- 講談社 (2021年12月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (522ページ) / ISBN・EAN: 9784065189030
作品紹介・あらすじ
村木厚子事件(厚労省郵便不正事件)、小澤一郎事件(陸山会政治資金規正法違反事件)、鈴木宗男事件、マクリーン事件、クロマイ・クロロキン薬害訴訟、医療過誤訴訟、三浦和義事件(ロス疑惑)など、日本の戦後刑事司法史に残る大事件を手がけてきた、伝説の弁護士、弘中惇一郎。「絶対有罪」の窮地から幾度となく無罪判決を勝ち取ってきた「無罪請負人」と呼ばれるその男は、歴史的なそれらの裁判をどのように闘ったのか? 受任の経緯から、鉄壁といわれる特捜検察の立証を突き崩した緻密な検証と巧みな法廷戦術、そして裁判の過程で繰り広げられるスリリングな人間ドラマまで、余すところなく書き尽くす。稀代の弁護士による、法廷を舞台にした唯一無二の思考の指南書にして、類稀なる現代史。
安部英医師薬害エイズ事件、野村沙知代事件、 中森明菜プライバシー侵害事件、加勢大周事件、中島知子事件、「噂の眞相」名誉毀損事件、痴漢冤罪事件、カルロス・ゴーン事件などを扱った「事件ファイル2」も同時刊行。
みんなの感想まとめ
多くの著名な事件を手がけたベテラン弁護士が、自らの経験をもとに裁判の真相を語る本作は、法廷ドラマの緊迫感と人間模様が織り交ぜられた魅力的なノンフィクションです。村木厚子、小澤一郎、鈴木宗男など、世間を...
感想・レビュー・書評
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筆者の弘中さんはベテラン弁護士。1945年10月生まれなので、現在76歳。大学卒業と同時に弁護士になられているので、弁護士業務を50年以上続けておられる方だ。弘中さんは、世間の注目を浴びた事件での弁護人を数多く務められている。本書で取り上げられているのは、村木厚子氏・小澤一郎氏・鈴木宗男氏・三浦和義氏のケースであり、2分冊の第2巻で取り上げられているのは、安倍英氏・野村沙知代氏・カルロスゴーン氏のケース等である。2分冊の第1巻にあたる本書は、500ページを超える大部の作品であるが、一気に読んだ。
筆者の著作としては、「無罪請負人」という本を読んだことがあり、このブログにも感想を書いている。「無罪請負人」で、筆者は、日本の刑事司法の国際的に見た場合の後進性について、強く訴えていた。本書でも、各事件で同趣旨のことを訴えられているが、本書は、基本的にそういった司法の後進性を訴える本ではなく、ご自身が担当された事件についての事実関係をレポートする本である。本書の中で、そのようにご本人も述べられており、だから、題名が「事件ファイル」なのだという説明もされている。
私は本書を抜群に面白いノンフィクションとして読んだ。村木氏・小澤氏・鈴木氏の事件、筆者はそれらを検察特捜部による「国策捜査」と呼んでいるが、それらの事件の弁護人として、事件の細部まで知り尽くした筆者が語る事件の真相と裁判の経緯・結果は手に汗握ると言っても大げさではない。ジョン・グリシャムやスコット・トゥローが描くリーガル・サスペンスも面白いが、本書はそういった面でも、それに匹敵する、あるいは、それ以上に面白い話が続く。
第2巻を読むのが楽しみだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
興味深い、読みにくいかと思ったが途中から引き込まれる。
カルチエ・ラタンの暴動が日本に飛び火し、学生闘争の炎となる
312〜 -
「無罪請負人」とも称される歴戦の弁護士・弘中惇一郎氏が、自らが手掛けた様々な事件について、どのように裁判を闘ったのかを振り返る。「事件ファイル1」では、村木厚子事件、小澤一郎事件、鈴木宗男事件、マクリーン事件、学生運動に関連する刑事公安事件、クロマイ・クロロキン薬害事件、医療過誤事件、三浦知義事件などを取り上げている。
著名な事件や裁判について、当事者だからこそ語りえる臨場感のある内容で、とても面白く読み進めた。
冤罪の怖さを改めて認識するとともに、小澤一郎事件や鈴木宗男事件については容疑となっている内容を全然わかっていなかったことを思い知り、自分も中身もよく吟味しないまま報道を受けての雑駁な印象のみで小澤一郎氏や鈴木宗男氏を「悪者」視していたなと反省した。
