カラー図解 分子レベルで見た薬の働き なぜ効くのか? どのように病気を治すのか? (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065187326

作品紹介・あらすじ

あなたが飲んだ薬が、体のなかでなにをしているのか、知っていますか?
薬を理解するために必須の50種類の医薬分子のメカニズムを網羅!

・大村智博士、本庶佑博士がノーベル賞を受けた「イベルメクチン」「オプジーボ」とはどんな薬なのか?
・薬が効かない「耐性菌」はどのように生まれるのか?
・創薬はある種のギャンブル!? 新薬はなぜ高額になるのか?
・人類はインフルエンザ・ウイルスとの闘いに勝利できるのか?
・精神の病気は薬で治療できるのか?
・HIVプロテアーゼ阻害薬とはなにか?

2009年刊行の『分子レベルで見た薬の働き 第2版』の図をフルカラー化し、「免疫チェックポイント阻害薬」や「薬剤耐性」など、この10年の新しい話題を盛り込んだ最新版。

【目次】
第1章 薬はどのように効くか
 1-1 薬は生命活動に関与する分子に働く
 1-2 分子の世界での薬の働き
 1-3 タンパク質の立体構造と働きとの関係
 1-4 核酸の構造と働きとの関係
 1-5 薬と生体高分子の間に働く力
第2章 魔法の弾丸を求めて
 2-1 抗菌物質の歴史
 2-2 動物とバクテリアの細胞の違い
 2-3 どのような仕組みで抗菌物質はバクテリアを殺すのか
 2-4 サルファ薬の効き方
 2-5 ペニシリン
 2-6 バクテリアのタンパク質合成を阻害する抗菌薬
 2-7 バクテリアとの果てしなき闘い
 2-8 バクテリア以外の寄生生物に対する薬
第3章 がんとの闘い
 3-1 分子レベルで見たがん
 3-2 DNAに直接作用する抗がん薬
 3-3 がん細胞に必須のタンパク質に作用する抗がん薬
 3-4 抗体でがんを治す
 3-5 免疫チェックポイント阻害薬
 3-6 がんとの闘いはまだ終わっていない
第4章 見えない敵
 4-1 見えない敵とは
 4-2 インフルエンザ
 4-3 エイズと闘う薬たち
 4-4 エボラ出血熱
第5章 生活習慣病の治療
 5-1 血圧を下げる
 5-2 血の塊を溶かす薬
 5-3 糖尿病を治す
 5-4 レステロールを下げる
 5-5 骨粗鬆症を治す
第6章 免疫反応と炎症反応
 6-1 免疫反応をコントロールする
 6-2 自己免疫力をパワーアップする薬
 6-3 炎症を止める
 6-4 胃潰瘍の薬
第7章 脳や精神の病気の治療
 7-1 アルツハイマー型認知症
 7-2 パーキンソン病の治療薬
 7-3 うつ病に対する薬

感想・レビュー・書評

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  • 生命科学の土台には化学があって、化学の土台には物理学があるってことがよく分かる。そんなミクロスケールで薬の働きを解説してくれる本。

    CGで描かれたモジャモジャした立体構造のタンパク質があって、そいつらには大抵くぼんだような箇所があったりする。そこの形にピタリとはまって、なおかつタンパク質側のその箇所と引っ張り合うような分子構造をもった分子が薬として活躍する。ちょっと工作みたいだ。

