- Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065187944
作品紹介・あらすじ
「この絵はアートではない。猫への愛を描いた」――横尾忠則
日本が世界に誇るアーティスト・横尾忠則が描いた「愛猫への鎮魂歌(レクイエム)」!
横尾さんが愛した猫「タマ」の絵が一冊の画集になりました!
愛猫「タマ」が亡くなったその日から、魂を鎮めるために描いたタマの絵、なんと91点!
そのすべてがこの一冊に!
そして、この本には横尾さんが折々に綴ったタマに関する文章や日記が多数掲載されています。
タマを亡くした喪失感、寂しさ、感謝の気持ち、楽しかった思い出などが切々と伝わってきます。
横尾さんの愛にあふれた「タマ」にまつわる文章や日記は、
すべての読者に、「愛」とは、「生きる」とは、「死」とは、いったいなんなのかを問いかける、
人生にとっ大切で、そしてなにより可愛くて仕方がない画集です!
猫好きのあなた、アート好きのあなた、この本はいつまでもあなたの人生にに寄り添うことでしょう。
感想・レビュー・書評
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横尾忠則の「猫画集」というと身も蓋もありませんが、小説家が心の中を、いや、頭の中か?まあ、とりあえず心の中を小説にして描くということがあります。画家である横尾忠則が同じように、それを絵にするというのは、当たり前のようで、しかし、絵なんて書けないぼくのような人間には驚きでした。
追悼文とか、いろいろ言葉を弄していますが、この画集に乗っている愛猫タマの絵の迫力は内田百閒の「ノラや」の文章に匹敵するのではないでしょうか。
ブログにもあれこれ、覗いていただけると嬉しいですね(笑)
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202205170000/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『タマ、帰っておいで』横尾忠則
2014.5.31に息を引き取った、画家の横尾忠則さんの愛猫タマへのレクイエムの書。
数多くの著者によるタマの絵が、日記と共に載っている。どこもかしこもタマへの愛に溢れていて、タマを想う心に胸が切なくなる。絵だけでなく、文章もとても心に響く。
☆この家はタマの家だからね。そして生まれ変わったら、また一緒の家族になろう。その前にそう待たせないでタマのところに行くから、それまで待っているんだよ。死にも希望があるかと思うと次死もまた楽しいかな。
芸術家である著者は、意識と無意識の間、現実と非現実の間をするすると行き来しているように感じる。芸術をするのに無意識の力が欠かせないのだろうと思う。著者は、猫の眠りは無意識界を意識界より重視しているに違いないと考える。そんな猫を愛で、憧れる事で、少しずつ同一化して幾多もの芸術を創造しているのだろうと思った。
著者の夢には時々タマが現れる。
☆2015.4.16 夢では珍しくタマの肉体的感触を十分に味わう。
とても羨ましい。私の愛するトトはほとんど夢に出てきてくれたことがない。[少々無理しても早く生まれ変わって早く会いに来て]という私との約束を遂行するために、そんな余裕は無く頑張ってくれているんだと思うことにしている。だから、著者が夢の中で味わったような肉体的感触は、寄りで撮った写真に写る白い毛の感触を、想像して味わうしかない。
巻末にあるタマから著者への手紙は、ユーモラスであり、興味深かった。
☆タダノリ君へ
私たちに猫は遊びたいときに遊ぶ。なぜかというと感情が遊びだからです。遊びが感情です。人間は遊びを考えようとします。猫は感情で遊ぶわけで、そこにセーターを編む玉があればそれで遊べます。本当に遊びたいからです。人間は遊びの背景にストレスがあります。そんなストレスから解放されたいために遊んでいるんです。私たちはストレスがないから本当に遊べるんです。…
君のやっている芸術とかは空洞を埋めようとしています。空洞は空洞としてスカスカでいいのです。今の芸術はつめ過ぎです。愛も空洞でいいのです。現在は私の言うことと真逆が愛だと思われています。君が昔興味を持っていた地球空洞説でいいのです。愛は強迫観念から空洞を恐れます。…
読んでいる途中よりも寧ろ読後に、より存在感を増す一冊だった。猫の存在の大きさ、偉大さ、愛らしさに改めて感服します。 -
2014年5月31日に亡くなった愛猫『タマ』の絵、およそ90枚。一番新しい絵が2020年の制作。6年たっても描ける、ずっと思いが消えないのでしょうね。タマが横尾さんに見えてきました。
桜のカーペットの道をグラマラスに歩くタマ、いいな、棕櫚の樹の下に眠る。 -
横尾さんという人を初めて知ったけど、タマへの純粋な想いが綴られていて読んでいてこちらも辛くなった。
最終ページのタマからのお手紙が素敵。この人の感性は好きだなぁ。 -
猫と暮らしたい。
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これはもう詩集ですね。どんと心を掴まれました。部分読みとか、繰り返して読んだりとか、音楽みたいに接することのできる本だと感じました。私が勝手に持っていた横尾さんのイメージもものすごく変わりました。
私は犬派なんですが、こんなに共感できた猫モノ、はじめてかも。 -
表紙を見ただけで切なくなりました。
横尾忠則さんの家族猫タマさんを描いた画集、日記です。
タマさんの魂はしんみりしていなくて、結構ドライな感じのようです。横尾さんが呼んだら空から駆けつけるみたいなので読者の私も安心しました。 -
中学1年生のときから一緒に過ごした愛犬を思い出した。胸の中でぎゅっと鳴き、そのあと見事いきものから物体と成った日。私に死を教えてくれた。
ふい、と空気が揺れて、足元でおまえが呼んでいる気がする。そんな日が何年も続いた。
君のお骨を手放せないでいる。