憲法の教科書に必ず出てくるマクリーン事件を弁護士になって間もない弘中氏が担当していたことに驚いた。また、学生運動に関わる裁判の、ある意味牧歌的な様子も興味深かった。 -
郵便不正事件、大物政治家の絡む国策事件、ロス疑惑、ゴーン事件等、刑事弁護の世界で華々しい活躍をしている筆者が、国家権力と対峙して人権抑圧されている人の側に立ち、その人の権利を擁護するのが弁護士の本来的な存在意義であるとして、筆者の半世紀にも及ぶ弁護士人生において挑み続けた国、メディア、メディカルという三つの権力との闘いの記録を綴ったもの。筆者の担当した事件は、どれもまさに「時代の風」を受けたものばかりで、それぞれの事件を追うだけで当時の政治状況や社会のありようを歴史的に検証することができる点が本書の醍醐味だ。そして、その中で暴かれていく、郵便不正事件の前後に起きていた国策事件のあまりの不条理に驚愕せざるを得ない。
筆者は、あまり後続育成の場に登場されているイメージがなく、担当されている事件も、村木厚子さんの手記の他、記者会見やニュースからしか得られる情報がなかったため、本書を読んで筆者へのイメージがいい方にかなり変わった。これまでは有名事件ばかりを弁護されているのもあり、ご本人自体も政治家のような、近寄りがたいイメージだったが、本書を読んでみると、いかにあたたかく、情熱的で、人間味があり、そして人とのつながりをとても大切にされているかがわかった。事件の選球眼が群を抜いて優れているというイメージはそのままだが、その事件の筋の良さは、筆者と依頼人との心と心のつながりと、事実に対する強い探究心からきているのだと感じる。修習中から、東大裁判の弁護人になることを決められていたこと、内ゲバやリンチ等を機に学園闘争から離れられたこと、マクリーン事件が弁護士一年目のペアで行われた裁判だったこと、薬害エイズ事件を担当されるまで10年以上の長期にわたる医療訴訟や薬害訴訟をかなりの件数受任され、専門的に集団訴訟をされていたこと等知らないことも多く、それぞれの事件の経緯や弁護活動などは当時の熱量がそのまま伝わるものばかりでとても刺激的だった。また、マクリーン事件学園闘争や薬害訴訟・医療訴訟等弁護士としての経歴が浅い時期にも、なんとか状況を打破できないか、と試行錯誤した結果が、最高裁判決として今でも有名な事件として誰もが知る結果を出していたこと(マクリーン事件、米子強盗事件等)も驚きだが、それを反省すべき事件として振り返り、現在の入管の裁量権濫用や警察の権限濫用等のその後の社会的影響という点から正の面ではなく、負の面を強調する形でかかれており、今もまだ戦い続けているそのエネルギーに感服。なお、薬害訴訟で国に対する国賠訴訟で国からの全力での反発を受けたことが依頼者の利益に必ずしもつながらなかったことに対する反省が、現在の福島原発訴訟での被告を東電だけに絞った理由として挙げられていたのも納得だった。
途中に挿入されているコラムもそれぞれ読み応えがある。司法修習中に入管法の勉強をしていたのに刑訴の勉強をあまりされていなかったことや、集団訴訟の土曜日の朝ミーティングを10年以上続けられ遅刻防止の罰金制度で飲み会をしていたこと、お連れ添いのエピソード等、筆者の意外な一面が垣間見れる。最後に個人的な感動ポイントは、全ての事件のテーマが明確で、本件は〜という事件である、という書き出しや問題提起がある点。難解・複雑な事件でも筆者の事実整理と問題意識が明確で、読者を引き込ませる魅力がたっぷり。
今もなお続いている、筆者の特捜事件初の再審事件である鈴木宗男氏の再審と(筆者の事件ではないと思うが)先日美濃加茂市長として再選された藤井浩人氏の再審についても今後注目したい。 -
クロマイ薬害訴訟で因果関係を証明するのに、研究の進んでいた米国から資料・証言を取り寄せた両親の執念に頭が下がる。また逸失利益について死亡した娘さんの姉は東大法学部を出て司法試験と国家公務員試験に合格したから、そのベースで生涯収入は計算すべきとの主張に対して、裁判所は平均賃金でしか認めないという話は印象に残った。
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村木厚子、小澤一郎、鈴木宗男、三浦和義。
薬害事件、医療過誤。
著者自身が戦ってきた幅広い分野の実録。
国策捜査の恐ろしさ。
医学と過失と罪の難しさ。
刑事被告人は圧倒的弱者。
メディアのヤバさ。
ふと東京五輪汚職事件が思い出された。
「悪人」など本当にいるのだろうか?