  • 「薬はなぜ効くのか」。例えばタミフルはなぜインフルエンザに効くのか、オプジーボはなぜ肺がんに効くのか?
    ぼんやりとした理屈は聞いたことある人も多いと思います「タミフルはインフルエンザウイルスが増えて細胞から出ていくときに必要な酵素ノイラミニダーゼを阻害する」であったり「オプジーボはがん細胞が免疫細胞に敵じゃないというシグナルを伝えるPD-1レセプターを阻害する」というレベルの説明はネットで検索すればたちどころに知ることができます。では、その「阻害する」という薬の働きは実際どうやって起こるの?という一歩深い世界まで連れていってくれるのが本書「分子レベルで見た 薬の働き」。
    分子レベルというと亀の甲(ベンゼン環みたいな)だとか化学式が出てきてとてもとても読む気になれない、というイメージを持つ人も多いと思います。確かにベンゼン環や化学式も出てくるのですが、この本の最大のポイントは分子レベルの立体構造グラフィックスがふんだんに取り入れられていること。化学式は流し読みしても立体構造グラフィックスを見れば「薬の分子がこんなピンポイントで生体分子に作用しているのか」とすっきりわかる(ような気がして)、とても楽しいです。文末に紹介するウェブサイトをぜひ参照ください。
    このような分子のグラフィカル表示を可能にしているのがさまざまな分子の立体構造を座標数値で提供している「構造バイオインフォマティクス研究共同体(RCSB)」が運営するProtein Data Bank(http://www.rcsb.org)であり、さらにその座標数値から立体構造図をPC上に3Dで表示できるソフトウェアです。本書はコマーシャルベースのソフトをつかっているようですが無償ソフトウェアも提供されています。
    本書では抗菌薬・抗がん剤・抗ウイルス薬・生活習慣病薬・免疫のコントロール・精神疾患薬に分けて全部で50以上の薬剤分子が生体内で働く様子を見せてくれます。逆にこうした形態解析がコンピュータ上での創薬にもつながっていることもよくわかります。アンダーライティングの現場では、薬は名前と効能と処方のしかたでしか捉えていないことがほとんどだと思います。本書で薬のミクロの作用点を目の当たりにすれば、一歩踏み込んだ世界がひろがります。
     本書の出版社である講談社のウェブサイトに著者の平山氏がいくつか記事を書いています(下記)。話題の新型コロナウイルス薬アビガンを例に、まさに分子レベルで見た薬の働きがグラフィカルに描かれていますので必見です。

    おすすめのウェブサイト
    ・期待の「アビガン」、シミュレーションが予測する「効果と副作用」
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72229
    ・「新型コロナウイルス」に効く薬はあるのか?
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70641
    ・ウイルスの増殖を抑える「プロテアーゼ阻害薬」とはなにか?
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70319

  • おそらく多くの人は、生涯の間に一度は薬を飲んだことがあるだろう。では、こうした薬はどういう仕組で身体に効果をもたらしているのだろうか。
    本書では、主に身体の中の酵素などに焦点を当てつつ、薬のどのような性質により、体内のどの酵素とどうやって結びつくのかなどを簡潔かつわかりやすく解説しています。
    ただし、分かりやすいとは言え薬の効果をきちんと理解するためには最低限の分子生物学の知識が必要であり、高校程度の分子生物学については理解しておかないと読み進めるのはやや困難かもしれません。

    【こんな人におすすめ】
    薬がどのように効くのかに効果がある人

  • 素人からすると取っ付きにくく、深く知りたい分野は物足りない。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000046115

  • 会社の人に薦められて読んだ。思ってたよりだいぶお勉強。ブルーバックスだからこんなもんかな、とも思うけど。ストーリー的なのが少なく、各論的なのが多くてなかなか骨が折れた。

  • 薬効の分子構造はわかる
    薬開発の歴史変遷もわかる
    しかしちょっと表現が難しい
    そして面白みがない

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著者プロフィール

1948年、茨城県生まれ。1974年、東京工業大学大学院修了。ロンドン大学博士研究員、協和発酵工業(株)東京研究所主任研究員、東海大学開発工学部教授、東海大学医学部教授、東海大学糖鎖科学研究所教授を経て、2016年より東海大学先進生命科学研究所教授。理学博士。現在のおもな研究課題は、コンピュータ科学を駆使した、より効果的で、より安全な医薬品の開発。さらに、人間のQOL向上につながる有用物質の探索・創製にも興味を持って研究活動を展開している。著書に『暗記しないで化学入門』『熱力学で理解する化学反応のしくみ』『「香り」の科学』『カラー図解 分子レベルで見た体のはたらき』『はじめての量子化学』(いずれも講談社ブルーバックス)など。

「2020年 『カラー図解 分子レベルで見た薬の働き なぜ効くのか? どのように病気を治すのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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