。
    法学部卒かつ現役司法修習生とのことで、法に関する専門知識をベースに論理展開されているのは納得だけれど、それを素人でも楽しめる表現、構成、文量で書き上げるって本当にすごすぎる。

    伊坂幸太郎さんに続いて今後ずっと推し続けます。

    ちなみに11月に映画公開らしい。
    私はネタバレはOKだけれど、実写化でキャストを知ってしまうのはどうしても嫌なので、検索したのが読了後で本当に良かった!!!
    同じ同じ!という人は急いで原作読みましょう!

  • 法律・裁判を交えながらミステリーが展開されて面白かったです。無辜ゲームの問題点についてなど、やや論点が深くなってくると、きちんと理解できてるか心配でした。なんとか読めましたが、前のページに戻ってもう1回読んでみたり、頭の中を整理したり、忙しかった(;´∀`)

    『社会の仕組みの根底には法律がある。』
    だからこの本を読みたいと思ったし、しっかり読めて良かったと思います!

    2024.1

  • 街頭インタビューで「無辜」を読めて意味を知っているかを質問したら、果たして何%の正解率になるだろうか。

    本作は法律用語やその運用、解釈などが多く出てくるため、「無辜」を読めない人は本作を敬遠する方が良いかもしれない。上質なエンタテインメントに仕上げているが、それほど本作は深く思いテーマを扱っている。

    「無謬」という単語がある。これは本作には一度も登場しないが、内容を考える上では重要な言葉だと思っている。

    さて、本作の中身だが、「無辜の制裁」という聞き慣れない言葉がこの作品の大きなテーマの一つだ。それと対をなす「無辜の救済」については、日本では極めて細い道ではあるが再審請求制度などがある。しかし制裁に関してはほぼ存在しないと言っていい。無辜の人を犯罪者と裁いた判事への制裁はあるかといえば、そこには無謬性の原則があり、誤った裁きを行った者への罰則制度はない。神ならぬ人間が裁くためには無謬性を前提としなければ成立しないからだ。

    作品の最後にこういう文章がある。
    「正当な報いとは、誰が決めるべきものなのだろう。司法権の担い手である裁判官か、あるいは、罪を犯した者自身か。」

    本作では罪を犯した者自身によって報いを受ける決断をするが、現実的にはそれはあり得ない。正しい報いを決めるのは裁判官であり、だからこそ無謬性の前提に恥じないよう、己の全身全霊をかけた審判が求められるのだと思う。

  • 小説家と弁護士、二足のわらじという経歴を持つ作家さん。今回初読み。
    非常に頭が良い人が書いたんだろうな~と感じる文章。法律的話ということもあるが、文章の端々に知性がにじみ出ている感じがした。故に少し読みづらいなと思う部分もあったり。
    一言でストーリーを伝えるのは難しいが、強いて言うなら「守るべき正義とは何か?」と言ったところだろうか。
    主な登場人物は3人いるわけだが、それぞれが暗い過去を持っており、何の因果か同じロースクールで出会うことになる。そこで起きる"無辜(むこ)ゲーム"という謎のゲーム。このゲームが伏線となり引き起こされる殺人事件。
    この殺人事件と主な登場人物3人の暗い過去とが真相に近づくに連れて、点と点が繋がり線になる。あまり気持ちの良いハッピーエンドではない。スッキリしない感じは個人的にはした。まさに最近映画化されたということで、いつか見てみようと思う。

  • 第一部の無辜ゲームが、法律用語を多用してそれらしく描かれているけど、ゲーム自体の意味が不明。
    理屈っぽく回りくどい表現に辟易し、読むのやめようかと思ったほど。
    ただ、我慢して読み続けたら、第二部の法廷遊戯は、俄然読みやすくはなった。

    最初から、なんかセイギも美鈴もあまり魅力的に感じられないので感情移入できない。
    馨の父親である刑事に痴漢の罪を着せ、その上階段から突き落とすなんて、酷すぎる主人公たちだな。

    それにしても、セイギが父親を突き落とすのを馨が目撃したのなら、その時に告発しなかったのが理解できないし、父親もなんで無実を訴えないの?と思ってしまう。ペンカメラを仕込んだのもわかるだろうし、画像データを解析すれば、この父が痴漢犯人ではないなんてすぐわかりそうなもんなのに。
    そもそも、現場を目撃した後、馨はどう行動したのかな?逃げた?でも逃げる意味がわからないよね。
    父親が突き落とされたのに!