自分の頭でちゃんと考えないとな…
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順番が逆になったが、Ⅰを読破。Ⅱの感想で、
「日本の司法制度の問題点を炙り出す小説はかなり読んできたつもりだが、当事者の経験と視点によるノンフィクションの前には沈黙してしまう。たとえ弁護人という一方からの独善的な偏りがある立場だとしても。それほど重く深い作品だ。国策捜査の闇を暴いた佐藤優氏の「国家の罠」と共に多くの日本人に読んでもらいたい作品。図書館で借りている都合で事件ファイル1は未読なので、早く読みたいと思っている。特に村木厚子事件は丹念に読みたい。」
と書いたがほぼ同じ感想。中身の濃さとして村木厚子事件はそこまででもなかったが、改めて酷い事件だったことがわかる。政治の季節と医療被害の章も興味深い内容だった。 -
Audible で聞きました。村木厚子さんの事件はこの本で詳細を始めて知った。どの事件も時代を反映していて、とても興味深く読めます。
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分厚い本だ。村木厚子さんの事件は確かに無実だと思うし、弁護士の主張にも共感できる。国策で対立する勢力を嵌める、みたいなことも実際あるとは思う。ただ、鈴木宗男も小沢一郎も、クリーンな立場の人とは思えない。私もマスコミの戦略に乗せられてるようだ。正義の味方のように喝采を浴びる検察官が、自分の思い通りに事件の筋書きを作ってしまう。これも、あり得る話と納得。裁判や弁護士、検事の仕事というものがよくわかり、そういう意味では興味深かった。中身が濃くて読み疲れて、途中で一時中断した。また、時期が来たら手にとってみたい。
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弁護士としての著者が携わってきた有名な事件について非常に赤裸々に書かれた本で面白かった。特に村木厚子さんの事件については、一般人が突如冤罪になったことが共感から非常に勉強になった。
ただ、後半になるにつれて政治事件など専門性が高くなり読止めてしまった。 -
読んで良かった。仕事とはこういう事だと思う。そして、小澤一郎が好きになった。
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数々の大事件の容疑者の弁護を引き受け無罪を勝ち取ってきた著名弁護士の回顧録。事件ファイル1としては最大のページを割いたロス疑惑のほか、村木厚子氏、鈴木宗男氏、小澤一郎氏の政治絡みの事件、その他薬害訴訟やベトナム反戦運動を背景としたマクリーン事件や東大裁判を取り扱う。
それぞれの事件につき事件概要を述べた上で著者の受任の経緯、相手側の主張する事件の筋書きがあればそれを取り上げた上でその訴訟にどういう戦い方をしたか、またその判決の結果、それによる社会的影響、その他受任した関連事件の紹介、事件の思い出などを振り返る。500ページ超のボリュームだが、章ごとに異なる問題意識があり、飽きさせない。
第1章の村木厚子氏、鈴木宗男氏、小澤一郎氏の事件においては地検特捜部が捜査・起訴することの構造的な問題点やその捜査方法の問題点が記される。具体的には特捜自身が捜査を始めるプレイヤーであり、かつ起訴・不起訴を決める決裁官であるので、警察がした捜査の正当性を判断して起訴・不起訴するのと異なり、特捜のした捜査やその捜査方法の正当性を中立的に判断することを特捜自身に期待するのは無理があると述べる。
その結果捜査体制を組んで一旦捜査を始めた以上、何が何でも有罪に持っていきたがってしまうというのである。特に取り調べ結果を纏めた調書を証拠の骨格とする場合、調書自体は検察が臨場感溢れる表現で書いた架空のストーリーでも、劣悪な環境の拘置所での長時間の拘束の下、容疑者にそれにサインをさせれば一見そのストーリーが成り立ってしまうのである。
また、本人の自白を取るための第三者の証言や調書でさえ、検察は自らのストーリーに合わせるため、犯罪事件から最も遠い事実を最も遠い関係者からそのストーリーがさもあったように捜査に入るため、捜査を受ける関係者は記憶が不確かな場合や自らにあまり関わって欲しくない場合、検察に都合の良い事実を認め易くなってしまうのである。
また、世間の耳目を集める事件の場合、容疑者取り調べの段階から得た情報のうち、検察側に有利な情報のみマスメディアにリークできるので、そういったマスメディアのバイアスがある中で検察は捜査で事件関係者に自己に有利な証言を取り易くなる側面もあると述べる。
第4章のロス疑惑においては検察ではなくメディアが創り始めたストーリーとの戦いとなるが、ストーリーの切り崩しの面では政治絡みの事件と同様である。しかし、ロス疑惑では一度日本で無罪が確定した事件と同じ容疑でアメリカで逮捕されるという一事不再理の問題も生じ、それに対して国家として抗議しない政府への問題意識も提起される。
第2章のマクリーン事件とは日本滞在中にベトナム反戦運動に参加した外国人に在留更新許可を与えなかったことが問題となった事件であるが、こちらでは裁判における法廷戦術の重要性が語られる。つまりこの裁判ではその事件において何が争点か。外国人の表現の自由か、単なる法務大臣の自由裁量の幅の問題か、法律上どちらの問題と設定するかで結論としてのマクリーン氏の扱いが大きく変わってしまうのである。他にも行政訴訟の訴え方に技術的な工夫をした事にも触れられている。
東大裁判では主に当時の社会背景や著者の思い出、現在とかなり異なる当時の裁判風景が描写される。
第3章の医療過誤訴訟においてはその専門性故の訴訟の難しさが語られる。つまり、事件となった医療行為が違法であるためには単にその医療行為と事件との繋がりが証明できれば良いわけではなく、その医療行為がその時の医療水準からみて通常より劣り、故意・過失があったといえるまで立証しなくてはならない。そして医者は皆医療過誤訴訟のリスクを潜在的に抱えているので被害者の証人として協力してくれる医者の証人を確保しづらいとの問題も指摘される。
今までは裁判は何となく公正な証拠に基づいてプロとしての裁判官に公正に裁かれていると漠然と思っていたが、現実動いているのは様々な思惑や得られる証拠の差や能力差を抱えた人同士である事を実感した。自分が犯罪を行っていても平然と無実を主張する者もいるので、逮捕・拘留した後もあまり自由にするのも良くないが、強引に捜査・起訴するのも免罪を生み、本当の犯人が野放しとなり裁判の意義が問われよう。逮捕・起訴などそれぞれの権限を異なる組織に分け、相互に抑制・均衡させたり、時には事後検証する仕組みを入れたりして、この国にとって何がベストな訴訟のあり方なのかを常に議論し、修正していかねばならないと感じた。 -
もし自分が逮捕されたら弘中弁護士にお願いしたい。
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上巻だけで520頁と分厚いにもかかわらず、読み始めたら、頁を捲る手が止まらなくなる。それは、真実が何であるかを求めるからであろう。
ここで取り上げられる刑事事件は、どれもが検察の一方的な無理筋のストーリーで取り調べが行われ、検察のリークなどに乗っかって興味本位に報道するマスコミに対し、弁護団が現場で起きたファクトに基づいて、弁護する構図となっている。
この本を読むといかに我々が日頃、メディアの報道に翻弄されていることを痛感する。 -
本の厚さにびっくりしたが、それ以上に裁判に関する事実の積み重ねが重い。
取り上げられた登場人物に対する見方も変わった。
事件当時の自分の記憶と違う情報が述べられていて、「そうだったのか⁉︎」と感じさせられる。
やはり、流される情報を何も考えずに受け止めるのは良くないと、改めて考えさせられた。
99.9というドラマのタイトルを思い出し、合点が入った内容だった。 -
東2法経図・6F開架:327.14A/Sh95s/1/K
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これを読むとこんな些細なことで犯罪者として
扱われてしまう恐怖を感じた。
東京地検特捜部は暴力団とか半グレとかの
壊滅に向けて対応すればいいのに、
存在意義はあるのでであろうか。 -
これは最高の一冊。
著者プロフィール
弘中惇一郎の作品