    この小説は、弁護士である作者が専門家として詳しい法律知識を駆使して、他の作家では書けない視点から推理小説を書いたということは評価できるが、納得できないことだらけで、話に没入できなかった。

    「冤罪の再審請求」がポイントになってるが、この再審請求という法律の規定のみに頼った話だったが、今一つ内容が薄く、驚きがなかった。

  •  帯には『絶賛の嵐!』『感動と衝撃の傑作ミステリー』とある。確かに志向が凝らされているのは間違いなく、だが果たして感動は・・・?

     ロースクールに通う久我清義はこの物語の主人公だ。清義が通うロースクールでは、『無辜ゲーム』なるものが学生たちの間で執り行われている。
     無辜ゲームとは、すなわち裁判ゲームのようなもの。常に審判者を仰せ付かるのは、大学に在籍しながら司法試験に合格した結城馨だ。

     この物語は、2章に分かれており、第1章は学生たちの無辜ゲームがメインとなり物語が展開していく。

     第1章では気になる事件が起こる。清義と同じ施設で育った美鈴が嫌がらせを受ける事件が発生。どうやらアパートの上の階の者に盗聴されていたようだ。清義が馨の助言を受け、犯人を追い詰めたが、盗聴して嫌がらせをしていたのは依頼者に雇われた『何でも屋』。依頼者は不明のまま第2章へと進む。

     第2章。弁護士となった清義。馨に無辜ゲームをやるからと大学に呼び出される。そこで目にしたのは死体となった馨と血だらけの美鈴。状況は美鈴が馨を殺したことを示しているが、『殺していない』と言う美鈴の言葉を信じ、美鈴の弁護を引き受けた清義だが・・・。

     物語は清義と美鈴がメインとなって進むため、どうしても清義側に立ちがちだが、清義と美鈴が過去に起こした事件はどうしても許し難い。

     馨もそういう事件が起こったのに、そんな態度でいられたのか。そして馨が導き出したかった結論にも納得できない部分が。

     構成や発想、伏線などのテクニカルな面には脱帽だが、いざ、感情の面となると『?』な部分が否めなかった。

     それでも今後に大いに期待できる作家であることに間違いはないと思う。

  • 初読みの作家さん。
    本書がデビュー作らしい。

    たまたま少し前に読んだ『正体』(染井為人著)の内容であるところの「死者の再審請求」の補足説明にもなったし、私が「現実社会では検察側が誤った起訴だったと認めるわけがない」と考えたことの裏付けにもなった。
    そこはやはり本書の著者が司法試験合格者故だろう。

    そんな頭脳明晰な著者に対して凡人の私が異議申し立てなどできるはずもないし、太刀打ちできないのだが、腑に落ちない点がいくつかある。

    まずは小説の書き方としての不満が2点。
    1つは、第1部内で行間を空けずに急に場面展開が行われていたことと、誰のセリフなのかわかりにくかった点。
    もう1つは、305ページで「セイギ」と発言したのは馨の方なのに、馨が美鈴に対して「二人のときは清義って呼んでるのに、よく上手に使い分けられるね」と言っている点。
    直前で「セイギ」と発したのは自分(=馨)じゃないの?
    大丈夫か?著者…。
    もし違うというなら、数ページ前の続きとなるこの会話の、誰がどのセリフを言っているのかがそもそもわかりにくいぞってことになる。
    (第4刷発行)

    あとは権田さんの戸籍の件。
    「(両親の)離婚が成立すれば、娘や孫が権田の戸籍を目にする可能性は低くなる。死亡したと思っている人間の戸籍を、わざわざ調べたりはしないだろう」(185ページ)とある。
    私は離婚した人の戸籍がどうなっているのかを見たことがないからわからないのだが、普通に考えたらこの場合、お母さんがお父さんの戸籍から出ていくだけで、娘さんが結婚する時くらいには、死んだと聞かされていたお父さん死んでないじゃん!って知るところだと思うのだけど…。
    この辺は素人の私が間違えているかもしれないが、お母さんが娘も引き連れて戸籍を変えることができるのかどうかわからんし、元々戸籍筆頭者が母で父の方が抜けたのか?ってこともあるかもしれないが、まあそれは稀だろうと思う。
    本書ではそのような説明も無し。

    本書は、とにかく主人公の2人(男女ペア)がクソ。
    それと、2人がアパートの郵便受けを見張っていたのにいつの間にか投函されていたということは犯人はどこに?ってことに、凡人の読者(私)でも気付くのに、頭の良いはずのこの2人が気付かないって…。

    あと、表紙のリンドウはわかるけど、この鳥は何?

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著者プロフィール

1990年岩手県生まれ。東北大学法学部卒業、同大学法科大学院修了。弁護士(ベリーベスト法律事務所、第一東京弁護士会)。本書で第62回メフィスト賞を受賞し、デビュー。他の著書に、『不可逆少年』『原因において自由な物語』『六法推理』『幻告』がある。

「2023年 『法廷遊戯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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